寺田心に「泣くな」と言ったワケ
2018年ミラノ国際映画祭で最優秀主演男優賞(寺田心)と最優秀監督賞(ジャッキー・ウー監督)をW受賞した『ばあばは、だいじょうぶ』が全国のイオンシネマで大ヒット公開中だ。忘れる病気(アルツハイマー)になったばあば(冨士眞奈美)と小学生の孫(寺田)の交流を描く感動ストーリー。メガホンをとったのは、『キセキの葉書』(2017年)で鈴木紗理奈に主演女優賞をもたらしたジャッキー・ウー監督だ。日本人と中国人のクォーターで、国際感覚豊かな監督に、その演出術の秘密を聞いた。
映画『ばあばは、だいじょうぶ』ジャッキー・ウー監督インタビュー
2018年ミラノ国際映画祭で最優秀主演男優賞(寺田心)と最優秀監督賞(ジャッキー・ウー監督)をW受賞した『ばあばは、だいじょうぶ』が全国のイオンシネマで大ヒット公開中だ。忘れる病気(アルツハイマー)になったばあば(冨士眞奈美)と小学生の孫(寺田)の交流を描く感動ストーリー。メガホンをとったのは、『キセキの葉書』(2017年)で鈴木紗理奈に主演女優賞をもたらしたジャッキー・ウー監督だ。日本人と中国人のクォーターで、国際感覚豊かな監督に、その演出術の秘密を聞いた。
――中国での公開が決まりました。監督のお父さまは中国人2世でしたね。
「尽力してくださった方、公開を受け入れてくれた方には、感謝の言葉しかありません。中国の劇場で父の写真を持って、この映画を観たいと思います。認知症というものが、遠い病気ではなく、身近な病気として、皆さまの中でポジティブに、プラス思考で受け止めていただけたら嬉しいと思っております」
――この映画の出発点を聞かせてください。
「『キセキの葉書』でマドリード映画祭に参加しました。そこで出会ったミラノ国際映画祭のメンバーが僕の次の作品に興味を持ってくれたのがきっかけです。『次はミラノを目指そう』とプロデューサーと企画を探し、この原作に行き着きました。原作の絵本には感銘を受けましたし、短い話を2時間近い映画にすることにやりがいを感じました」
――『キセキの葉書』は脳性麻痺の娘を育てながら、認知症の母を励ますためにはがきで文通する話でしたが、今回も認知症が題材です。
「マドリードに行ったときは、ヨーロッパの認知症の事情やシステムも勉強させていただきました。ヨーロッパでは症状によるクラス分けされるシステムが出来上がっているそうで、それに比べると日本は遅れています。逆に遅れているからこそ、その中で起こる人間模様が描けると思いました」
――主演の冨士眞奈美さんとの出会いは?
「プロデューサーとご挨拶に行ったときに、『私でいいんですか?』とおっしゃったんです。僕はその言葉に非常に感銘して、そこはプロデューサーも『冨士さんしか考えていません』と返してくれ、決まりました。実はミラノ国際映画祭では冨士さんも最優秀主演女優賞の最終候補になっていました。そういう意味では非常に監督冥利に尽きたかなと思います」