SUGIZO独白「僕たちは孤独ではない」新作で描いた“ポストパンデミック”の世界

ブルーノート東京で12月に開催された「SUGIZO's SHAG」のライブショットより【写真:田辺 佳子】
ブルーノート東京で12月に開催された「SUGIZO's SHAG」のライブショットより【写真:田辺 佳子】

人々に安らぎや愛を与える音楽を作りたい

――これからの新しい価値観は、上から与えられるものではなく、民衆から生まれてくるものになるのかなと。最近そう感じることも多くなってきた気がしています。SUGIZOさんはいかがですか?

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「全く同感です。今の“ヒエラルキーの世界”は、そろそろ終焉を迎えなきゃいけないんじゃないかと思います。そこで今自分にとって必要だと感じたのは、より多くを所有したり、より多くの成功を得ることではなく、もっと大切な意味を持ったものを残していきたい。それが僕にとって音楽であり、今回のソロアルバムを作るきっかけになりました。パンデミックという恐怖に支配されてしまったこの世界の心や魂を少しでも癒すことが出来るような作品。いつか落ち着くだろうポストパンデミックの世界に向けて、人々に安らぎや愛を与える音楽を作りたかったんです」

――3年ぶりとなるソロアルバム「愛と調和」が完成しましたが、これまでのSUGIZOさんの作品の中でも特にアルバムタイトルに記された人間愛や自然との調和、鎮魂といったメッセージが音に込められていて、とても壮大な世界が音から伝わってきました。

「ありがとうございます。人間は大自然に対しての畏敬の念や地球に生きる生き物の一つであることを忘れちゃいけないと思っています。僕たちは空や水といった自然とつながっていて、決して孤独ではないんです。ところが人間は他の動物とは違うと、いつからか自ら孤独の道を選んできたんだと思います。ですから僕は、ゆっくりと呼吸することをもう1度思い出せるような、そんな癒しの音が今は必要だと思っています。自分が生んだ作品が、30年後、50年後、もっと500年後まで残ってほしい。そう願っています」

――SUGIZOさんは「ポストパンデミック」についてどんな思いを抱いていますか?

「僕は間違いなくもうコロナ以前には戻れないと思っています。1年前までの世界はもうなくなったと考えた方がいいのかもしれない。でもそれって新しい文明が生まれる変革期であって、これまでの歴史の中で何度も繰り返してきたことですよね。そう考えると、偶然にも大きな変革期に我々は立っているという。確かにとても大変な時代ですが、それを生きて体験できたということは、とてもラッキーなことなんじゃないのかなと思っています」

――むしろそう考えて生きていくことがこれから大切になってくると?

「そう思います。『この苦難を乗り越えてより良い社会を作る』『この文明をさらに一歩進める』『未来の為により良いものを残す』そういった意識を間違いなく抱いた人は多いはずです。世の中を良い方向に残していきたいと思う新しい価値観を持った人たちがこれから自然と多くなるはず。僕はそう信じています」
(続く)

□SUGIZO 作曲家、ギタリスト、バイオリニスト、音楽プロデューサー。日本を代表するロックバンドLUNA SEA、X JAPANのメンバーとして世界規模で活動。音楽と平行しながら平和活動、人権・難民支援活動、再生可能エネルギー・環境活動、被災地ボランティア活動を積極的に展開。20年12月23日、3年ぶりとなるオリジナルアルバム「愛と調和」を発売。

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