WWEが新局面へ 「サバイバーシリーズ」でNXTが2ブランドに侵攻開始

中邑真輔(右)とAJスタイルズの対決も実現した (C)WWE
中邑真輔(右)とAJスタイルズの対決も実現した (C)WWE

33年続く伝統大会 近年は夢の王者対決が実現

 そして迎えた11月24日シカゴでの「サバイバーシリーズ」。事前番組キックオフショー枠では各ブランドとも1勝を挙げたが、本編に入ってからはNXTの勢いが既存ブランドを圧倒していく。第1試合の女子5対5イリミネーションマッチでNXTが勝利。ここには元スターダムの紫雷イオ(29)も参戦し、「サバイバーシリーズ」初登場。同時にアスカ&カイリ・セイン(31)の女子タッグ王者も同じリングに立っており、アスカとはトリプルテイルズ、カイリとはスターダム以来の(PPVでの)再会ということにもなる。この顔合わせが将来どうなっていくのか、日本のファンには気になるところだ。

 男子5対5イリミネーションマッチではスマックダウンのローマン・レインズ(34)がNXTのキース・リー(35)を破ったものの、メインでおこなわれた女子王者対決(ロウ女子王者ベッキー・リンチVSスマックダウン女子王者ベイリーVS NXT女子王者シェイナ・ベイズラー)でもNXTが制し、終わってみればNXT4勝、スマックダウン2勝、ロウはわずか1勝という結果になった。NXTは直接対決によって、「ファーム団体ではない」と力で証明してみせたのである。これぞトリプルHが見せたかったこと。今後、NXTからロウ/スマックダウンへの参戦はもはや昇格ではない。“一軍昇格”という言葉は死語になってくるのではないか。

 ブランド対抗戦とは別枠の王者対決では、中邑真輔が登場。昨年はUS王者としてインターコンチネンタル王者セス・ロリンズ(33)と対戦したが、今年はインターコンチネンタル王者として新日本時代からのライバルであるUS王者AJスタイルズ(42)、NXT王者ロデリック・ストロング(36)とトリプルスレット戦を闘った。中邑は試合には敗れるも、ベルトは保持。対NXTという意味でもフォールを奪ったストロングとの関係が進展するのか興味深い。

ブロック・レスナーとレイ・ミステリオ (C)WWE
ブロック・レスナーとレイ・ミステリオ (C)WWE

レスナーVSベラスケスの元UFC王者抗争のゆくえは?

「サバイバーシリーズ」ではまた、WWE2大ブランド最高峰王座のタイトルマッチもおこなわれた。WWE王座戦は「ノーホールズバード&ノーDQ」のハードコアバージョンで実現し、ブロック・レスナー(42)がレイ・ミステリオ(44)との遺恨対決を制し、王座防衛。レスナーの場合、リングに上がる機会が限定されるだけに、ベルトを奪い取るのは依然として至難の業になっている。が、ミステリオは翌日のロウでUS王座次期挑戦者決定4WAYマッチに勝利し、その直後にAJスタイルズを破りタイトルをゲット。WWE王座奪取は失敗もUS王者になるという、「サバイバーシリーズ」翌日のビッグサプライズだった。が、レスナーへのリベンジはまだ果たせていない。ミステリオの息子ドミニク、父子をヘルプする元UFCヘビー級王者ケイン・ベラスケス(37)をまじえた抗争はまだまだ続いていきそうだ。

 もうひとつの最高峰タイトルは、WWEユニバーサル王座。“ザ・フィーンド”ブレイ・ワイアット(32)がダニエル・ブライアンを退け防衛に成功したが、同週のスマックダウンで遺恨がさらに深まった。次回PPV12・15「TLC」でベルトを懸けての再戦がおこなわれる可能性が高い。

メインイベントはWWE女子部門。人気と勢いはまだまだ続く

 最後にあらためてメインについて触れておこう。振り返れば今年の「レッスルマニア35」は祭典史上初、女子スーパースター(ディーバとは呼ばなくなった)によるカードだった。その3WAY戦でヒロインになったのがベッキー・リンチ(32)。ベッキーは「サバイバーシリーズ」もメインで、ベイリー、シェイナ・ベイズラーとこちらも3WAYで激突した。PPVのメインを飾るのが男子スーパースターとは限らない。

 今後も女子によるメインが当たり前のようにおこなわれていくだろう。こちらもまた、サバイバル闘争。ブランドや性別を超えた闘いが、今年の「サバイバーシリーズ」でさらなる拡大を見せたのだ。

※日付はすべて現地時間
(C)2019 World Wrestling Entertainment, Inc. All Rights Reserved.

次のページへ (3/3) 中邑真輔の必殺技が炸裂!
1 2 3
あなたの“気になる”を教えてください