注目若手女優・萩原みのり、デビューのきっかけは「モンスターみたいな女の子」の言葉

コロナ禍で感じたつらさを吐露した萩原みのり【写真:荒川祐史】
コロナ禍で感じたつらさを吐露した萩原みのり【写真:荒川祐史】

今作に出演し得たモノ「この作品が心にあるだけで、ちょっと違う景色に見える」

――ユキは悠二とは別れられない女性ですが、共通点はありますか?

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「自立していそうで、できていない。悠二に甘えているからこそ、一緒に生活を続けている。ユキは私からすれば大人の女性ですが、もしかしたら、大人になっても心の中ってそんなに変わらないのかもしれないなと思って。だからこそ、変に背伸びしないでやろうと思いました。後は女性から見て、嫌な感じに映らない甘えになったらいいなと思っていました」

――劇中、主人公は、人前ですぐに裸になってしまうクラスの人気者、佐々木君のことを思い出すわけですけども、学生時代にこういう男の子っていましたか?

「私、中高と女子高だったんです。男の子を知らずに育ってきたんですけども、女子校なのに、佐々木君みたいな、問題を起こすモンスターみたいな女の子がいたんですね。その子とは足を踏まれたことがきっかけで仲良くなったんです。変な子だったけども、卒業するまで1番仲が良かった。今でも連絡を取る学生時代の友だちって、かなり少ないんですけども、その子とはなんか少しつながっているんです。絶対に正しい生徒ではなかったけど、みんな多分憧れていて、先生たちもめちゃめちゃ怒るんだけど、どこかでかわいいなって思っている。

 この作品に出てから、その子のことをちょいちょい思い出すんです。この業界に入ったきっかけも、実はその子。スカウトされた時に隣にいて、名刺の裏にあった所属タレントさんの名前を見て、『この芸人さんもいる! 入りなよ』って(笑)。私、芸人になりたいわけじゃないんだけど、と思ったけれども、その子が背中を押してくれなかったら、この業界にいなかったと思います。かなり振り回されたけど、その子のおかげで今があるなとは思います」

――この映画で伝えたいことは?

「この作品が心にあるだけで、ちょっと違う景色に見える気がする。やろうと思っていたけど、やれてなかったことにも踏み出せる気がする。もう逃げたいと思っている時も、悠二が走っている時の顔を思い出したら、一緒に走れる気がする。背中を押すみたいな……。そんな分かりやすいことじゃないんですが、映画1本がちゃんと心に残る作品になっている気がします」

――逃げたいと思うことがあるんですか?

「いっぱいありますよ(笑)。この作品に入る前もそうでした。ただただ楽しくは生きられないんですけど、それでもいいじゃんって思わせてくれる映画かな。苦しくていい、それでもなんかかっこいいよって思わせてくれる映画だなと思いました」

――コロナ禍での外出自粛では、どんな思いで過ごしていました?

「私、こんなことを話してもいいのかってくらい、落ち込んでしまったんです。役者って0を1にすることができない職業なんです。脚本家さんは物語を作ることで、0を1にすることができる。役者って、お休みになったら、何もできることがない。だから、全部を取り上げられたような気分になってしまったんです。映画を見ても、解消されない。結構きつかったですね。役者のみんなが同じ苦しみを持っていたことだけが救いだった。何も生み出せないって、こんなにつらいんだと思いました。(SNSの)ファンの人のコメントのおかげで、なんとか保っていました」

――コロナ禍を経て、仕事への思いも変わりましたか?

「今は、前よりも、挑戦したいと思うようになりました。当たり前に思っていたものが、いつなくなるか分からない。一層お仕事がある幸せを感じるようになりました。ワンシーン、ワンシーンをやりきりたいと思っています」

□萩原みのり(はぎわら・みのり)1997年3月6日、愛知県出身。2013年、TBS系ドラマ「放課後グルーヴ」で女優デビュー。主な映画出演作に「ハローグッドバイ」「お嬢ちゃん」。20年は「転がるビー玉」「37セカンズ」「ステップ」「僕の好きな女の子」「13月の女の子」「アンダードッグ」が公開。21年は「花束みたいな恋をした」「街の上で」が控えている。銀杏BOYZのPV「DO YOU LIKE ME」にも出演。

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