暴走ファイトが大噴火 全日本プロレスのエースが大日本プロレス制圧に乗り出す【連載vol.17】

「遺恨勃発」「因縁の対決」……ワクワクしてくるのは私だけだろうか。

5冠王者・諏訪魔の暴走が始まったら……【撮影:柴田惣一】
5冠王者・諏訪魔の暴走が始まったら……【撮影:柴田惣一】

12・7後楽園ホール大会、諏訪魔&石川修司VS関本大介&アブドーラ・小林が激突

「遺恨勃発」「因縁の対決」……ワクワクしてくるのは私だけだろうか。

 中には試合が成立せず、ノーコンテストという結末を迎えることも多いが、互いの感情がぶつかり合い、意地を張り合って、試合はし烈を極める。名勝負になるケースも多々ある。

 全日本プロレスの諏訪魔と大日本プロレスのアブドーラ・小林には、人知れない因縁がある。

 数年前の夏、全日本プロレスの後楽園ホール大会に、河上隆一とともに乗り込むことになった小林は「敵情視察」と意気揚々。高ぶる感情からか「暑いから食べたくなった」と、会場近くのコンビニで、棒付きアイスキャンディーを購入した。

 到着する前に食べ終えるつもりが、意外にもスムーズに移動できてしまった。「あ、どうしよう。まぁいっか」と、アイスキャンディーを手にしたまま入場口に突入した。

 全日ファンに「あ、アブ小だ!」と気づかれ、ニコニコと愛きょうを振り撒いていたが、鬼の形相でにらみつける人物がいた。特設売店にいた諏訪魔だ。緊張感のない小林に「何だ、あいつ」とでも言わんばかりの憤怒の表情。小林は気付いてか、気付かずか、そのままシラッと客席へ入って行った。

 目で追う諏訪魔。頭から湯気が出ているかのようで恐ろしかった。

 小林は今年の世界最強タッグ決定リーグ戦に、大日本プロレス代表として関本大介と組んで出陣している。「最初、岡林と小林を間違えてオファーが来たかと思ったよ。暴れまくってやる」との宣言通り、開幕戦で宮原健斗を破るなど大活躍。フォークを持ち込んだり、全日本のリングで大日本愛を叫ぶなど、やりたい放題だ。

「こちらの要求を全日本が全て受け入れるので、逆にびっくりだ。移動バスでも最後部の『番長席』に陣取っている。天龍革命に続くアブ小革命進行中だよ」と、胸を張る。

 因縁の諏訪魔とは因縁の12・7後楽園ホール大会で対戦する。アイスキャンディー事件を、小林は「全く覚えていない」とケロッとしたもの。一方、諏訪魔は忘れていないはず。

 まして、最強タッグ戦で「自分のホームリングを荒らされた」と、怒り心頭の諏訪魔だ。持ち前の暴走スイッチが入ることは間違いない。

「暴走大巨人」のパートナー・石川修司は「諏訪魔さんの暴走は誰にも止められない。どうなることか」と、不敵な笑みを浮かべる。

 どうなる小林。大丈夫か小林。想像を絶する激しい試合になること間違いなし。注目だ。

次のページへ (2/2) 【写真】髪が伸びたアブドーラ・小林は大日本愛を叫ぶ
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