アイドル、ファン、島民が三位一体 STU48矢野帆夏がつなぐ“江田島ファミリー”の絆
「広報大使は私にしかできない仕事」…強い自覚を持って江田島の魅力発信を続ける
矢野、ファン、江田島の関係性は「Uminos」だけにとどまらない。そういった人と人とのつながりは、新型コロナウイルスによる経済打撃を少しでも食い止め、街を活性化する役割を担ってくれていると、小西氏は感謝を述べる。
「矢野さんはツイッター、SHOWROOM、テレビ、ラジオを活用して頻繁に江田島市のことをアピールしてくれていて、愛を感じます。ファンの方も江田島を訪れて、『江田島オリーブファクトリー』さん、『濵口醤油』さんなどを回ってくれています。濵口醤油さんには、矢野さんが愛用しているドレッシングにファンの方が持ってきた写真付きのポップがありますし、江田島オリーブファクトリーさんにも埼玉県からお客様が来てくれたそうです。私は、矢野さんのファンの方はもう江田島市の一員だと思っています(笑)。それくらい、江田島市を応援して、PRに動いてくださっています」
江戸時代の天保年間創業、醤油をはじめとした調味料の製造を170年以上続けてきた『濵口醤油』の6代目社長である濵口督氏も、「矢野さんのファンの方が遠方からも来てくださって、瀬戸内ドレッシング、醤油屋ぷりんなどを購入いただいています。ウチはこれまで一見さんは少なかったのですが、新しいご縁が広がってうれしいです」と“ほのたん効果”を実感している1人だ。
矢野も自分のファンが江田島に足を運び、故郷の人々と交流を図っていることに、「家族を大事にしてもらっている感覚」と頬をほころばせる。
「いつか行ってみたいじゃなくて、実際に江田島へ行って、紹介したお店を回ってくださっているので、SNSの発信とかで少しでも良い効果をもたらせているのかなと考えると、本当にうれしくて。そういう現象がいろんなお店で起こるように、もっと頑張りたいです」
牡蠣の生産量が全国トップクラスで、オリーブ振興も盛んな江田島市だが、進学や就職の兼ね合いもあって、04年の合併以降は人口が年間およそ500人ずつ減っている(20年10月31日時点で2万2444人)。「人口減を少しでも食い止めたいというのが市長の思い」と話す小西氏は、「広報大使としての活躍で、『江田島=矢野帆夏』と認知されてきていると思います。矢野さんとファンの方には引き続き江田島市を盛り上げていただき、江田島市民は矢野さんを応援する。一緒に歩んでいきたいです」とメッセージを送る。
そして何より、矢野は「広報大使は私にしかできない仕事」と強い自覚を持ち、江田島の魅力発信を続けていきたいと力強く語る。
「明岳(周作)市長は、『若い人にたくさん来てほしい』とおっしゃっていました。初めてでも、江田島はきっと“帰ってきた感覚”になれると思います。今は『乗って江田島航路』スタンプラリーが(21年2月28日まで)開催されているので、私と同世代の方に来てもらって、いずれは住んでいただけたら嬉しいなと。ファンの方がSNSで拡散してくださっている効果は本当に大きいので、みんなで協力して江田島の魅力を広めていきたいです」
初代広報大使の矢野を通じてつながる、“江田島ファミリー”の挑戦はまだ始まったばかりだ。
□矢野帆夏(やの・ほのか)1999年8月6日生まれ、広島県出身。STU48 1期生。地元の広島、江田島に対する思いは人一倍強く、自宅に飾られた名産・牡蠣のクッションは今やトレードマークの一つになっている。人見知りで後輩にグイグイ行けない性格のため、「2021年は自分から話しかけたい」と自己改革を掲げる。ニックネームは「ほのたん」。