きゃりーぱみゅぱみゅ、世界に広がった“KAWAII”への本音 デビューから15年…貫く原点
歌手のきゃりーぱみゅぱみゅが、デビュー15周年イヤーを迎え、充実の日々を過ごしている。10月2日にリリースした新曲『Pang Pang Pang』で、NHK Eテレアニメ『パンどろぼう』のエンディング主題歌を務めるなど、活躍の幅をさらに広げつつある。原宿のストリートスナップをきっかけに注目を集め、2011年に音楽活動をスタート。独創的な音楽とビジュアルは国内外で知られるようになっていった。18歳で始まった音楽人生を振り返りながら、デビュー当時の思い出や母親からの教え、世界に広がった“KAWAII”への率直な思いなどを明かした。

18歳で始まった音楽人生「ここまで続けられるなんて誰も思っていなかった」
歌手のきゃりーぱみゅぱみゅが、デビュー15周年イヤーを迎え、充実の日々を過ごしている。10月2日にリリースした新曲『Pang Pang Pang』で、NHK Eテレアニメ『パンどろぼう』のエンディング主題歌を務めるなど、活躍の幅をさらに広げつつある。原宿のストリートスナップをきっかけに注目を集め、2011年に音楽活動をスタート。独創的な音楽とビジュアルは国内外で知られるようになっていった。18歳で始まった音楽人生を振り返りながら、デビュー当時の思い出や母親からの教え、世界に広がった“KAWAII”への率直な思いなどを明かした。(取材・文=中村彰洋)
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――8月にデビュー15周年を迎えられましたが、15周年へ向けての意識などは以前から持たれていたのでしょうか。
「実は全く考えていませんでした。10周年の時は『10周年イエーイ!』みたいな感じで、ワールドツアーをしたり、国内ツアーもたくさん回りました。10周年から15周年の間で、私は結婚、出産も経て、人生が大きく変わった分岐点でもあったと思っています。妊娠で、ライブができなかった期間もあったので、この10周年から15周年までは、ジャンプしちゃった感覚です。『もう15周年?』みたいな(笑)」
――デビュー当時は、ここまで活動が続いている姿を想像されていましたか。
「全く想像できていなかったです。きゃりーぱみゅぱみゅのプロジェクトって、あーみーさん(アソビシステムの中川悠介社長)の『デビューしてみない?』の一声から始まったんです。当時はファッションが好きな原宿系の普通の女の子で、服飾系の学校に進もうと思っていたんです。でも、『1年間だけ音楽をやってみてから考えようよ』と言われて、それからあっという間に15年がたったという感覚です。ここまで続けられるなんて、誰も思っていなかったと思います」
――デビュー当時、ご両親はどういった反応をされていましたか。
「最近になって、デビュー前にあーみーさんが私の両親に『娘さんをデビューさせてください』とお願いしていたということを聞いたんです。私はずっとそれを知らなくて、親を口説くところから動いてくれていたんだと驚きました。でも、父は“中田ヤスタカ信者”だったから、『そんなことがあるなら、ぜひ!』みたいな感じでした。母は厳しいので、『あんたちゃんと下積みできる? その度胸があるの?』って言われた記憶があります。心配してくれていたんだと思います」
――鮮烈なデビューとなりましたが、周囲の反応はいかがでしたか。
「デビュー当時は、名前も名前だし、18歳だったので、大人の方々から『へー、新人ね。変わった名前だね。せいぜい頑張って』と言われたこともありました。でも、『つけまつける』をリリースしたら、『絶対はやると思ってた!』と言われて、『芸能界怖すぎ!』って(笑)。でも、そういった経験があったからこそ、自分のやりたいことを貫くことを大切にしようと決めました。どんな荒波があっても、軸をぶらさないようにしていこうって」

きゃりーが大切にしてきた教え「母に首根っこを捕まえられながら歩んできた」
――活動をしていくうえで大切にしていたことなどはありましたか。
「母の教えが大きかったかもしれません。きっと調子に乗れるタイミングはいっぱいあったと思うんです。でも、母からは『あなたがすごいんじゃない。周りの人がサポートしてくれてるからすごく見えたりするだけ。勘違いしちゃいけないよ』と常に言われてきました。母に首根っこを捕まえられながら歩んできたみたいな感じです(笑)。
母は、小さい頃から厳しく育ててくれました。でも、それによって自己肯定感がめっちゃ低く、自分に自信が持てずに悩む時もありました。今は私自身も娘を育てているので、自己肯定感を低くさせすぎるのも苦しめちゃうのかなと思うことがあります。でも結果的に、母にはすごく感謝しているし、私の人格を作ってくれたのは母ですね」
――デビュー当時は、奇抜なビジュアルや世界観で注目を集めてきました。ご自身ではどのように捉えていらっしゃいましたか。
「中田さんが作ってくださる楽曲に対しての自信とリスペクトは超あるんですけど、きゃりーぱみゅぱみゅという人間性自体がめっちゃサブカルなものだったと思います。表現もグロテスクでかわいいとか、好きな人は好きかもしれないけど、大半の人には気持ち悪いって思われたり、だいぶ衝撃的だったと思います。でも、マインドとしては、好きな人に喜んでもらえたらそれでいいという精神で、楽しくクリエイティブができていました」
――活動を続けていく中でそういった考え方に変化もございましたか。
「自分が発する言葉なども、自分は良かれと思って言ったとしても、ネガティブに捉えられてしまうこともある。皆さんに知っていただけるようになってからは、そういった部分を気を付けるようになりました。その時代とともに、自分を変えていった感覚です」
――ビジュアルや表現方法も年齢とともに変わってきましたが、意識的に変化させているのでしょうか。
「進化していきたいという気持ちは常にあります。でも、定期的に原点に戻ることも大切にしています。『原点回避』(21年)という曲も出しましたが、『やっぱりリボンだよね』『やっぱり原宿だよね』という部分を大切にしながらも、進化を繰り返している感じです」
――きゃりーさんにとって、変わらない原点とはどういった部分でしょうか。
「面白いという部分かもしれないです。写真でもライブでも、クスッと笑える要素を大切にしています。かわいい、かっこいいだけではなくて、それがちょっとヘンテコに見えるということなのですが、そういった部分を私は面白いと思ってやっています。
実は『KAWAII』を気にしたことはあまりないんです。よくいろんな方から、『KAWAIIを作ったよね』と言っていただくのですが、『え、作ってない作ってない!』って(笑)。私はあまり歌詞でも表現でも、『KAWAII』という言葉を使っていないんです。私がやってきたことが海外の方から見ると、ローマ字表記の『KAWAII』と思ってもらえたというだけで、意外と『KAWAII』に対してのこだわりはないかもしれません」

“きゃりーぱみゅぱみゅ”は「最強のスタンド」
――ご自身にとって、「きゃりーぱみゅぱみゅ」とはどのような存在ですか。
「自分のやりたいことを、その名前を借りてやれる、もう一人の人格みたいな感じかもしれないです。私はもともと人見知りで、いまだに人前で話すこともすごく苦手です。でも、“きゃりーぱみゅぱみゅ”というフィルターを通すと、『私ってそんなこと思ってたんだ』というようなことが口から出てきて、自分でも『なるほどな』と思えたりする。最強のスタンドみたいな感じですかね(笑)」
――15年間の活動を通して、成長したと思える部分はございますか。
「10代や20代前半の頃は、お仕事に穴を開けないようにとにかく必死でこなす日々でした。なので、当時はクールな人と思われていたかもしれないです。でも、10周年ツアーの打ち上げの時に、いつもだったら人見知りを発動するのですが、普段はあまり接することのないスタッフさんの方々とお話をしてみたんです。ものすごく愛を持って仕事をしてくださっていることを知って、私もしっかりと愛を返していきたいと思うようになりました」
――一緒に働くスタッフの方々への接し方も変わったということでしょうか。
「めちゃくちゃ変わりました。前までは、チーム内で少し雰囲気が良くない瞬間があっても、『いろいろあるだろうけど、まずは本番に向けて気持ちを整えていけたら』ぐらいのスタンスだったんです。でも今は、浮かない顔をしている人がいたら、声を掛けてみたり、チームの風通しを良くしたいっていう気持ちがめっちゃあるんです。おせっかいになっているかもしれないですが(笑)。時には投げ出したくなる時もありますが、スタッフさんの熱意を聞くと、もっと自分もやる気になる。吸収できるところは吸収したり、みんなの意見をフラットに聞けるようになりました」
――以前と比べて、柔軟になったということですね。
「めっちゃ柔軟になったし、面倒見が良くなったんだと思います。原宿のお母さんになりました(笑)」
――(笑)。15年間を経ても、やはり原宿という街への思いは強いんですね。
「原宿への思いはめちゃめちゃあります。私はストリートスナップ出身なので、原宿という街があったからこそ、私は生まれ変われたんです。ずっと恩返ししていきたいです。だから『原宿』というワードは、楽曲名や歌詞にも使われています。その部分は、私と中田さんの思いも一緒で、『やっぱり原宿だよね』と思っているんだと思います」
――今後、きゃりーぱみゅぱみゅとして届けていきたいものはどういったものになりますか。
「今回の『Pang Pang Pang』もそうですが、最近出したMVも、現実的じゃないものが多かったりするので、『こういうクリエイティブ面白いな』って思ってもらえたらすごくうれしいです。でも、デビュー当時からの、刺さる人に刺さってくれればいいという精神なので、万人に受けようとは今も思っていません。ネガティブにだけは思われないようにしつつ、誰かに『おもしれぇ女だな』って思ってもらえたら、それだけで満足です」
□きゃりーぱみゅぱみゅ 1993年1月29日、東京都出身。2009年に読者モデルとしての活動をスタート。2011年、中田ヤスタカプロデュースによるミニアルバム『もしもし原宿』でメジャーデビューした。その活動は国内のみにとどまらず、これまでに5度のワールドツアーを成功させるなど、海外でも存在感を示している。27年1月には6枚目となるアルバムをリリース予定。また、3月から6月にかけて5年ぶりとなる国内ツアーを開催する。プライベートでは、23年3月に俳優の葉山奨之との結婚を発表、24年10月に第1子となる長女を出産した。
○衣装
WRINKLE BIG SOHULDER JACKET、TWISTED PLEATS SKIRT、NEW JEWELRY PUFF LOAFER(全てMIKIOSAKABE)/ETOILE GLOVES(equalment)
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