沢村一樹、刑事役で重んじる“閃き”の感覚 きっかけは浅見光彦「待ち時間になぞなぞをやっていて」

俳優の沢村一樹が、16日スタートのテレビ東京系連続ドラマ『ボーダーズ 警視庁特殊事件対策班』(金曜午後9時)で主演を務める。警視総監直属の部署「特殊事件対策班(SCU)」を率いる元公安刑事・結城新次郎役。「今までやった役とは全然違う」という新たな刑事像に挑む。

元公安刑事を演じる沢村一樹【写真:増田美咲】
元公安刑事を演じる沢村一樹【写真:増田美咲】

テレ東『ボーダーズ 警視庁特殊事件対策班』で主演

 俳優の沢村一樹が、16日スタートのテレビ東京系連続ドラマ『ボーダーズ 警視庁特殊事件対策班』(金曜午後9時)で主演を務める。警視総監直属の部署「特殊事件対策班(SCU)」を率いる元公安刑事・結城新次郎役。「今までやった役とは全然違う」という新たな刑事像に挑む。(取材・文=平辻哲也)

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 結城は感情をほとんど表に出さない。チームのメンバーにも明かしていない大きな目的を抱え、自らが前に出ることも少ない。

「5人が主役で、シーンだったり、セリフで、1人1人がパッと輝いている瞬間がたくさんあった方がいいなと思っているし、たくさんそういう見せ場があるドラマなので、僕が出すぎるというよりは、ちょっと引いたところで見てるという感じではあります」

 主演でありながら、一歩引く。一方、胸の内には大きな秘密を抱えている。

「『なんか隠してるよね』っていう雰囲気を作るようにはしてますね。公安出身なので、言いたくても言えなかったりすることがいっぱいあると思うんですよ。そういう何かを抱えている雰囲気はちょっと出しときたいなって感じで作ってます」

 公安出身の刑事は過去にも演じている。今回は、前年にNHK『未解決事件』で実際に起きた事件を題材に公安関係者を演じた経験が大きいという。

「本当の公安の人からの『今だから言える話』っていう役をやったんですけど、あれがものすごく役に立ってますよ」

 長い時間をかけて証拠を積み重ねても、捜査が思うように進まない。公安特有の時間感覚やもどかしさも知った。

「諦めるところはもうきっぱり諦めるとか、待つとかっていう時間の流れが、ちょっと他の警察とは違うのかなと思ってます」

 数々の刑事役を重ねた経験も、今回はプラスに働いている。

「この年齢だからできるんだなっていうのは現場に立っていてすごく感じます。以前やった刑事役がかえって新しい役を演じる上での壁になったりすることが多かったんですけど、今回はこの積み重ねがすごく役に立ってるなって気がしてます」

 SCUには、八神佑(高杉真宙)、朝比奈由宇(玉城ティナ)、最上功太(水沢林太郎)、綿谷亮介(眞島秀和)が集結。出身部署も得意分野も違う5人のプロ集団だ。

 撮影現場の雰囲気を尋ねると、沢村は「ティナちゃんと、真宙が仲良くすればもう最高なんですけど、2人はけんかばっかりしてるんで(笑)」と切り出し、すぐに「……うそです、役柄の上でね(笑)」と笑った。

「チームワークはすごくいいです。セリフが多いので、みんなセリフのところは集中しながらも、照明を作ってる間はみんながばか話してるし、楽しくやってます。誰もキャラかぶりしていないですし、『私が私が』『俺が俺が』っていうタイプでもないし、すごくバランスいいなと思ってます」

 そんな沢村が、初めて警察官役に挑む玉城に一度だけアドバイスしたことがあった。

 朝比奈が捜査の中で何かに気付く場面。玉城は、優秀な刑事なら突然ひらめいたのではなく、以前から考えていたのではないかと解釈していた。一方、監督はもっと「思いついた瞬間」を出してほしいと求めた。

これまでの刑事役についても語った沢村一樹【写真:増田美咲】
これまでの刑事役についても語った沢村一樹【写真:増田美咲】

主演でありながら一歩引く“昼行灯”だが…

 そこで沢村が出したのが、なぞなぞだった。

「『さ・し・す・せ・そ』と書いている服は何をする時の服でしょう? っていうなぞなぞを出しました。作業服です!」

 答えが分かった瞬間の感覚こそ、伝えたかったものだった。

「その作業服って思いついた時に、脳が一瞬プルッてなるじゃないですか。『あ、分かった!』っていう。あれが僕は刑事物や探偵物をやる時は、すごく大事にしてるんです。それをなぞなぞで体験させて、『その“あ!”という時の感覚が、このシーンの“あ!”と同じだよ』って教えました」

 この“ひらめき”を意識するようになったのは、2000年から12年間演じたTBS系『浅見光彦シリーズ』の浅見光彦役だった。

「浅見光彦は、やたらひらめくので。よく待ち時間に昔なぞなぞをやっていて、『あ、分かりました!』って言った時の感じが近いなと思って」

 結城には意外な一面もある。菓子作りが趣味なのだ。

「これにも理由があるんです。だからそこが原作を知らない方が『えっ』てなるのは、ちょっと楽しみな部分ではあるんですけど」

 表向きは「昼行灯」だが、かなりの強さも秘めている。

「綿谷という一番格闘の達人がいるんですけど、綿谷と同じくらい強いかもしれないっていうのは、ちょっと匂わせたいなと思ってはいるんですよね。表には出さないけど。企画書や原作の最初のページにも『昼行灯』って書いてあったので、それをずっと頭の中に入れつつ、灯りは点しています」

 刑事役を重ねれば、自身の観察眼も鋭くなるのか。そう聞かれると、「そんなことないです(笑)」と即答した。

「本物の刑事さんが刑事ドラマを見て『面白いな』って思ってくれたらうれしいですね。実際に現場で働かれている方たちにも、ドラマとして楽しんでもらえたり、少しでも共感してもらえるところがあったらと思いながら演じています」

 感情を見せず、自らが前に出ることも抑える。数々の刑事役で積み重ねた経験を生かしながら、沢村は結城という新たな刑事像を作っている。

□沢村一樹(さわむら・いっき)1967年7月10日、鹿児島県出身。研音所属。184センチのスタイルを生かし、雑誌『MEN’S CLUB』の専属モデルとして活躍後、1996年に俳優デビュー。連続ドラマ『続・星の金貨』(日本テレビ系)、『救命病棟24時』(フジテレビ系)、『絶対零度~未然犯罪潜入捜査~』(フジテレビ系)、『刑事ゼロ』(テレビ朝日系)など数々の作品に出演し、在京民放キー5局のゴールデンタイム連続ドラマ主演を達成。NHK連続テレビ小説『ひよっこ』『虎に翼』、映画『十三人の刺客』『グランメゾン・パリ』など、幅広いジャンルで活躍している。

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○ヘアメイク:INOMATA(&’s management)
○スタイリスト:鬼塚美代子(Ange)
○衣装:GOTAIRIKU

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