「本当に悪ガキだった」―プロ顔負けのスケボー少年が14歳でラッパーへ…20歳・LOMの原点

アンダーグラウンドなストリートシーンで10代・20代から圧倒的な支持を集め、メインストリームへと躍り出たラッパーのLOM(ロム)。地元・茨城県土浦市で小学生の頃からスケートボードに明け暮れていたプロ顔負けの少年は、仲間との出会いをきっかけに14歳でラッパーを志すようになる。その3年後には『ラップスタア誕生2023』で最年少ながらトップ30入りを果たし、同世代が抱える孤独や痛みをリアルな温度感で表現し続けてきた。9月18日にリリースした最新EP『19-20』には、そんな彼の魅力が詰まった5曲を収録。次世代の旗手として期待を集める20歳の“現在地”に迫った。

ラッパーのLOM
ラッパーのLOM

最新EP『19-20』は「自分の可能性を広げた挑戦」

 アンダーグラウンドなストリートシーンで10代・20代から圧倒的な支持を集め、メインストリームへと躍り出たラッパーのLOM(ロム)。地元・茨城県土浦市で小学生の頃からスケートボードに明け暮れていたプロ顔負けの少年は、仲間との出会いをきっかけに14歳でラッパーを志すようになる。その3年後には『ラップスタア誕生2023』で最年少ながらトップ30入りを果たし、同世代が抱える孤独や痛みをリアルな温度感で表現し続けてきた。9月18日にリリースした最新EP『19-20』には、そんな彼の魅力が詰まった5曲を収録。次世代の旗手として期待を集める20歳の“現在地”に迫った。(取材・文=福嶋剛)

元坂道メンバーの熱烈なクルマ愛「最初の一台は国産車」…現在の愛車を告白(JAF Mate Onlineへ)

 まずLOMに幼少期について尋ねると、「もう本当に悪ガキでした」と静かに振り返った。

「土浦の中でも不良のたまり場みたいな地域に住んでいて、5つ以上年上のお兄ちゃんたちは、その中でも親の手に負えない悪ガキでした。幼稚園の頃から街を歩くと『〇〇さんの弟じゃん』って言われて、気付いたら自分もお兄ちゃんたちみたいにやんちゃになっていましたね」

 音楽に出会う前はスケートボードに熱中していた。

「もともと両親がスノーボードをやっていたので、物心がつく前から雪山で滑っていたんです。友達がスケボーを始めるって言うから『じゃあ俺もやる』って親に頼んで買ってもらったのがきっかけでした。始めてみたら面白くて、地元のパークでずっと練習していましたね。友達より上手く滑りたくて学校をサボって朝からパークに行くこともあって、最初はうるさかった親も、言うこと聞かないから途中で諦めていました」

 小学生の頃から大会に出場し、プロへの登竜門とされる協会公認の『AJSA大会』にも出場するなど、地元では敵なしの腕前だった。

「女の子たちが僕の滑りを見てると、ちょっとカッコつけて、普段はやらない技を決めたりしていました。まあ、その頃はあんまりモテなかったですけどね(笑)。プロになりたいというより、どれだけカッコよく見せられるか、そんなことばっかり考えていました」

 今でもスケボーは自分の手足みたいな存在だが、14歳の時に大きな転機が訪れた。

「パークにはDJやラッパーをやっているスケーター仲間もいて、9歳の時に彼らに教えてもらって、アメリカのヒップホップ・グループ、N.W.A.の伝記映画『ストレイト・アウタ・コンプトン』を見て衝撃を受けたんです。そこからヒップホップが好きになって、14歳の時に土浦のクラブでDJをやっている仲間に『自分もやりたい』って話したら『来週イベントやるよ』と言われ、思わず『じゃあ俺も出るわ』って言っちゃって。それで家に帰ってすぐYouTubeでトラックを探して、初めてリリックを書いて、次の週にはもうステージに立ってました」

 人生最初に作った曲は『夢(ドリーム)』。世には出ていないが、LOMが憧れるラッパー像を書いた曲だ。

「『ロールスロイスに乗ってやるぜ』みたいな内容で(笑)。今聴くとちょっと恥ずかしいんですけど、一度やると決めたら最後までやる性格なんで、一週間で曲を書き上げて人生初のパフォーマンスをしました。ステージに上がったらすごく緊張しちゃって、正直あんまり記憶がないんですけど、友達がみんな来てくれて、マイクを握った瞬間の気持ちよさは今でも忘れられません」

憧れの存在はBAD HOP・YZERR「曲も存在もカッコいい」

 そんな憧れの存在を聞くと、BAD HOPのYZERRと答えた。

「曲も存在もカッコいいし、BAD HOPも自分たちもサウスサイドっていう環境が似ていて、『俺もYZERRさんみたいになりたい』って今もずっと憧れの人です。ラップを始めてからは平日は曲を作って、週末は土浦のクラブでマイクを握るという生活が始まりました。土浦のクルーはみんな仲間意識が強くて、後輩だった自分にもすごく優しくしてくれて。やっていくうちに、土浦の仲間たちや音楽シーンをもっと全国で知ってもらいたいと思うようになりました」

 2023年、AbemaTVのオーディション番組『ラップスタア誕生!2023』に最年少の17歳で出演してトップ30入りを果たすと、翌年には『マイナビ 閃光ライオット2024 Produced by SCHOOL OF LOCK!』でファイナリスト10組の一人に選ばれた。

「『そろそろ売れてもいいでしょ』くらいの軽い気持ちで受けたんですけど、結果も出たので、土浦のシーンを盛り上げられるために、次はもっと大きな場所で勝負したいって思うようになりました。9月にリリースしたEP『19-20』も、もっとたくさんの人に聴いてもらいたいという気持ちで作りました」

 19歳から20歳へと成長していく、等身大のLOMを描いた作品には、「ドライブデートに最適」と語る『Diamond Love』、19歳だった当時の心境をつづった『19』、「J-POPのリスナーにも届けたいと思って作った」という『Water lily』、「強がっているだけじゃない、不安な自分も書いた」というラブソング『NAVY』、そして自身の孤独と向き合い、明日への不安や恐怖を赤裸々に描いた『幸』のLOMの新たな一面を知る全5曲が収められた。だが、前に進めば進むほど、これまで大切にしてきたものから離れていってしまう怖さもあったという。

「自分はラップも歌も、両方を大切にしていきたいんです。もともと父親が弾き語りをしていたこともあって、ガキの頃からJ-POPやロック、レゲエなどいろんな音楽がそばにありました。今はヒップホップもJ-POPも自然に混ざり合っているし、自分は両方をやっていきたい。ただ、『周りからどう思われているんだろう』という不安や、『あいつのはラップじゃない』『あっち側に行った』って言われる怖さも、正直最初はありました。でも今回、自分の可能性を広げた挑戦をリスナーのみなさんがどう受け取ってくれるのか、今から楽しみです」

 そんな彼の心の中心にある地元・土浦について聞くと、「好きで嫌いな場所」と答えた。

「嫌な思い出も全部ここにあるし、逆に土浦じゃないと感じられない安心感もあるんです。地元に帰った時の匂いとか、生まれたときからずっと吸ってきた空気とか……今でもずっと大切なものがある場所ですね。自分はそういうものを大切にしながら、楽しい時も悲しい時も、ありのままの気持ちを曲にして、たくさんの人に届けていきたいです」

□LOM(ロム)2005年生まれ。茨城県土浦市出身。14歳のとき、映画『ストレイト・アウタ・コンプトン』をきっかけにHIPHOPに衝撃を受ける。以来、地元でスケートボードをしながらラッパーとして本格的に活動を開始。21年リリースのS-Liamとの共作『SECRET NIGHT』は10~20代を中心にTikTokでバズを起こし、TikTok音楽チャートで4位にランクイン。23年、AbemaTVによる新たな“ラップスタア”を発掘するオーディション番組『ラップスタア誕生2023』に最年少の17歳で出演し、制作時間わずか20分で書いた楽曲でトップ30入りを果たす。25年、百足&Albert Connorと共にリリースした楽曲『LV (feat.百足&Albert Connor) [Remix]』がTikTok音楽チャートで1位を獲得し、5週連続TOP10入りを果たす。26年9月18日、EP『19-20』をリリース。

次のページへ (2/2) 【写真】20歳のラッパー・LOMのアザーカット
1 2
あなたの“気になる”を教えてください