月に30万円を格闘技に費やす情熱 UFC登竜門に挑む万智の飽くなき探求心「練習きついが分からない」<インタビュー第2弾>

総合格闘家で現DEEP JEWELSストロー級王者の福田万智(23=フリー)は世界最高峰の団体・UFCの登竜門「ROAD TO UFCシーズン5」の準決勝(8月28日、中国・上海オリエンタルスポーツセンター)でメン・ボー(中国=30)と対戦する。ENCOUNTではそんな万智にインタビューを実施。UFCに惹かれた意外な理由や練習環境、そして普段、表では見せない真面目な一面を全3回にわたって深堀りする。第2弾は、天真らんまんなキャラクターの裏に隠された、格闘技への情熱と「真面目な素顔」に迫った。

「ROAD TO UFCシーズン5」の準決勝に挑む福田万智【写真:ENCOUNT編集部】
「ROAD TO UFCシーズン5」の準決勝に挑む福田万智【写真:ENCOUNT編集部】

「ROAD TO UFCシーズン5」連載~福田万智第2回~

 総合格闘家で現DEEP JEWELSストロー級王者の福田万智(23=フリー)は世界最高峰の団体・UFCの登竜門「ROAD TO UFCシーズン5」の準決勝(8月28日、中国・上海オリエンタルスポーツセンター)でメン・ボー(中国=30)と対戦する。ENCOUNTではそんな万智にインタビューを実施。UFCに惹かれた意外な理由や練習環境、そして普段、表では見せない真面目な一面を全3回にわたって深堀りする。第2弾は、天真らんまんなキャラクターの裏に隠された、格闘技への情熱と「真面目な素顔」に迫った。(取材・文=島田将斗)

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“愛嬌の押し売り”で世界的スターを目指すと公言し、底抜けに明るいキャラクターで試合後会見でも報道陣を笑顔にしてしまう万智。しかし、格闘技の話になるとその表情はまるで探究者のように様変わりする。特定のジムに所属しないフリーで練習をしているが、強くなるための自己投資を一切惜しまない。

「私、格闘技にめちゃくちゃお金かけてるんです。パーソナルもしてもらってるし、勝つためならめっちゃベットする。体のケアとか全部入れたら、月に30万円ぐらいはかかってますね」

 練習は月曜日から日曜日までの毎日。津田勝憲氏のアイリーベースや、佐藤将光のファイトベースなどを出稽古で渡り歩く日々。同世代が楽しむような娯楽にも無頓着だ。

「自分に何か買うとか、あんまりしないですね。毎日ずっと練習してるんで、お店も行けないし、疲れて遊ぶ気にもなんない。本当に格闘技しかしてないです。お金持ちになりたいというより、やっぱり一番は『強くなりたい』。むしろ、そのために頑張ってお金稼いできます、本当にマジで」

 強さへの飽くなき探求心は、トレーニングの量だけにとどまらない。その強さを支えているのは、ち密な自己分析だ。

「自分は不器用なんで、自分で組み立てないと『できない』ってなっちゃうんです。だから全部、作戦は自分で考えてます。あまり恥ずかしいので言いたくないんですけど……真面目キャラみたいな(笑)」

3冊にも及んだ「格闘技ノート」【写真:ENCOUNT編集部】
3冊にも及んだ「格闘技ノート」【写真:ENCOUNT編集部】

誕生日には格闘技に関するメモをするためのホワイトボードを購入

 照れ笑いを浮かべながら明かしたのは、3冊にも及ぶ「格闘技ノート」の存在だった。

「今日の練習の目標を書いて、できなかったら『なんでできなかったか』を書いて、できたことも書く。できなかったことを将光さんたち先輩に聞いて、またノートに書いて、次試して……みたいなことをやってますね。だから作戦も立てやすいっちゃ立てやすいです」

 ノートだけにとどまらない。文字に起こして見ないと忘れてしまう性格のため、昨年の誕生日には自宅に置くためのホワイトボードを購入。ここにも、さまざまな考え方を記し、常に目に入るようにしているそうだ。「最近は、試合中に『この時どうしよう』って考えるのをなくしたくて、感覚で動けるぐらいまで練習の回数をこなして、引き出しがどんどん増えてきました」とその効果も明かした。

 前回の試合では、計量後から試合当日までに「1日で8キロ戻した」ことも話題を呼んだ。通常体重は63~64キロ。万智は1か月かけて脂肪を落とし、最後に水抜きで調整する。

「(前回の)計量後に、とにかくお粥とお餅と、米と塩と日本食みたいなのをずっと食べてたら、8キロ戻ってて自分でもびっくりしました(笑)。組んだ時に『相手の腰がめちゃくちゃ軽い』と思ったし、パワーの差は感じましたね」

 つらい減量や、息の詰まるような猛練習。なぜそこまで自分を追い込めるのか。その答えは極めてシンプルだった。

「ただ格闘技が好きですね。本当に好きです。言い方は難しいのですが、練習がきついって思ってる意味が分からない。自分が選んでやっているわけだし、きついって感じるんだったらやめればいいと思う。万智は好きだからやってるだけです。

 試合があるたびに、自分が成長していくのが分かる。なんか、自分が生きている感じがしてうれしいんです。何もないと『何のために生活してんのか分かんない』みたいになっちゃうけど、試合が決まれば気持ちも引き締まるし、刺激が欲しい。ただ試合がしたいんですよね」

 取材中、実際にその「格闘技ノート」を見せてもらう機会があった。書道師範の資格を持つという手書きの文字は達筆そのもので、日々の思考の跡が深く刻まれている。文字がびっしりと埋め尽くされたページから、本人にしか分からない感覚的なページまでさまざまだが、その細かな記録こそが「格闘技が好き」という言葉の何よりの証明だった。

(第3回へ続く)

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