是枝裕和監督、綾瀬はるかの涙の演技に言及 「子どもたちは『女優さんってすげぇ』と言っていました」

映画監督の是枝裕和氏が21日、自身が原案、監督、脚本、編集を務め、俳優の綾瀬はるかとお笑いコンビ・千鳥の大悟がダブル主演を務めた映画『箱の中の羊』(公開中)のティーチイン付き舞台あいさつに登壇。観賞を終えたばかりの来場者から質問に答える形で制作秘話を明かした。

舞台あいさつに登壇した是枝裕和氏【写真:ENCOUNT編集部】
舞台あいさつに登壇した是枝裕和氏【写真:ENCOUNT編集部】

映画『箱の中の羊』ティーチイン付き舞台あいさつ

 映画監督の是枝裕和氏が21日、自身が原案、監督、脚本、編集を務め、俳優の綾瀬はるかとお笑いコンビ・千鳥の大悟がダブル主演を務めた映画『箱の中の羊』(公開中)のティーチイン付き舞台あいさつに登壇。観賞を終えたばかりの来場者から質問に答える形で制作秘話を明かした。

 同作の舞台は、少し先の未来。息子・翔を亡くした建築家の音々(綾瀬)と工務店の2代目社長・健介(大悟)の甲本夫婦は、翔の姿をしたヒューマノイド(桒木里夢)を迎え入れ、再び家族としての時間が動き出す。その一方で、静かに波紋が広がっていき、夫婦は大きな決断を迫られる。

 役者として活動している女性は、ヒューマノイドの子どもたちの前で音々が涙を流すシーンに注目し、「あのシーンは1カットで撮影されたのでしょうか?」と質問。是枝監督は「あのシーンが大事なシーンだというのは撮る前から分かっていました。みんなに触りながらしゃがんで泣くカットを3テイクくらいやっている。アップになったところも1回ではないです」と答え、「子どもたちはOKが出た後に『女優さんってすげぇ』と言っていました」と明かした。

 涙を流す演技について、「女優さんによってタイプが違って、1度泣いてしまうと次時間が必要な人、お芝居の中で気持ちを作るストロークがあれば何度でも泣ける人もいる。人によっては笑っていて3秒でボロボロ泣ける人もいます」とコメント。「綾瀬さんは気持ちを作る時間があれば泣くことができるそうです」と説明した。

「映画の制作を進めていく中で生成AIの進化のスピードはすごかったと思います。その点で悩んだことはありますか?」という問いには、「それなりに最先端の研究家の方の話も伺って、できるだけ反映しようと思ったのですが、スピードが速すぎた」と驚きを振り返り、「最先端へ、最先端へとやっていっても、おそらく公開された時には最先端ではなくなると思った。ある程度の進化を想定して進化は織り込んでいるのですが、映画の主軸は『生成AIがどうなるか?』ではなく、それを受け入れる側の人間がどう向き合っていくかの話です。なので、そちらを軸にきちんと物語を書こうと考えました」と回答。「この作品が出来上がった後、生成AIが人間を介さずにAI同士でコミュニケーションを始めているというニュースに触れた時、あながちこの物語の着地も遠くはないと感じました」と話した。

 4度目の鑑賞という男性が、タイトルにある2つの「の」の字がフォントが違っている理由を尋ねると、是枝監督は「これはデザイナーから出てきたアイデアなんです。正直言うと、僕は最初気づかなかった。『よく見たら違う』と思ったんですけど、『なんで違うんですか?』と聞くのも野暮だと思って、聞いていません」と告白。「今、いい意味付けがもらえたら、それをそのまま僕がそういうものだとしゃべろうかと思っているくらいです」と笑った。

 本作は、5月29日に全国365館で公開を迎え、公開18日間で動員44.6万人、興行収入6億円を突破。第79回カンヌ国際映画祭 コンペティション部門 正式出品作品で、公開後も国内外で大きな反響を呼び続けている。

トップページに戻る

あなたの“気になる”を教えてください