電車内でモバイルバッテリー、鉄道会社からの「控えて」に物議 スマホ当たり前の時代になぜ? 東急が回答

東急電鉄が電車内でのモバイルバッテリーによる充電を控えるよう呼びかけ、ネット上で物議を醸している。車内での発火事故を受けての注意喚起だが、利用者からは「モバイル乗車券や時刻表確認でスマホ使用が前提なのに不安」といった声もある。呼びかけの意図や背景について、東急電鉄株式会社の広報担当者に聞いた。

モバイルバッテリーの発火事故が相次いでいる【写真:写真AC】(写真はイメージ)【写真:写真AC】
モバイルバッテリーの発火事故が相次いでいる【写真:写真AC】(写真はイメージ)【写真:写真AC】

車内発火事故を受け「充電控えて」呼びかけ

 東急電鉄が電車内でのモバイルバッテリーによる充電を控えるよう呼びかけ、ネット上で物議を醸している。車内での発火事故を受けての注意喚起だが、利用者からは「モバイル乗車券や時刻表確認でスマホ使用が前提なのに不安」といった声もある。呼びかけの意図や背景について、東急電鉄株式会社の広報担当者に聞いた。

「東急線において、モバイルバッテリーによる充電中の発火が発生いたしました。車内での充電はお控えくださいますようお願いいたします。また、落下などによる衝撃に十分注意していただき、発火や発煙を見かけた際は、落ち着いて安全確保のうえ、すみやかに係員へお知らせください」

 今月15日、東急電鉄は公式サイトやSNSでこう呼びかけた。同日8時15分ごろ、東急東横線の武蔵小杉駅に停車中の車両で、乗客がスマートフォンを充電していたモバイルバッテリーから発火・発煙が発生。この影響で東横線は一時運転を見合わせ、約3万5000人に影響があった。

 この呼びかけに対し、ネット上では「車内の安全を考えれば当然だと思う」「電車で火事になったら怖すぎ」「乗車中くらい充電しなくても大丈夫でしょ」など、理解を示す声が多く寄せられた。

 一方、モバイルSuicaやPASMO、QRチケット、経路検索、時刻表の確認など、鉄道利用でスマートフォンを使う場面も増えており、「スマホの充電が少なくなっても充電できないのは不安」「さすがにモバイルバッテリーを使うなは無理がある」といった反発の声も。東急電鉄の駅構内にモバイルバッテリーのシェアリングサービス「CHARGESPOT」が設置されていることから、注意喚起との兼ね合いを疑問視する声もある。

 東急電鉄の広報担当者は17日、ENCOUNTの取材に「5月18日の池上線車内での事象や、6月15日の東横線車内での事象など、モバイルバッテリーによる充電中の発火・発煙が続いて発生しており、車内は発火時の危険が大きくなる環境であるため、車内での充電を控えていただくよう注意喚起を実施いたしました」と今回の注意喚起に至った経緯を回答。

 車内でのモバイルバッテリー発火について、担当者は「ホームや待合室と比べて、車内は狭い空間でもあることから発火時に付近のお客さまへの被害が拡大する恐れがございます」とその危険性を説明する。

 ただし今回の呼びかけは、あくまで利用者への「お願い」という位置づけだ。乗務員らが車内でモバイルバッテリーを使用している乗客を見かけても、「現在のところ、乗務員や駅係員がお声がけする予定はございません」としている。

 では、移動中にスマホを充電する必要に迫られた時はどうすればいいのか。担当者は「車内での充電はお控えいただき、ホームや駅構内にて充電いただきますようお願いいたします」と呼びかける。駅構内に設置されている「CHARGESPOT」についても、車内ではなく駅構内での使用は可能としたうえで、「落下や衝撃に注意して充電いただきますようお願いいたします」としている。

 モバイルバッテリーをめぐる事故は、鉄道に限らない。近年は航空機内での発煙・発火も相次ぎ、国土交通省は4月24日から、旅客機内でのモバイルバッテリー持ち込みの個数制限や充電禁止などを求める新ルールの適用を開始している。

 東急電鉄でも今後の対応について、注意喚起のポスター掲出などを検討しているという。スマートフォンの利用が前提になりつつある鉄道利用で、充電の利便性と車内の安全をどう両立するのか。鉄道各社も難しい判断を迫られている。

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