弱小プロレス団体はなぜ一部上場企業のグループに入れたのか 高木三四郎を独占直撃

DDTの社長兼プロレスラー、高木三四郎(49)が新著「年商500万円の弱小プロレス団体が上場企業のグループ入りするまで」(徳間書店)を上梓した。設立22年を迎えた老舗団体は、2017年に東証一部上場企業のサイバーエージェント・グループに加入し、今や興行規模、年商でメジャー団体を凌駕するほどの成功を収めた。今後は最大手の新日本プロレスを抜き、業界1位に君臨することが目標だ。かつての弱小団体はなぜここまで大きく成長することができたのか。独自手腕を発揮する高木の“経営哲学"に迫った。

お決まりのポーズを決めた高木
お決まりのポーズを決めた高木

「年商500万円の弱小プロレス団体が上場企業のグループ入りするまで」を上梓

 DDTの社長兼プロレスラー、高木三四郎(49)が新著「年商500万円の弱小プロレス団体が上場企業のグループ入りするまで」(徳間書店)を上梓した。設立22年を迎えた老舗団体は、2017年に東証一部上場企業のサイバーエージェント・グループに加入し、今や興行規模、年商でメジャー団体を凌駕するほどの成功を収めた。今後は最大手の新日本プロレスを抜き、業界1位に君臨することが目標だ。かつての弱小団体はなぜここまで大きく成長することができたのか。独自手腕を発揮する高木の“経営哲学”に迫った。

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――この本で訴えたいことは何でしょうか。

「今、ベンチャーでやられる若い人とか、脱サラして会社を立ち上げる人は多い。そういう人たちに中小企業ならではの立ち回りだったり、アイディア1つで大手企業のグループに入るようなことも可能だよと。そういう道をちょっと知らせたいなと思いました。プロレスってニッチな世界じゃないですか。そのニッチな世界でもコンテンツの内容とやり方次第では、そういう道も作れるんだよということを表したかった」

――サイバーエージェント・グループに入ってDDTは何が変わりましたか。

「一番は信用度というのが増しましたね。ボクがオーナーの状態で、個人資本での限界を感じていました。それは、信用の部分。アイディアとか選手のパフォーマンスとか、そういう素質みたいなものは負けてる気はしなかったので、そこはDDTにとって大きかった」

――具体的にどのような場面で実感しましたか。

「スポンサー回りしている時に『実はウチ、サイバーエージェント・グループで』って言うと、皆さんびっくりされる。『エッ、サイバーの?』みたいな。そういうところですよね」

――通常のプロレス団体にはない後ろ盾ができました。

「はい、それは大きかったですね。それが今までのプロレス団体にはないものかな。歴史にはどう考えてもかなわない部分がある。新日本プロレスさん、全日本プロレスさんとか、ノアさんとか、歴史には絶対かなわない。そういうところを補いたかったのと、あとはメディアですね。AbemaTVというのは、次世代のメディアといわれている。10代の子たちはみんなAbemaTVを見てますよね。そういう人たちにプロレスを幅広くアピールできるチャンスが広がったのかなと思っています」

――サイバーエージェント・グループに入っても変わらなかったことは。

「それはウチのノリですね。ボクも入る前までは構えている部分があって、ひょっとしたらボクらの自由な雰囲気とかノリが上場企業のグループに入ることで、コンプライアンスの問題とかで、規制される部分とか出てくるのかなと思ったんですけど、藤田(晋)社長から『ボクらが経営陣に入るとDDTの企業文化が損なわれる可能性があるので、ボクらは基本的には側面的支援でいかせてください。中身はDDTさんにお任せします』と言われて、本当に大丈夫かというくらい好きにやらせてもらっています。そこはすごいボクの中でもありがたい。そこは変わらないところですね」

――設立から22年を迎えました。新日プロがストロングスタイル、全日プロが王道なら、DDTは何でしょう。

「エンターテインメントじゃないですかね。DDTって何って言われた時、エンターテインメントという言葉が出てくるくらい、スタイル的にはそういうお客さんを楽しませる要素みたいなところはやっぱりあるのかなと思います」

――かつてTAJIRI選手が「プロレスから笑いが生まれたら三流だ」とツイートし、波紋が広がりました。

「そこだけの言葉尻を捉えると、確かにそうかもしれないですけど、でも、TAJIRI選手もWWEというエンターテインメントの団体にいたわけであって、表現方法とか違うかもしれないけど、基本的にはボクらの中では一緒だと思っています。ボク何とも思ってなかったんですけど、ウチのマッスル坂井が必要以上にそれを拾ったんで(騒動になった)。『拾うな、拾ったら負けだよ』って言ったんですけど、アイツが熱くなって拾っちゃったんで……。ボクは別になんとも思っていなかった。TAJIRIさんのいつものアレでしょう、みたいなくらいしか思っていなかったです」

――プロレスに笑いは「アリ」ということですね。

「はい。でも、たぶんTAJIRIさんだって、笑いはありだと思っているほうだと思いますよ。笑いはありですね。喜怒哀楽のすべてが入っているのがプロレスだとボクは思っているので。そこに喜ぶとか、楽しいとかっていうのがなくなっちゃったら……。ボクはプロレスは人生だと思っていますし、やっぱり人間を表現する場だと思っています。そこを省いちゃったら、それがない人間になっちゃうので、たぶん、ものすごく魅力的じゃないものになると思います」

――そういった考えは22年間変わらないですか。

「全然変わらないですね。ただ、もちろん、楽しませることだけでもよくないし、喜ばせることだけでもダメだし、怒りは必要だし、悲しみも必要だし、それらすべてが包括されているのがプロレスだと思っています」

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