たばこポイ捨て犯に「ご苦労様」 12年拾い続けた住民女性の心境告白に驚愕 迷惑行為なのになぜ?
自宅前に約12年にわたって捨てられていた、たばこの吸い殻。ある日を境にぱたりとなくなったという投稿が、Xで反響を呼んでいる。長年の迷惑行為を、怒りだけではなく、どこかユーモラスに受け止めてきた独特の語り口に、多くの人が引きつけられた。投稿した女性に詳しく話を聞いた。

「煙草ポイ捨て犯との戦いが遂に終わってしまった」
自宅前に約12年にわたって捨てられていた、たばこの吸い殻。ある日を境にぱたりとなくなったという投稿が、Xで反響を呼んでいる。長年の迷惑行為を、怒りだけではなく、どこかユーモラスに受け止めてきた独特の語り口に、多くの人が引きつけられた。投稿した女性に詳しく話を聞いた。
「家の前の煙草ポイ捨て犯との戦いが遂に終わってしまったようだ。ここ1ヶ月半ポイ捨て無し。その歴史、なんと12年(笑)!」
5月2日、Xにこう投稿したのは「あすか」さん(@asukawwide1225)。50代の女性で3人家族、持ち家で暮らしながら、着物ブロガーとして活動している。約12年という長さもさることながら、投稿が注目されたのは、その後につづられた心境の変化だった。
「当初こそ『おのれええええ毎日毎日捨てやがってえええ』だったが、そのうちメサコン(メサイアコンプレックス=人助けや自己犠牲の使命感に駆られる心理状態)発揮して『今日もまた功徳積んでしまったわ、オホホホホ』と娯楽になり拾い続けて12年」
あすかさんによると、吸い殻は平日に1本だけ落ちていたという。夕方に掃除しても翌朝には落ちていることがあり、朝に掃除しても翌朝また見つかる。そのため、“犯人”は夜に帰宅する会社員ではないかと考えていた。
「あくまで予想ですが、仕事帰りに最寄りのバス停で降り、そこから火をつけ、うちの前に来たあたりで吸い終わる人だったのではないかと思います」
そして、ある日を境に吸い殻はぱたりとなくなった。投稿時点では約1か月半、取材時点では約2か月、ポイ捨ては確認されていないという。
「これはポイ捨て犯が退職してバスを使わなくなったんだろうな……そうか、長い間お勤めご苦労様と思うなどした。いや、どんな交流やねん(笑)」
迷惑な相手であるはずなのに、12年も続くと、もはや生活の一部のようになっていたのだろう。投稿には、「その好敵手がいなくなってしまったような気持ち…わかります…!」「こういう方がいるから治安が守られていると日々思う」「こんな心広くなれないわ 私なら待ち伏せして怒鳴りつけたる」「生き仏みたいな人の話」など、驚きや称賛の声が相次いだ。
「美談というほどではない」本人が語る12年の心境
当初は腹も立った。しかし、毎日きっちり1本だけで、量が増えるわけでもなかった。もちろん、ポイ捨てが許されるわけではない。あすかさんも、もし植え込みのように火災の危険がある場所だったなら、しかるべき対応を取っていたという。だが、捨てられていたのは延焼しにくい場所だったため、大ごとにはしなかった。
「私から見れば家の真ん前ですが、犯人は公道の端っこに捨てている感覚で、建ち並ぶ家に人が住んでいるという感覚がなく、風景のようにしか見えていなかった人なのだろうなと」
一時は「ポイ捨て禁止」の貼り紙を考えたこともある。しかし、貼ったところで別の家の前に捨てられるだけかもしれない。そう考えた結果、自分で拾い続けた。
一種の美談として受け止める声もあったが、あすかさんは意外なほど淡々としている。
「主婦をしていれば、名もなき家事や他の家族の後始末は日常茶飯事です。それでとてもいらついてしまう人もいれば、割と平気な人もいる。私は後者なので、美談というほどではないと思っています」
この言葉にも、あすかさんらしさがにじむ。怒りを無理に美談へ変えているわけではない。迷惑行為を肯定しているわけでもない。ただ、日々の小さな不快を、真正面から怒り続けるのではなく、少し角度を変えて受け止めてきた。
その一方で、ポイ捨てがなくなった今、思わぬ変化もあったという。
「ポイ捨てがなくなって2か月くらいになりますが、そのせいで掃除をサボりがちになってきたので、やっぱり迷惑ながらも役立っていたポイ捨てだと思っています」
本来なら、たばこの吸い殻がない方がいいに決まっている。それでも、毎日1本の吸い殻を拾うことが、結果的に家の前を掃除するきっかけになっていた。あすかさんの言葉を借りれば、この出来事は「悪いことばかりでも美談でもない」。12年間の“戦い”は、怒りから始まり、日課になり、最後には少しだけ寂しさを含む笑い話として幕を閉じた。
もちろん、ポイ捨てはしてはいけない。それでも、あすかさんの投稿が多くの人に響いたのは、小さな迷惑を自分なりに日常へ取り込んできた不思議な強さと独特のセンスがあったからだろう。あすかさんの日常から“好敵手”はいなくなったが、その淡々とした語り口は、SNS上に思わぬ余韻を残している。
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