Perfume、突然の“コールドスリープ”舞台裏 映画撮影中に急転…佐渡岳利監督が密着した激動の日々
3人組テクノポップユニット・Perfumeの“コールドスリープ”の裏側に迫ったドキュメンタリー映画『Perfume“コールドスリープ”-25 years Document-』が、5月15日から公開された。2025年9月21日に突如発表された年内をもっての“活動凍結”のニュースは、多くの人々の関心を集めた。その反響の大きさからも、3人が歩んできた25年間という道のりが、いかに唯一無二のものであったかが伝わってくる。今作では、そんな3人が“コールドスリープ”という決断に至った経緯や、未来への期待を抱かせてくれるような映像の数々が収められている。

“コールドスリープ”の裏側に迫ったドキュメンタリー映画が15日から公開
3人組テクノポップユニット・Perfumeの“コールドスリープ”の裏側に迫ったドキュメンタリー映画『Perfume“コールドスリープ”-25 years Document-』が、5月15日から公開された。2025年9月21日に突如発表された年内をもっての“活動凍結”のニュースは、多くの人々の関心を集めた。その反響の大きさからも、3人が歩んできた25年間という道のりが、いかに唯一無二のものであったかが伝わってくる。今作では、そんな3人が“コールドスリープ”という決断に至った経緯や、未来への期待を抱かせてくれるような映像の数々が収められている。(取材・文=中村彰洋)
今作のメガホンを握ったのは佐渡岳利監督。過去には、PerfumeがMCを務めていたNHK『MUSIC JAPAN』(2007~2016)で制作統括を担当、2015年に公開されたドキュメンタリー映画『WE ARE Perfume -WORLD TOUR 3rd DOCUMENT』の監督を務めるなど、3人の成長を見守り続けてきた。ENCOUNTでは、佐渡監督にインタビューを実施。今作の撮影の舞台裏、さらには、チームPerfumeの魅力などについて語ってもらった。
(※以下、映画の内容に関する記述が一部含まれます)
――今回の映画を撮影することになったきっかけからお聞かせください。
「最初は、Perfumeの20周年に併せて、公開する予定で密着させてもらっていました。2020年にいろいろ大きなプロジェクトが動いていたので、2019年のコーチェラ(アメリカで開催される世界最大級の野外音楽フェス)ごろから撮影がスタートしています。でも、コロナ禍になってしまい、いろんなものが中止になり、しばらく社会全体も止まってしまったので、撮影もストップしていました。コロナ禍が落ち着いた後、2023年ごろから徐々に撮影も再開するようになって、タイミング的にも、2025年の25周年が近づいてきたので、25周年のドキュメントにしましょうという流れでしたね」
――そんなにも前から動かれていたことに驚きました。
「そうなんです。2020年のコロナ禍で東京ドーム公演が中止になってしまった日も撮影で入っていました」
――映像の中では、“コールドスリープ”という選択肢が浮かび上がった瞬間も捉えていらっしゃいますね。
「あの日はリハーサル日だったので、いつも通り撮影に入っていました。リハが終わったら、『大事な話があるそうなので、撮影してもらえますか』と言われて、普段はカメラ数台で撮影しているのですが、その時は『監督だけにしてほしいです』ということで。『何があるんだろう』と思っていたら、あ~ちゃんが結婚すると発表して、『えー!』と驚いて。そうしたら、“コールドスリープ”の話も出てきて。どちらも何も知らずに撮影に入っていたので、本当に驚きました」

撮影期間に立ち会った“貴重な瞬間”「もうこんな経験はできない」
――スタッフの方々が動揺している様子なども収められていて、とても印象的な場面でした。多くのドキュメンタリーを撮影されてきたかとは思いますが、なかなかそういった場面に撮影で立ち会うこともなさそうですね。
「なかなかないというか初めてですし、もうこんな経験はできないと思います」
――“コールドスリープ”の話が挙がるまでは、映画のテイストも「25周年の集大成」を想定していたかと思います。あの日から一気にプランも変わっていったということでしょうか。
「ものすごく大きく変わりました。びっくりしたことは間違いないですが、“コールドスリープ”を描くという明確な目標ができたので、そこから先は、そこを目掛けて作っていきました」
――作品の重みのようなものも変わってきますね。
「おっしゃる通りです。もちろん、作る時はいつもベストなものを目指して作るのですが、25年の活動が一区切りするという局面ですから、特別ですよね」
――過去の貴重な映像や写真も映画内では登場しますが、どのようなことを意識して使用するものを決めていったのでしょうか。
「今回は、Perfumeの曲は何曲か知っているくらいだけど、“コールドスリープ”で興味を持って、ちょっと見てみようかなと足を運んでくださる方も少なからずいらっしゃると思っています。なので、そういった方々が理解しやすい内容にしないといけない。であるならば、Perfumeの成り立ちがよく分かる映像を紡がないといけない……という観点で映像を選んでいきましたね」
――映画内では、PerfumeさんとMIKIKO先生の4人だけでの話し合いの様子も収められていますが、このシーンは定点カメラでの映像となっていましたね。
「あのシーンは、本当に4人だけの話でしたから、我々がお邪魔するのも無粋でしたので」
――後半に登場する“コールドスリープ”後の3人のそれぞれの日常を捉えた映像も印象的でした。
「年内での“コールドスリープ”が決まって、どうしようかなと考えたのですが、見ている方、特にこれはファンの方に向けてという思いが大きいですが、未来への希望が感じられるようなシーンは作りたいと思いました。かしゆかは、ヘアドネーションで髪の毛を切ると以前から言っていたので、それだったら三人三様で何かあるといいね、とご相談して撮影が実現しました」

身近で見届けた“チームPerfume”の成長「向上心に満ちているところが魅力」
――佐渡監督とPerfumeさんの出会いはいつ頃だったのでしょうか。
「『ポリリズム』(2007年)でブレイクして、彼女たちが急にテレビに出るようになった頃からだと思います。その頃に僕が『POP JAM』や『紅白歌合戦』を担当していたので、その頃が最初の出会いでしたね」
――佐渡監督は『MUSIC JAPAN』の制作統括もされていましたが、この番組を機に深く関わるようになったということでしょうか。
「それ以前から番組には関わってはいましたが、制作統括になったのは2009年の夏ごろでした。PerfumeがMCになったのが、その年の4月だったので、ほぼ同時期です。レギュラーで毎週のように会うようになっていったという流れですね」
――2015年には『WE ARE Perfume -WORLD TOUR 3rd DOCUMENT』の監督を務められていますが、やはりそういった信頼関係があったからこそだったのでしょうか。
「その前も、Perfumeの局面局面で番組としていろんなドキュメントを担当させてもらっていました。ちなみに、NHKにいると商業作品を担当することができないのですが、たまたま人事異動で、2013年ごろにNHKエンタープライズに出向することになったんです。それで、商業作品に携われるようになって、ワールドツアー自体は2014年だったので、ちょうどそのタイミングでお話をいただけました」
――20年近く前からPerfumeさんを見ていらっしゃるかと思いますが、“コールドスリープ”をした3人についてどのような感情を抱かれていらっしゃいますか。
「長年成長していく姿を身近で見ていて、彼女たちが常に新しいことにチャレンジしてきたことを知っていましたので、今回『こういった新しいチャレンジの仕方もあるんだ』と感心しますね」
――出会った当時からの3人の成長についてはどのように見届けられていますか。
「本当にちょっとずつちょっとずつ成長して、どんどんスキルが上がり、どんどんプロフェッショナルになっていったなという印象です。とてもオープンマインドで、素晴らしい人柄なのは全く変わらないですね」
――間近で成長を見届けてきた佐渡監督から見た、“チームPerfume”の魅力はどのような部分でしょうか。
「メンバー自体は、それこそレディーガガとかビヨンセのような強烈な天才ではないと思います。でも、歩みを止めずに前を向いて、その過程で素晴らしいチームを組みながら、一歩ずつ一歩ずつ、昨日より今日、今日より明日と成長を続けてきたアーティストだと思います。それに伴って、MIKIKO先生や中田(ヤスタカ)さんも一緒にどんどんフェーズが上がっていく……そういうチームですよね。チーム全体が向上心に満ちているところが魅力なんだと思います」

ドラマ制作志望で入社も…音楽を生業にして約40年「当初は複雑な気持ちも」
――佐渡監督ご自身のことについてもお聞きしたいのですが、そもそもはドラマ制作志望だったとお聞きしました。
「そうなんです。音楽は好きでしたが、生業になるとは全く思っていませんでした。でも、配属されたのが音楽セクションだったんです。当初はいろいろ複雑な気持ちもありまして、というのもNHKですので、音楽業界の方々も丁寧に向き合ってくださるのですが、それは自分に価値があるのではなく、NHKに価値があるということ。その状況は最初居心地が悪いものでした。でも、僕自身が素晴らしいと思っているミュージシャンの魅力を世界へ広げていくことができる仕事なんだと考えると、実は素晴らしい仕事なんじゃないかと、ある時に思える瞬間がありまして、それ以来、音楽の仕事に納得して取り組めるようになりました。音楽の良さというものを感じることがたくさんあって、そのまま40年近く続けています」
――さまざまな場面に立ち会うことも多いかと思いますが、どういった瞬間に楽しさを感じるのでしょうか。
「作品が出来上がった瞬間は充実感があって楽しいですね。でも、作る作業自体は割とどれも嫌いなんです(笑)。撮影も編集も嫌いなので、自分でもよく続いていると思います。だから、仕事で『すごく楽しい!』みたいな瞬間はそんなにないかもしれません」
――ドキュメンタリー作品は、その人たちが生きている瞬間を切り取っていくものだと思いますが、魅力はどういった部分になるのでしょうか。
「僕はアーティストの方を撮影することが多いので、その人の根幹的な部分の魅力をプレゼンテーションできるところを魅力に感じています」
――作品を作られている過程などで、手応えを感じる瞬間などもあったりはされるのでしょうか。
「なんとなくはありますね。言葉で表現することが難しいですが、僕は音楽が多いので、ライブの時など、なんとなく『キタキタキタ!』と感じる時があるんです。観客の反応も素晴らしくて、言葉にできないミラクルな瞬間があるのですが、そんな時に手応えを感じますね」

佐渡監督が今作に込めた思い「Perfumeを深くは知らなかったという方々に見ていただきたい」
――佐渡監督は、Perfumeさんだけではなく、さまざまなアーティストの方々と一緒に成長していくという経験もされているかと思います。
「そうですね。やっぱり長いお付き合いをできている方からは、僕らもその分たくさんの刺激を受けますね。長ければ長いほど、意思の疎通も言葉を交わさずともできるようになっていきますし、そんな方々にふさわしくあらねばと日々思います」
――今作で注目してほしいシーンなどはございますか。
「シーンというよりも、これまでPerfumeを知ってはいるけど、そこまで深くは知らなかったという方々に、ぜひ見ていただきたいと思っています。今回は、3人が小さい頃から一本の道を前だけを向いて歩んできた人たちが、“コールドスリープ”という状況に直面して、どう考えが変わり、どう進んでいくのか……という作品です。同じような状況の方、当たり前の日常に疑問を持たず、毎日を過ごしている方、現実と向き合わねばならないため、何か思うことがあってもうまく変わることができない方……そんな方々にとって、ヒントになる作品になったと思います。人生のターニングポイントにおいて、『自分だったらどうなんだろう』という観点からご覧いただけるとうれしいですね」
――先ほども佐渡監督がおっしゃっていたように、未来を感じさせる終わり方になっていたかと思います。ファンも未来があると信じて待っていると思います。次回以降、Perfumeさんでどういった作品を撮りたいなどと考えることはございますか。
「次にお声を掛けていただけるかどうかは分からないですが、その時はその時で、メンバーの方向性やテーマも違ってくるかもしれないので、メンバーが考えていることを、素直にストレートに表現できるような作品が作れたらいいなと思います。そういった機会があるといいですが……(笑)」
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