「失敗は成功の始まり」――SHOCK EYE、厳格な武士の家系に育った“問題児”がレゲエで「歩くパワースポット」になるまで
レゲエグループ・湘南乃風のSHOCK EYEは、占い師・ゲッターズ飯田氏から今まで見た中で1、2を争う“強運の持ち主”と称されたことをきっかけに、「歩くパワースポット」と呼ばれるようになった。「失敗を失敗だと思うな」――。そう説く彼にも、かつて“失敗”と、背負ってきた宿命への葛藤があった。

音楽への道を切り開いた若き日の失敗
レゲエグループ・湘南乃風のSHOCK EYEは、占い師・ゲッターズ飯田氏から今まで見た中で1、2を争う“強運の持ち主”と称されたことをきっかけに、「歩くパワースポット」と呼ばれるようになった。「失敗を失敗だと思うな」――。そう説く彼にも、かつて“失敗”と、背負ってきた宿命への葛藤があった。(取材・文=小田智史)
2003年に湘南乃風の一員としてデビュー後、06年には『純恋歌』が年間シングルチャートでトップ10にランクインするほどの大ヒットを記録。続く『睡蓮花』もヒットを飛ばし、一躍人気アーティストとして注目を集めるようになった。
音楽の道にのめり込んでいったのは学生時代。高校2年生だった16歳当時、暴力事件を起こし、退学処分となって挫折を味わったのがターニングポイントの一つだった。
「小学4年生の時から猛勉強して入った中高一貫の私立学校を、自分の情けなさで退学になってしまいました。親の期待も含めて、頭の中にあった未来が一気に崩れ落ちた瞬間は、『人生終わったな』と思いました(苦笑)。退学を言い渡された時は帰り道で真っ直ぐ歩けなくなって、目の前が真っ暗になっちゃいました。でも、大検(現・高卒認定試験)の予備校でヒップホップのDJをしているという同級生と仲良くなって、一気に音楽にのめり込みました。あの時の自分は『失敗』だと思っていましたけど、実は『成功の始まり』だったんです」
短大に合格し、20歳の時に、友人からの誘いでジャマイカへ。そこでレゲエミュージックに出合い、のちの湘南乃風へとつながっていく。「ピンチをチャンスに変えた」こと以上に、学ぶものがあったという。
「新しい場所で目の前のことを一生懸命やっていけば、『あれ(ピンチ)があって良かった』となる。『置かれた場所で咲きなさい』という言葉があると思います。好きなことだけじゃなく、誰かのためになることが僕は好きで、それが歌だったら一生懸命歌うし、本だったら本を一生懸命書くし、写真だったら写真を一生懸命やる。僕にとっての音楽は、音楽で誰かが喜んだり勇気づけられて、そこに生きがい・やりがいを感じたから好きになったんだと思います」

武家の家に生まれた宿命
SHOCK EYEは2024年1月、TBS系『世界ふしぎ発見!』で、徳川家の譜代家臣、植村家の末裔(まつえい)であることを公表した。徳川家康の祖父の代から仕える最古参の家臣で、「家」を名乗ることを許された家系。本名が「植村家浩(うえむら・いえひろ)」であることも明かしている。
「小学校1年生まで『お父様、お母様』と呼ばされていて、同級生に『えっ!?』と驚かれました(笑)。『誰もそんなの使っていないから嫌だ』と両親に言って、『お父さん、お母さん』に変えてもらいました。でも、おそらく一番家系の宿命を背負っていたのは父親の世代だと思いますけどね」
武士の家に産まれ、家柄ゆえに厳しいしつけ。幼少期は理解できず、他の家と違うことに、嫌悪感もあった。高校時代の“失敗”は、少なからずそれらの反動によるものだったかもしれない。
「勉強も親が喜ぶからやっていたんです。自分では問題児のつもりはないんだけど、よくしゃべるのも“うるさい”と判断されたり、個性みたいなものを良く言われることは少なかった。その中で、唯一ほめてもらえたのが勉強でした。いい中学校に入ることを目標にして、それを満たせるようないい学校に入学できて、ほめてもらえるかと思ったら、前年に兄が受験に失敗してるから、この話は家庭で出すのやめようと言われて。入学祝いのプレゼントを開けたら、まさかの和英辞典と英和辞典(笑)。『また勉強させんの?』と思って、そこで絶望しました」
自分が期待したことに両親が応えてくれない現実に、「みじめさ」と「矛盾」を感じてしまったと振り返る。
「自分は今、(息子2人の)親なので分かりますが、例えば勉強の頑張りに対する見返りを親もちゃんと子どもに愛情として伝えなきゃいけない。都合のいい時だけ親子関係になるのではなく、人間関係は常に対等だと僕は考えています。その時の自分は、『親に見てほしい』『親に気づいてほしい』とか“かまってちゃん”の思いは全くなくて、単純に失望して、親の言うことを聞くのやめて、自分のしたいことをしようと思うようになりました」
もっとも、「自分が子どもの時に受けたこと全否定はしません」と断った上で、「僕も皆さんと変わらない普通の人間ですから」と笑った。
□SHOCK EYE(しょっく・あい) 神奈川県出身。RED RICE、若旦那、HAN-KUNと共に湘南乃風を結成し、2003年にデビュー。幅広いジャンルのアーティストに楽曲提供を行うほか、19年の初著書『歩くパワースポットと呼ばれた僕の大切にしている小さな習慣』(講談社)以降、25年11月に刊行した著書『目の前にいる人を幸せにすることから始めよう』(KADOKAWA)まで、計5冊を上梓している。
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