『ばけばけ』で注目の濱正悟、息抜きも「役を生きること」 180cmの細身を保つストイックな私生活とは
俳優・濱正悟の初主演映画『お別れの歌』(柴田啓佑監督)が、今月17日から東京・シモキタ-エキマエ-シネマ K2で上映される。濱は、NHK連続テレビ小説『ばけばけ』の教師・庄田多吉役やNHK大河ドラマ『鎌倉殿の13人』の平維盛役、ダブル主演を務めたTBS系連続ドラマ『毒恋~毒もすぎれば恋となる~』の志波令真役などで好演。『お別れの歌』については、2022年に音楽と映画の祭典『MOOSIC LAB』で特別招待作品として上映。4年の時を経て、映画館で一般公開となる。ENCOUNTはこの機に濱をインタビュー。初主演に挑んだ当時の心境や自身の成長について聞いた。

17日から映画『お別れの歌』上映
俳優・濱正悟の初主演映画『お別れの歌』(柴田啓佑監督)が、今月17日から東京・シモキタ-エキマエ-シネマ K2で上映される。濱は、NHK連続テレビ小説『ばけばけ』の教師・庄田多吉役やNHK大河ドラマ『鎌倉殿の13人』の平維盛役、ダブル主演を務めたTBS系連続ドラマ『毒恋~毒もすぎれば恋となる~』の志波令真役などで好演。『お別れの歌』については、2022年に音楽と映画の祭典『MOOSIC LAB』で特別招待作品として上映。4年の時を経て、映画館で一般公開となる。ENCOUNTはこの機に濱をインタビュー。初主演に挑んだ当時の心境や自身の成長について聞いた。(取材・文=コティマム)。
『お別れの歌』は、生前葬をテーマにした作品。濱は東京で教師をしていたが、挫折して静岡に戻ってきた主人公・夢大(ユウタ)を演じている。祖父・シゲル(六平直政)が営んでいた古い家具屋で働く夢大は、葬儀場で働く恋人のハルコ(今泉佑唯)と同棲中。しかし、日々無気力で家族やハルコに対する態度もぶっきらぼうな生気のない役どころだ。そんな中、シゲルが「生前葬をあげたい」と言い始めたことから、夢大とハルコはシゲルが「最期に会いたい」と願う3人を探す旅に出る。
――4年ぶりに主演作が上映されます。当時、主演に抜てきされた時のお気持ちは。
「ドラマでも主演をしたことがなかったので、最初は主役を務めることに対するイメージが湧かなかったんですね。台本を開いてほぼ全シーンに自分が出ていて、単純に『めちゃくちゃ、出てるな』というのが最初の印象でした」
――夢大は教師の仕事がうまくいかず、静岡に戻ってきた無気力な青年です。役作りで意識したことは。
「この作品は、分かりやすい説明的なシーンではなく、演出的にあえて観客の皆さんに解釈を委ねる部分が多かったです。当時の自分はドラマの現場が多かったので、この映画でどのぐらいのあんばいで、どのぐらい表現するのかを本読みの時に監督と話しました。ただ、疑問があっても『これはどういう意味なのか』と質問することが、『格好悪い』と思っていました。だから、『自分自身が出した答えを必ず持っていこう』『何が何でも必ず一つ、二つ、答えを持っていく』という意地みたいなのがありました」
――自分なりに演じ方やあんばいを考えたのですね。
「僕は、夢大という役はひねくれていてだらしないように見えても、心の底は純粋な部分があると思っていて。一緒にいる人にぶっきらぼうな言葉をかけたり、何か言われた時にそっけない態度をしてしまったりするところが、虚勢を張っていて素直じゃないところもある。だけど、物語を進めていく上で結果として少しだけ成長する。分かりやすい『成長した事件が起きた』ということではなく、シーンを演じていく中で夢大という役になっていった感じがあります」
――確かに説明的な要素が少なく、「間」が印象的でした。夢大がタバコ吸う横顔や空を見上げるシーンなど、ビジュアルで見せている場面も多いです。
「外で吸っているタバコと室内で吸っているタバコの音も全然違うので感じてほしいです。説明をしないで(視聴者に)分かってもらうために、何か打ち合わせしたわけではないのですが、一つだけ覚えているのは、『悲しいシーンを悲しそうに、悲しさ全開でやるのは少し違うよね』と柴田監督と話したことです」
――夢大は、結婚を匂わせる恋人・ハルコに対してもあいまいな態度をとります。夢大に対してイライラする視聴者も多いと思うのですが、濱さんは夢大のような男性をどう思いますか。
「夢大のおじいちゃんのシゲルが『あの人クズよ』と言われる場面があるのですが、夢大もそういう『クズ』みたいな部分があって。人によってはそう見えると思います。でも、そういうだらしない部分、ズルズル引きずっている部分がある人たちは、現実に結構いると思う。僕は今だから思うのですが、撮影していた時にあのシーンを本当の意味で理解してやっていなかったかもしれない。でも自分に役が来る時って、その役に共通する何かがあって、夢大に共通する部分が自分にもその時にあったと思うんですよ」
――共通部分も感じると。
「そうですね。当時、俳優として初めての主演ですごくありがたい機会でしたが、その時までの自分は多分、俳優としてもがいていたと思います。そこが、夢大のもがいていた瞬間と無意識に重なっていった。未熟な部分も夢大に重なったと思っていて、ある意味、ちょうどいいタイミングに撮っていたのかもしれません」

トライ・アンド・エラーの繰り返し
――夢大は挫折を経験していますが、濱さんは挫折の経験は。
「小さい挫折はずっとしていますね。現場で上手くいかなかったことは引きずるし。でも、それをあまり『挫折』と思っていないというか。『次はどうしたらいいか』をすぐ自分で考えたくなっちゃうんですよ。トライ・アンド・エラーをずっと繰り返している感じです」
――昔から自分で解決するタイプだったのですか。
「割と自分で考えて対処してきました。こういうインタビューを通して自分を振り返った時に、『あの時がそうだったんだな』と気づくことが多いです。ただ、自分で対処することで上手くいっていたと思っていたけど、最近は『あの解決方法は上手くいってなかったのかも』と思うこともあります」
――経験を積んで、考え方や見方が変わったのでしょうか。
「そうですね。今までは、例えば監督が『こうしたい』と言っていることに、『こっちの方がいいんじゃないか』と思う自分がいました。今は『アドバイスされた方に行ってみる』という選択肢を持っていた方が、違う自分になれることも分かりました。役者は人間性も含めて、感情を常に動かしている仕事。根本は変わらないけど、自分は(役と自分を)ずっと行ったり来たりしていて、試行錯誤をしながらちょっとずつ成長している気がします」
――『お別れの歌』以降も数々の作品に出演し、『ばけばけ』の庄田多吉役も話題になりました。たくさんの役を演じる中で切り替えや息抜きはどうしていますか。
「僕は現場に行くことがとにかく好きです。とにかく、何か役に入っていた方が逆に切り替えられる。別の役を生きることが息抜きになっているというか」
――ずっと演技をしていることが、息抜きになるということですか。
「そうですね。それからもう1周、2周ぐらい回って、現場に行くと何人かは絶対に知っているスタッフさんやキャストさんと再び会えるんですね。『3、4回目ですね』みたいな人がどんどん増えてきて、久しぶりの人に絶対に会える。最近は全員『初めまして』という状況がほぼなくなってきて、それもうれしいです」
――元気になるためにしていることはありますか。
「普段から運動やランニングをします。細身にもなれるし、めちゃくちゃ筋トレして体を大きくする方もいける。どちらにもいける『中間地点』を目指しています。代謝を保っておいた方がいいし、走ることによってリフレッシュになる。食べることも好きです。睡眠も好き。何をやっていても回復しちゃいますね」

――最後に、『お別れの歌』を楽しみにしている方にメッセージをお願いします。
「この作品で夢大役に対して自分が試みてきたことは、『一瞬だけを切り取っても伝わることは伝わるから』という勇気をもらった感じがします。登場人物がみんなもがいていて、少しずつ成長していく。絶対に劇場で見てほしい作品です」
□濱正悟(はま・しょうご)1994年8月22日、東京都生まれ。2015年俳優デビュー以降、近年はNHK『恋せぬふたり』、NHK大河ドラマ『鎌倉殿の13人』、NHK連続テレビ小説『舞いあがれ!』、TBS系『毒恋~毒もすぎれば恋となる~』、Huluオリジナル『おとなになっても』などに出演。直近では、NHK連続テレビ小説『ばけばけ』で演じた実直な英語教師・庄田多吉役を好演した他、U-NEXTで配信中のドラマ『ちるらん 新撰組鎮魂歌~京都決戦篇~』に佐伯又三郎役で出演。180センチ。血液型O。
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