岸井ゆきの、大先輩の本読みに衝撃 「人生の経験値」に違い「学びと驚きが多かった」
俳優・岸井ゆきのが、主人公の看護師・辺見歩を演じるNHKの土曜ドラマ『お別れホスピタル2』(前編4日、後編11日、ともに午後10時)の取材会に出席。入院したら元気になって退院していく人のほとんどいない病棟で、辺見と医師らが、患者やその家族とともに生と死に向き合う姿を描くドラマ(2024年にパート1放送)において、終末医療に携わる看護師を演じて感じたことや視聴者に伝えたいことなどを語った。

NHKの土曜ドラマ『お別れホスピタル2』で主演
俳優・岸井ゆきのが、主人公の看護師・辺見歩を演じるNHKの土曜ドラマ『お別れホスピタル2』(前編4日、後編11日、ともに午後10時)の取材会に出席。入院したら元気になって退院していく人のほとんどいない病棟で、辺見と医師らが、患者やその家族とともに生と死に向き合う姿を描くドラマ(2024年にパート1放送)において、終末医療に携わる看護師を演じて感じたことや視聴者に伝えたいことなどを語った。
まずは、終末医療の現場で働く辺見を演じて感じたことを聞いた。
「辺見の仕事は、入院して最期が近づき、今まで生きてきた意味を見つけようとする人たちを看取ること。パート1では最後の新しい出会い……死ぬ前に最後に出会う人物が療養病棟の看護師たちであることにフォーカスを当てていました。今回も最後に出会う人には変わりありませんが、辺見たちが彼らの生き方に意味をつけることはできないと深く思いました」
劇中にも「生きている意味」といったワードが何度か登場する。岸井はこの言葉にどう向き合ったのか。
「難しいと今も考え続けています。たぶん、生きている意味は自分で見いだす以外にないと思いました。死に向かっている人に生きている人があなたの人生には価値があると心から言ったとしても、死ぬ直前の人自身がそうだと思えなければ、その言葉を受け取れないと思います。そこは簡単じゃないとすごく感じました」
辺見が働く現場は死と向き合う患者中心の病棟。容体が急変するなどシリアスなことに常に出会う現場。どんな気持ちで現場にいたのか。
「自分に置き換えると受け止めきれない部分もあります。でも、それが辺見の仕事であり、生活であり、人生だと演じながら感じました。最期を迎える人をケアする、看取る仕事とも言えますが、患者さんが生きていたことを最期まで肯定する仕事だと考えて演じていました」
作品で伝えたいことも尋ねた。
「他の医療ドラマは患者さんを治すために奮闘します。でも、そうじゃない人たちもいます。私もパート1で初めて看取るための病棟があると知りました。まず、その存在を知ってほしいと思います。もう一つは、どう生きるかで未来は変わるということ。この作品でも、100歳の患者さんの若い頃の行いの後悔が描かれますが、それは人生を最後に“逆再生”してみる時間だとも思うんです。もし、今、今後も人生が続く人がそれをやったら未来は変わるかもしれません。いったん停止して自分の生き方をあらためて見直してみる、巻き戻してみる。すると未来が変わるかもしれません。これからどう生きるかを自分と重ねて考えていただけたらと思います」
考え方に変化「生きることと死をセットで考えるようになった」
前編には100歳の男性患者を伊東四朗が演じ、渡辺えりやYOU、広岡由里子らが出演する。後編には柄本明や阿川佐和子の名前もある。大先輩俳優ぞろいの現場の様子も尋ねた。
「人生の経験値が全く違うと思い知らされる日々でした。皆さんきっと別れもたくさん経験していらっしゃると思いますし、死ぬことに対しての“さっぱりさ”と言うか、『この病気で亡くなった人を知っているから、こうしてみない?』と演技の提案をするとか経験値が桁違いでした。私は死に対する恐怖心が大きいですが、皆さん死をそこにあるものとして認めている感じがしました。私が患者さんとのやりとりで胸が苦しくなったり、引きずるようなシーンでも皆さんカットの声がかかるとケロッとされているんです。そのタフさ、すごくカッコいい、強いと思いました。それこそ生きていたことを肯定している感じがしました。学びと驚きの多い現場でした」
撮影前の大先輩たちの本読みも衝撃的だったようだ。
「会議室で本を読んでいるだけなのに病棟やその場面が思い浮かぶ迫力の本読みでした。私もいろんな本読みを経験してきましたが、ここまで心を持っていかれる本読みは初めて。忘れられない本読みでした」
岸井にとってこのドラマはどんな作品なのか。
「これまで与えられた運命の中でどう生きるかを考える出演作品が多かったのですが、パート1に出演し、生きることと死をセットで考えるようになりました。考えない方が楽なんですけど、生と死を考えることによって生きていると感じたいと思えたんです。いつか向き合わないといけない問題ですし、生と死はネガティブなことではないと思うんです。最初は考える上で恐怖や不安にとらわれたこともありました。でも、そうじゃない。もっとポジティブなこと。そう考えることができるようになるから視聴者の方にもそのきっかけになればと思います」
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