TVでは「カリスマ」→ラジオでは相談役「国民の1個上」 リンダカラー∞Denが目指すラジオ番組
若手お笑いトリオ・リンダカラー∞のDen(デン)がラジオ番組『サクラバシ919』(ミクチャ×ラジオ大阪、水曜担当)のパーソナリティーに就任して1年を迎えた。テレビの舞台では「カリスマ」として活躍する一方、同番組では「1人しゃべり」の壁に直面し、試行錯誤を続けている。大物ゲストを自らキャスティングするなどしたこの1年に迫った。

『サクラバシ919』の水曜パーソナリティー
若手お笑いトリオ・リンダカラー∞のDen(デン)がラジオ番組『サクラバシ919』(ミクチャ×ラジオ大阪、水曜担当)のパーソナリティーに就任して1年を迎えた。テレビの舞台では「カリスマ」として活躍する一方、同番組では「1人しゃべり」の壁に直面し、試行錯誤を続けている。大物ゲストを自らキャスティングするなどしたこの1年に迫った。(取材・文=島田将斗)
少年時代からヒップホップには触れてきたが、ラジオはあまり聴いてこなかった。それでもトリオの司令塔であり、テレビ番組ではピンで活躍する場面も多い。「意外といけるかな?」と楽観的に挑んだが、いきなり壁が立ちはだかった。
「おしゃべり自体は元々好きですし、他の人としゃべっても、結局僕が一番しゃべってるみたいな機会が多かったんです。でも、いざ始めてみたら、1人っていうのが今までなかったので難しさを感じました」
毎週水曜日に1人で2時間話す。この習慣は筋トレと同じようにDenの体に染み込んでいった。当初よりはリラックスして臨めるが、1年たったいまでも不安になる瞬間はゼロではない。同じ時期にパーソナリティーに就任したお見送り芸人しんいち(月曜日)は芸歴も年齢も上だが“同級生”と感じている。
「しんいちさんとは他の現場で一緒になることが多いんです。それが月曜、水曜だとお互いが労うように『頑張ってください、戦場ですよね』って見送ります。1人でしゃべることの難しさをお互い分かってるから」
この1年間、「ラジオとは何か」を自問自答してきた。当初は他の芸人のラジオを聞いてみたものの、途中で辞めた。
「ラジオ番組ってその枠の色が明確にある。それを吸収するっていうよりは、自分の投げ方を模索しながら見つけていくことが、この水曜日の色になるのかなと。技術的なことを吸収してしまったら、流用でオリジナルから離れてしまうかもなと。自分が培ってきたものの中での引き出しが、自分の色になるかなって思っています」
テレビで求められるトークとの違いにも気付かされた。
「テレビは尺が短い方がいいっていう現場。ただラジオは別に長くてもいいし、長ければ長いほど内容が詰まってエピソードとしてより強くなる。例えば芸人同士で楽屋とかで話すときは、『ラジオでこれ使えるかな?』とか思いながらちょっと長めに話してみたり。
逆にテレビで話すぐらいの短い話を、ラジオに持ってくるのは難しい。話を伸ばすって結構難しい。みんな切っていく作業は意外とできちゃうんですけど。伸ばす方は意外と苦手な人が多いと思いますね」
番組内では、カリスマの顔を脱ぎ“国民の1個上”という「素」に近いキャラクターでトークを展開している。悩めるリスナーの相談役というポジションだ。
「リスナーに寄り添えたらと。学生のときの1個上って、怖さもあったけど寄り添ってくれる人も多かったよねって。2個上はもう大人じゃないですか。中1のときの中3っていうよりは、お世話してくれたりとか面倒見てくれたのは1個上の人じゃないですか」
キャラクターと自らで言いつつも、中身は等身大の自分のようなものだ。
「カリスマっていうのも僕の延長線上にある人格ではあるんです。一番フィットするのはたぶん“国民の1個上”。昔から人の相談に乗ったりが好きだったんですよね。僕が一番素でいられるのはここかもしれないなという感じはしてます。一番脳ミソのフィルターを通さずにしゃべっているというか」

“カリスマ”を肯定した恩人たち「お前スーパースターだよ」
素の自分でいるからこそ、感情が動いた瞬間にトークの枝葉が広がっていく。ブース内で相対する放送作家とのチームプレーが、番組に熱量を生んでいる。
「他の番組はどうか分からないですけど、うちは流動的にテーマもガッと変わったりします。『こっち面白そうだな』と思ったら、全部テーマ捨てて、ちょっとこっちで行っちゃおうかみたいな。作家さんとアイコンタクトで動けるようになってきた感じがありますよね。元のテーマに戻して盛り上がらないよりは、大きく道外れてイチかバチかの賭け。安定したものよりは生ものに飛びついちゃうのは芸人のサガみたいな所はあるかもですね」
番組内で流動的なトークを繰り広げるだけでなく、自ら大物ゲストをブッキングしてしまう規格外の行動力も見せている。豪華ゲストが登場する半年に一度の“スペシャルウィーク”ではヒップホップ界のレジェンド・Zeebraが出演していたが、これは、Den自身の“直談判”だった。
「元々はお笑いよりヒップホップが好きだったんです。自分を大きく見せる『カリスマ』というスタンスも、ヒップホップの精神から受け継いだもの。僕のルーツなんですよね」
Zeebraとは以前、ABEMA番組『フリースタイルティーチャー』で共演。その際に活動の軸となるような言葉をかけられた。
「Zeebraさんが番組内で僕のラップを見たときに『お前スーパースターだよ』って言ってくれたんです」
そんな縁もあって「他の曜日で呼べる奴はいないだろう」と、なんとインスタグラムのDMから直接オファーを送った。
「『ちょっと僕のラジオ出てくれませんか?』って送ったら、二つ返事で『お、いいよ、行くよ』って。放送中に『俺にスーパースターって言ったの覚えてます?』って聞いたら、『明らかにお前輝いてたもん』って言ってくれたんです。本当に光栄でしたね。今ではもう『親父』って呼んでます(笑)」
現在のスタンスを最初に肯定してくれたのは、事務所の先輩である「ホリケン(堀内健)さん」だ。
「『お前そのゆっくりしたしゃべり方、お前に合ってるよ』『自信満々だし、もっと前面に出した方がいいんじゃない?』って背中を押してくれました。さらに、そこから土台をちゃんと固めてくれたのがZeebraさんでしたね」
スペシャルウィークの放送中には「曲を作ったら一緒にやってやる」という夢のような約束も交わした。「自分から動いたら、Zeebraさんみたいな人は『行くよ』って言ってくれちゃうんだと。動くって“粋”ですよね。今後も自ら声をかけていこうと思います。YOSHIKIさん、GACKTさん、窪塚(洋介)さん……その辺りを今、視野に入れています」と不敵に笑った。
大物ゲストを自らキャスティングするだけでなく、スポンサー営業までこなしているが、番組の裏側では放送作家からシビアな現実を突きつけられることもある。
「放送中に『今年は番組のイベントとかやりたいですね』って言ったら、作家から『いやお前無理だよ、人気ねえから』って平気で言われるんですよ(笑)。めちゃくちゃ言ってんなこいつと思って。だからこそ、2年目は地盤をちゃんと固めて、数字を伸ばすのが目標。著名人やアナウンサーの方にも『このラジオ熱いよ』って言ってもらえるようにしたいですね」
その背中を押しているのは、同じ『サクラバシ919』を共に戦う他曜日のパーソナリティーたちの存在だ。特に、番組開始当初から木曜を担当する四千頭身・都築拓紀の姿勢には、強く刺激を受けている。
「横並びの山添さんとか、都築さんは番組開始当初からやっていて、とんでもなく数字を持っている。僕は芸歴的にも一番後輩の1年生ですから。都築さんは『ラジオに命かけてます』って公言していて、ここが自分のホームだというのを一番体現している。ラジオって一歩気を抜いて楽しくやるもんじゃんっていう風習もある中で、『命かける』ってはっきり言うのって、一歩間違えたらダサい言葉じゃないですか。でも、そのマインドがすげーいいなと。リスペクトしています」
偉大な先輩たちの背中を追いかけながら、カリスマはさらなる高みを見据えていた。
「その『都築イズム』、俺も継がせてもらうよって。やっぱ“末っ子最強説”ってあるじゃないですか。僕はまだ1年生で真っさらなスポンジだから、先輩方のイズムをどんどん吸収していける。今後一番伸びる可能性は大いに持っています。じわじわと『このラジオ面白いんだな』って口コミで広がっていけばいいですね」
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