RIZINマイクパフォに「いただけない」 小川直也の“提案”に榊原CEO「面白いかもしれない」
“暴走王”小川直也が運営するYouTubeチャンネル「暴走王ch」では、RIZINの榊原信行CEOとの「再会動画」の第3弾が公開されている。動画内では「プロとは何か?」をテーマに話が進む場面があり、その内容はなかなか興味深いものだった。

「(新日本には)俺のトラウマがある」(小川)
“暴走王”小川直也が運営するYouTubeチャンネル「暴走王ch」では、RIZINの榊原信行CEOとの「再会動画」の第3弾が公開されている。動画内では「プロとは何か?」をテーマに話が進む場面があり、その内容はなかなか興味深いものだった。(取材・文=“Show”大谷泰顕)
「道衣(柔道着)で出てくればよかったね。脱ぐっていうワンアクションで、もう1回客を呼べるもんね」
これは動画内における榊原CEOの発言である。指摘したのは新日本プロレスのウルフアロン(東京五輪柔道金メダリスト)によるデビュー戦(2026年1月4日、東京ドーム)で、ウルフが他の選手同様、上半身裸で出てきたことだった。
実はウルフより遡ること約19年前、バルセロナ五輪柔道銀メダリストの肩書きを引っ提げてデビュー(1997年4月12日、東京ドーム)を果たした小川は、柔道着を着たままリングに立っている。
その理由は、師匠のアントニオ猪木が「小川はまだプロとしての肉体ができていないから」だった。
これに関して小川は「(柔道着に)こだわっていたわけじゃない」と話したが、ウルフのデビュー戦に関しては「(新日本プロレスには)俺のトラウマがあったから(ウルフは)脱いだんだろうな」と苦笑した。
この見解が合っているかは憶測の域を出ないものの、歴史を知る者であればあるほど、よくも悪くも小川の影がチラついてしまう、という側面は少なからずあるに違いない。
ともあれ、プロとして一人前のファイターを育てるのは容易なことではないし、ある程度の時間がかかる。
実際、小川はデビューした翌秋、猪木が創設したUFOのエースとして活躍していくことになるが、その際の指南役は、一度は新日本を離れ、修斗(シューティング)という新たな格闘技を創設する道を選んだ、初代タイガーマスクの佐山聡に委ねられた。これにより、猪木、佐山、小川のUFOトリオが実現すると、佐山は猪木を「社長」、小川を「オーちゃん」と呼び、その空間のなかで小川はプロとしての言動やたたずまいを習得していった。
興味深いのは、佐山が「オーちゃん、社長がダジャレを言ったら反応しないと」と反省会で苦言を呈したという話だろう。一見するとまったく試合と関係ない話に聞こえるが、これはプロとしてどう振る舞うかを佐山なりに伝えていた、という証明だった。
「(佐山の)あのアンテナの張り巡らし方はすごかったなあ……!」
小川は、そう言って、猪木のダジャレを瞬時に拾いまくる佐山に脱帽したという。

RIZINでの勝者のマイクも進化中
いつだったか小川から、「佐山さんは猪木さんのダジャレを聞くと、すぐに大笑いして『最高ですね!』って受けまくるか、逆に『社長、くだらねえー』って返してたよ」と聞いたことがあるが、初代虎のすごみが伝わってくる話だった。
動画内ではこの話を耳にしたRIZINの笹原圭一広報が「ちゃんと受け身を取れと(いうことですね)」「それは鍛えられますね、感性が」という言い方をしていたが、どんな状況であれ、狙いを定めた相手が投げたボールを即座にどう返すか。佐山はこのスキルを小川に刷り込んでいたと思われる。
「スルーすることが一番ダメだ。エンターテインメントのなかではスルーはダメ」
小川はそんな教えを受けた旨を明かしていた。
話はそんなところからRIZINの試合で勝者に向けられるマイクアピールへと移行する。
小川が「RIZINを見ていると、ちょっとマイクがいただけないですね」と口にすると、榊原CEOが「おっしゃる通り。だからそこはちょっと最近はインタビュー形式に変えたりとか。選手に(マイクを)持たせて話させちゃうと、とくに外国人選手なんかはわけの分からないことをずーっとしゃべっている。だから質問形式にして、それに答えてもらうようにした」と、最近は手法を変えたと話した。
たしかに勝利したファイターの特権とはいえ、周囲への感謝を延々と述べられると「見る側」が置いて行かれてしまう場合がある。
これに関しては笹原広報いわく、「気持ちは分かるんですけどね。感謝を述べたくなるのは分かるんですけど、ただ、お客さんがそれを求めているかっていう話ですからね」と補足した。
先にも書いた通り、商品としてプロのファイターを作り上げるのには時間がかかる。
だからこそ小川は、「アカデミーみたいなのがあると面白いよね、たぶんね。RIZINアカデミーみたいな。試合に出るだけじゃダメなんだぞって」と提案すると、榊原CEOは「面白いかもしれない」と応えた。
これに関しては、実際に始動するかはともかく、実現すれば面白い試みにはなるだろうし、小川が適任者の一人になることに異論はない。それは小川にとって一世を風靡(ふうび)した初代虎(佐山)がお手本であったように、社会現象を起こした小川の経験則は、他に代替えがいるわけではないからだ。
なお、笹原広報(元ハッスルGM)は「もう『ハッスル』はやらないんですか?」とよく聞かれると明かしていたが、榊原CEOいわく、「それ(「ハッスル」の続編)はオーちゃんが動くしかない」と持ち上げつつ、「時代が求めたり、人が求めたりする時って来ると思う」とまとめていた。
いずれにせよ、「ハッスル」の今後はもちろん、RIZINが先頭に立って、未来あるファイターに、プロとしての在り方や自身のキャラの立て方を植え付けていく場を設置していくのであれば、その実験はあきらかに尊いもの。ぜひとも実現してほしい計画になることは間違いない。
(一部敬称略)
あなたの“気になる”を教えてください