アイドルプロボウラーへの道 まねきケチャ早瀬結実、“自分らしさ”として挑戦する二刀流

アイドル戦国時代と言われて久しい中、まねきケチャの早瀬結実はプロボウラーとプロ雀士を目指す異色のアイドルだ。「私はアイドルらしくない」。試行錯誤しながら、“自分だけのカラー”を追い求める日々。グループ、そして夢への思いについて聞いた。

まねきケチャの早瀬結実【写真:増田美咲】
まねきケチャの早瀬結実【写真:増田美咲】

中学時代はレッスンで毎週青森→東京へ

 アイドル戦国時代と言われて久しい中、まねきケチャの早瀬結実はプロボウラーとプロ雀士を目指す異色のアイドルだ。「私はアイドルらしくない」。試行錯誤しながら、“自分だけのカラー”を追い求める日々。グループ、そして夢への思いについて聞いた。(取材・文=小田智史)

 サッカー好きで社会人リーグのクラブを指揮した経験も持つ父と、歌好きな母の長女として生まれた早瀬。小さいころはアイドルを目指していたわけではなく、俳優に憧れていたが、のちにアイドルをするための“土台”はひそかに築かれていた。

「もともとお芝居とか映像系に興味があって、中学生時代に歌・ダンス・お芝居のレッスンを受けていました。毎週、お母さんと一緒に地元の青森から新幹線で東京に来て、レッスンが終わったら帰る生活。学業の兼ね合いもあって、高校時代は中断していましたが、上京を機に再開しました。アイドルは好きでしたけど、まさか職業になるとは思っていなかったです(笑)」

 そして、2024年4月27日に10年を超える歴史を持つアイドルグループ・まねきケチャに新メンバーとして加入。かわいさ全開の王道アイドルとはタイプが異なる自分に自信が持てず、1年目は“自分らしさ”とは何か葛藤し、“どう見られるか”に怯える日々だった。

 それでも、アイドルが好きでファンだった経験から、「私を好きになってくれたファンの方に失礼」と自信がないなりに堂々としていようと意識した。メンバーの堀内すずと共に、重要な歌唱パートを託されたことも責任感を強めるきっかけとなった。

「まねきケチャに入るまでは母親が“歌の先生”だったんですけど、1年目はがむしゃらに、『ミスをせず完璧にパフォーマンスできるように』と心がけるので精一杯でした。でも、2年目に入ってファンの方の表情、曲の流れの雰囲気、自分の内から湧き上がってくるものを意識してライブをするようになりました。もともと、こうと決めたことをやる性格だったんですけど、ライブは“生もの”なので、自分の感情も乗せてライブをより楽しむマインドが今は強いと思います」

 昨年10月19日には、同じく高い歌唱力を誇る日高里緒が加入。相談し、意見を言い合い、切磋琢磨できるメンバーの存在が、早瀬をよりたくましくした。

「最初はその日のライブの動画をいただいて、改善することをずっと繰り返していました。逆に今は、1年前の動画を見るようになって、すごく変わっているので上手くなったと自分でも思うのと同時に、昔の方が良かったところとか、こういう良さもあるんだなと気づくようになりました。すぅちゃん(堀内)に『ここ、すぅちゃんならどう歌う?』と聞いた時、『〇〇だと思う』とアドバイスをくれた後、『でも、自分に合う歌い方を見つけたらいいと思うよ』と言われて、『確かにそうだな』と思うことがありました。りおちゃん(日高)も入って、お互いに聞き合うのはすごく勉強になるし、尊重してくれるので、すごくいい環境だなと思います」

 アイドルらしくない、アイドルに向いていない――。そんな思いも、苦楽を共にするメンバーのおかげでいつしか薄れていった。

「メンバーもいろんな性格・個性の子がいるので、『私もこのままでいいんだ』『私は私らしさを突き抜けて行った方がグループとしてもいいのかな』と思うようになりました。変わらず、“私なりのアイドルらしさ”を突き詰めていきたいです」

ボウリング、麻雀、サッカー観戦、プロレス観戦と好きなことはとことん突き詰める【写真:増田美咲】
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ボウリングのプロテスト受験に意欲

 自分が好きなこと、ハマったものをとことん突き詰める性格は早瀬の特徴の一つだ。父の影響で競技ボウリングは小学生のころから習い事として始め、地区大会や全国大会にも出場。「プロボウラーになりたい」という明確な目標があり、2024年5月にはX、25年6月にはインスタグラムに、ボウリング場で投球する練習動画(見事にストライク)が投稿されている。

 現在、日本プロボウリング協会に在籍している女性プロボウラーは計363人。プロテスト開催は年1回で、受験資格には「在籍5年以上のプロボウラー2人の推薦」が必要な上、推薦を受ける条件として「前年度30ゲーム以上で女子180アベレージ以上を有すると認められた者」でなければならない。

「サッカーにハマったのと同じく、競技ボウリングを始めたきっかけも父親です。父親はやっていたわけじゃないんですけど、仕事の関係で始めさせてもらって、ずっと続けてきました。タレントとしても活躍されている(2002年 35期の)名和秋さん、声優活動もしていらっしゃる(2012年 45期の)渡辺けあきさんは、本当にすごいなと憧れます。アイドル(Baby’z Breath)の熊本美和さんがプロテストも受けられていて、アイドルボウラーとして活動されています。プロテストはプロボウラーの方2人の推薦が必要だったり、受験するのもハードルが高いんです」

 第1次テストは実技で4日間続けて行われ、女子は1日12ゲーム、計48ゲームで190アベレージ以上(2日目の時点で180アベレージに満たない場合は不合格)で2次テストへ。第2次テストも実技で女子は1日12ゲーム、間を空けて2日間ずつ、計4日間投球して48ゲーム・190アベレージで通過。第3次テストは面接テスト、身体検査、筆記テスト及び入会時研修が行われ、3次テスト全ての内容について合格すると、晴れてプロボウラー資格を取得できる。

「アイドルを始める前のアベレージは180~190でした。でも、この2年間は大会にもあまり出られていないので、今それだけのゲームを打ったらどうなんだろう……、という感じです。レーンごとにオイルの状態が違うので、レーンコンディションを読んで対応していくことがすごく大事。そういう勘は試合で養うものですけど、なかなか試合に出られない中で、どうやって感覚をつかんでいくか。プロテストを受けた経験はまだないので、今後1~2年のうちに挑戦してみたいと思っています」

 麻雀でもプロを目指し、大好きなサッカー観戦やプロレス観戦に時間を費やすこともいとわない。「アイドルらしくないことは逆に言えば、私にしかない強みがあると気づいたんです」。“二刀流”、“三刀流”は「自分らしさの一つ」だと捉えて、アイドル活動とともに夢を追い求めていく。

メンバーの卒業発表を受け、グループのことを考える時間がより増えたという【写真:イシハラタイチ】
メンバーの卒業発表を受け、グループのことを考える時間がより増えたという【写真:イシハラタイチ】

神崎ひなは「身近で一番“ザ・アイドル”な人」

 所属するまねきケチャは、赤担当でセンターの神崎ひなが4月29日に恵比寿LIQUIDROOMで開催されるJAPAN TOUR 2025『福来来~東京FINAL公演~』をもって卒業する。「私たちも卒業を聞いたのは、(2月13日の)発表までそんなに期間が経っていない段階でした」。それだけに、2年間一緒に活動してきたメンバーの卒業にはまだ実感が湧かないという。

「正直、いまだに現実味がなくて、本当にその日でひなちゃんがいなくなっちゃうのかなというふわふわした気持ちです。私がグループに加入して長い期間5人でやってきて、りおちゃんが入って6人になりました。今年は自分が一つ目標としていた、地元・青森でのライブ(3月28日開催)もかなえることができて、最後に6人でツアーを回れて良かったなと思います。東京FINAL公演がひなちゃんの最後の日になってしまうのが寂しいですけど、6人の集大成を見せたいです」

 神崎は2023年4月の加入から凪咲楓と共にグループをけん引してきた中心メンバーで、キラキラ輝き続ける“ザ・アイドル”。一番近くで見てきたアイドルとしての生き様は、早瀬にとっても最高のお手本だった。

「ひなちゃんは身近で一番“ザ・アイドル”な人でした。私はアイドルらしくなくて、対極な存在だとは思うんですけど、ライブの取り組み方、ダンスの仕方、表現の仕方、メイクの仕方……、個性を生かすことを勉強させてもらいました」

 新メンバーオーディションの開催が今月4日に発表され、ツアーFINAL後は新たなまねきケチャが始動していく。グループのことを考える時間がこれまで以上に増えたと話す。

「センターのひなちゃんが抜けることには、私たちも不安はあります。ただ、『どうなっちゃうんだろう』というよりは、『私たちがどうにかしなきゃいけない』気持ちが強くて、『どうしていけばいいんだろう』と考えることが多くなりました。かえちゃん、すぅちゃん、(三井)いろは、りおちゃん、私……、残る5人は目標を持って、そこにたどり着くためにしていきたいことがそれぞれあります。今までのまねきケチャも大事で、楽曲や雰囲気のように守っていきたいものもあるんですけど、このメンバーだからこそできることも大事にしたいので、みんなで協力して、今までになかった新しい挑戦もしていきたいと思います」

 自身のアイドルとしての成長とともに、まねきケチャのレガシーを引き継いでいく――。「私が自分の好きなことで活動の幅を広げて、それを突き詰めることでまねきケチャにもいい影響を与えて、還元したい思いがあります。アイドルらしくはないかもしれないですけど、見守ってくださったらうれしいです」。自分の未来に大きな期待を抱き、グループのためにも歩みを止めない覚悟だ。

□早瀬結実(はやせ・ゆみ)1月31日、青森県出身。魅惑の美しい顔立ちと、人を惹きつける歌声を兼ね備える。プロボウラーとプロ雀士を目指す独自路線でアイドルの道に突き進む。座右の銘は「置かれた場所で咲きなさい」。趣味はサッカー観戦、プロレス観戦。

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