10代でヤングケアラー、29歳で事務所倒産 山崎育三郎の“泥臭い”原点と這い上がる反骨心

俳優、歌手、そしてMCと、八面六臂(ろっぴ)の活躍を見せる山崎育三郎(40)。現在、彼がプロデュースする日本初のミュージカル×ボーイズグループオーディション『OK!Diamonds』が大きな注目を集めている。10代のころから目標を掲げ、若くして大役を射止めるなど順風満帆なスター街道を歩んできたように見える。しかし、その裏には知られざる過酷な青春時代と、周囲の猛反対を押し切って道を切り開いてきた泥臭い歴史があった。

インタビューに応じた山崎育三郎【写真:舛元清香】
インタビューに応じた山崎育三郎【写真:舛元清香】

日本初ミュージカル×ボーイズグループオーディションをプロデュース

 俳優、歌手、そしてMCと、八面六臂(ろっぴ)の活躍を見せる山崎育三郎(40)。現在、彼がプロデュースする日本初のミュージカル×ボーイズグループオーディション『OK!Diamonds』が大きな注目を集めている。10代のころから目標を掲げ、若くして大役を射止めるなど順風満帆なスター街道を歩んできたように見える。しかし、その裏には知られざる過酷な青春時代と、周囲の猛反対を押し切って道を切り開いてきた泥臭い歴史があった。(取材・文=平辻哲也)

 10代のころ、1人のミュージカルファンだった山崎には明確な夢があった。

「『レ・ミゼラブル』と『エリザベート』というのが、もうテレビで言う日曜劇場とか大河ドラマとか朝ドラみたいな作品なんですよ。ここが一番の目標で、この4つ(ほか2作品は『モーツァルト!』『ミス・サイゴン』)に出るってことは10代で決めていました。手帳にも書いて、高校生のときは『これでここの役で』みたいな。それが29歳で叶えることができて。もうそこしか見ていなかったです」

 有言実行を果たし、ミュージカル界のトップへと上り詰めた。しかし、ときを同じくして絶望が彼を襲う。

「29歳のときに事務所が倒産するんですよ」

 日本のオリジナル舞台ミュージカルを制作していた熱意ある会社だったが、リーマン・ショック以降の赤字により自己破産を余儀なくされたという。

「日本の場合は韓国と違って国の支援がないから、それぞれの会社とか企業がリスクを背負って挑まなきゃいけないんです。そのことがきっかけで、30代の10年をミュージカルの知名度を広げることに全振りしよう、ミュージカル界をもっと盛り上げたいっていう気持ちで、覚悟を決めてバラエティーやドラマなど頂いた仕事は何でもやります! っていう感じでした」

 ブレイクのきっかけとなった2015年のTBS系連続ドラマ『下町ロケット』への抜てきを皮切りに、本格的にテレビの世界へと足を踏み入れた山崎だが、当時は業界の常識を覆す異端の挑戦だった。

「テレビの世界に足を踏み入れるということが、当時は考えられなかった。周りからは反対されて、『失敗するからやめた方がいい』と。成功した人は1人もいないし、そういう前例がないからやめたほうがいいっていう意見もあったんですけど、そこで覚悟を決めてスタートできた」

山崎育三郎が日本初ミュージカル×ボーイズグループオーディションをプロデュース【写真:舛元清香】
山崎育三郎が日本初ミュージカル×ボーイズグループオーディションをプロデュース【写真:舛元清香】

「準備ができてから始めるなんて言っていたら一生できない」

 怖いと思うところへあえて飛び込む。その反骨心のルーツは、さらに時間をさかのぼった10代の過酷な経験にある。アメリカへの単身留学では、あえて日本人がいない地域を選び、差別やいじりを受けながらも強靱(きょうじん)な根性を身に付けた。そして帰国後も試練は続く。

「留学から戻ってからもいろんなことがあって祖父母と3人暮らしで、2人は介護が必要で。今で言う“ヤングケアラー”みたいな感じで介護をしながら高校へ行っていました。10代でそういう苦しい、しんどいなっていう環境で追い込まれたところがベースにあるので、大人になってもあまりブレずに何事にも挑戦できたと思います」

 これだけの困難を乗り越えてきたからこそ、彼の言葉にはすごみがある。

「僕はいつも大好きな野球に例えちゃうんですけど、大切なのは打席数だと思っていて、その場に立たないとホームランも出なきゃヒットも出ないから。とにかく準備ができてから始めるなんて言っていたら一生できないと思う、とりあえず行ってみよう! 何の保証もないし、何の確証もないけど『まずいっちゃえ!』って思える人が、やっぱり強いなと思います」

 自ら開拓し、後進がテレビに出られる道を作った。そして40歳を迎えた今、彼は次のステップを見据えている。それが、莫大(ばくだい)な著作権料を払う大作ミュージカルだけでなく、韓国のように世界で通用する「日本のIPとしてのミュージカル」を作ることだ。

 その野望の第一歩となるのが、現在開催中のオーディション『OK!Diamonds』である。

「自分が活動を控えるわけではなく、自分の活動をしながらやる。現役で自分が活動している今だからやる意味がある」。プレーヤーとプロデューサーの“二刀流”へ。批判を恐れず打席に立ち続ける山崎のフルスイングは、日本のエンタメ界に新たな風を吹き込もうとしている。

□山崎育三郎(やまざき・いくさぶろう)1986年1月18日、東京都生まれ。12歳だった98年『アルゴミュージカル』で主演。2007年にミュージカル『レ・ミゼラブル』のマリウス役で抜てき。以降、『モーツァルト!』『エリザベート』など数々の名作に出演し、“ミュージカル界のプリンス”としてけん引。15年のTBS系連続ドラマ『下町ロケット』を機に映像作品へも本格進出し、近年の主な出演作にNHK連続テレビ小説『エール』、NHK大河ドラマ『青天を衝け』、テレビ朝日系の主演ドラマ『リエゾン -こどものこころ診療所-』などがある。俳優業のほか、歌手活動や日本テレビ系『おしゃれクリップ』のMCなど多岐にわたり活躍。25年は自身が企画して実現したミュージカル『昭和元禄落語心中』が10万人を動員する大ヒットを記録した。

□オーディション概要
山崎育三郎プロデュース 日本初のミュージカル×ボーイズグループオーディション『OK!Diamonds』
応募期間:2026年3月6日(金)午前8時~4月7日(火)午後11時59分
応募資格:男性(年齢制限なし)。特定の芸能プロダクションなどに所属していない国内在住の方。
応募方法:公式サイトの応募フォームより、自身を解放した自由な「歌唱パフォーマンス動画(ジャンル不問、1分以内)」を送付(1次審査)。
2次審査(面談審査):2026年4月29日、5月16日に東京、5月4日・5日に大阪、5月23日に福岡にて実施予定。
合格後の活動:株式会社研音/株式会社ソニー・ミュージックレーベルズの専属アーティストとして、グループ・ソロ問わず各種芸能活動(オリジナル楽曲のリリース、ライブ活動、ミュージカル出演など)を行う。

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