人気高まる「ポケカ投資」、運用次第で数千万円の利益も… 転売とは違う? 投資家が語るプレイヤーとの“すみ分け”
今年シリーズ30周年を迎え、今や世界的な人気コンテンツに成長した「ポケモン」。中でも「ポケモンカードゲーム」は年々注目度が高まり、価格の上昇に加え、転売目的の大量買い占めや盗難事件など、さまざまな問題も発生している。そんなポケモンカードを投資対象として売買する「ポケカ投資」が今、若い世代を中心に広がっている。転売とは何が違うのか。ポケカ投資で利益を上げているという投資家に、詳しい話を聞いた。

「ポケモンイラストレーター」が約25億円で落札され、ギネス世界記録を更新
今年シリーズ30周年を迎え、今や世界的な人気コンテンツに成長した「ポケモン」。中でも「ポケモンカードゲーム」は年々注目度が高まり、価格の上昇に加え、転売目的の大量買い占めや盗難事件など、さまざまな問題も発生している。そんなポケモンカードを投資対象として売買する「ポケカ投資」が今、若い世代を中心に広がっている。転売とは何が違うのか。ポケカ投資で利益を上げているという投資家に、詳しい話を聞いた。
今年2月、アメリカのオークションで希少価値が極めて高い幻のレアカード「ポケモンイラストレーター」が約25億円(約1650万ドル)で落札され、トレーディングカード史上最高額としてギネス世界記録を更新した。高額カードの売買で利益を得るポケカ投資は、今や投資家の間で世界的にも高い関心を集めているという。上手く運用すれ数年で数百万~数千万円の利益を得ることも可能というポケカ投資だが、実態はどういったものなのか。株式投資の経験があり、3年ほど前からポケカ投資にも参入したというムンピカさんが解説する。
「私が参入した直後の2023年4月には、新パック収録の人気カード『ナンジャモ』の相場が短期間で大きく上昇する、いわゆる“ナンジャモバブル”が起こり、カード1枚が30万円前後で取引されることもありました。トレーディングカードは株式のような金融商品とは異なり、金融商品取引法が適用されないため、当時は『このカードは今後もっと上がる』といった不正確な情報やあおり文句がSNSを中心に広がり、高値で売り抜けるような動きも問題視されていました。
ただ、そういった投機的な手法は値動きへの依存が大きく、長期的に見ればリスクも高い。現在は相場の短期変動だけに左右されにくい手法の一つとして、店頭などで仕入れたカードを鑑定に出し、状態に応じた評価差を利益につなげる方法が広く行われています。ポケモンカードは、基本的に販売終了後の同一仕様での再流通が限られるため、供給が一気に増えて大きく値崩れするケースは起こりにくい面があります」
投資家はまず、人気があり状態のいいカードをカードショップなどで購入。その後、トレーディングカード専門の鑑定機関「PSA」にカードを送り、専門家による鑑定を依頼する。傷や印刷のズレなどが少なく、極めて状態のいいカードは高い評価がつき、購入額を大きく上回る価格で取引されることもあるという。ただし、鑑定は最短でも90日、場合によっては半年以上かかることもあり、鑑定料も1枚あたり4000~1万円ほどと決して安くはないため、もともとの価格が低いカードや需要の少ないカード、状態の悪いカードなどを送れば、費用倒れで赤字になることもある。
「鑑定されたカードは、その時点の状態を保護するため、専用の樹脂製ケースに封入され、そのままの形で流通します。ケースには鑑定結果を確認できるシリアルナンバーや、真贋(しんがん)確認のための各種仕様が施されていて、こうした仕組みによって取引のしやすさが高まっています。この『状態と評価の見える化』によって、買い手にとっても価値の判断しやすくなり、世界中でトレカの取引が広がっているんです」
新規参加者が市販品の購入で「ポケモンイラストレーター」のような超高額カードをゲットし、一獲千金を狙うことは可能なのか。ムンピカさんは、「何でもかんでも買えば上がるというほど簡単なものではありません」と説明する。
「ポケモンカード全体が高騰している、というニュースもありますが、それぞれのカードを見ていくと、上がっているものもあれば下がっているものもあります。このあたりは株式投資と同じで、きちんと情報を精査することが重要です。『ポケモンイラストレーター』は世界に39枚しか存在しないとされる特別なプロモカードで、そもそも一般的な購入ルートでは入手できません。加えて、長らくアメリカの著名人ローガン・ポールが所有し、世界的プロレス団体であるWWEのデビュー戦で着用していたことでも話題になりました。例えるなら、大谷翔平選手が世界一になった際に使ったバットのように、希少性に加えて来歴そのものが価値を持つ存在なんです」
転売目的の大量買い占めとも混同されがちなポケカ投資だが、実際には、両者の目的や対象は必ずしも同じではない。投資家が発売直後の市販品を大量に購入するケースは多くないという。
「1枚10万円を超えるような高額カードは、1箱5400円のボックスに必ず入っているわけではなく、かなり低い確率でしか出ません。しかも、仮に高額なレアカードが出ても、センターラインからわずかに印刷がズレているだけで鑑定評価が下がることがあります。市販品を大量に開封して利益を狙うやり方は、効率がいいとは言えません。
ではなぜ転売目的の買い占めが起こるのかというと、定価より高くても新発売のカードをすぐ手に入れたいプレイヤーや、未開封ボックスそのものを欲しがるコレクターがいるからです。一方で投資家は、新発売のカードよりも、流通量が徐々に減っていく過去弾や、すでに絶版されたカードに注目することが多い。ポケモンカードはレギュレーションの更新により、過去のカードはやがて公式大会で使えなくなります。そのため、対戦用に最新カードを求めるプレイヤーとは、ある程度すみ分けができているんです」
ネット上では、買い占め行為により純粋にカードで遊びたい子どもたちにカードが行きわたらなくなるとの懸念の声も根強いが、これにも一部誤解があるとムンピカさんは解説する。
「高額カードを狙って開封された場合でも、それ以外の多くのカードはカードショップに安価で流通します。例えば、最近発売された『インフェルノX』収録の『メガリザードンX ex』は、絵柄やレアリティーによって価格に大きな差がありますが、それぞれのカードの対戦における技や性能は全く変わりません。対戦で使うだけなら低レアリティーのカードで十分なことも多く、これらはカードショップで1枚30~100円、高くても数百円程度でバラ売りされることが少なくない。対戦用のデッキを組むだけなら、中身がランダムなパックやボックスを買うより、カードショップで必要なカードを単品でそろえたほうが安く済むケースも多いんです。
ただ、パックを開封するときのドキドキ感には別の価値があります。例えば年齢制限付き販売や購入機会の確保など、何らかの形で子どもたちがパックを買いやすい仕組みは必要だと思います」
高額取引が相次ぐなか、一部では精巧な偽造カードも流通しているというポケモンカード。株やFX、暗号資産とは異なり、金のような実物資産であることも、投資家の関心を集める要因の一つになっているようだ。
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