法廷に響く怒号と悲鳴 自動車盗難で判決を受けたベトナム国籍の男が暴走、緊迫の一部始終を目撃

さいたま地裁で17日、ベトナム国籍の男が判決を言い渡された後、法廷の窓ガラスをたたき割り、その場で取り押さえられる騒ぎがあった。逃亡を図ろうとしたとみられる。

さいたま地裁が騒然となった【写真:ENCOUNT編集部】
さいたま地裁が騒然となった【写真:ENCOUNT編集部】

自動車52台盗難 懲役6年の判決が言い渡された後に…

 さいたま地裁で17日、ベトナム国籍の男が判決を言い渡された後、法廷の窓ガラスをたたき割り、その場で取り押さえられる騒ぎがあった。逃亡を図ろうとしたとみられる。

 202号法廷で午後4時15分から予定された裁判は10分ほど遅れて始まり、出入国管理及び難民認定法違反、建造物侵入、窃盗の罪に問わたチャン・ドゥック・ルオン被告は、裁判官から懲役6年を言い渡された。山梨、新潟、長野など8か所で、合計52台の車と現金約467万円を盗んだ。裁判官は「財産的被害が大きい」と悪質な犯行を断じ、「その刑事責任は重いと言わざるを得ない」と量刑の理由を説明した。

 そして「不服があれば控訴できる」と伝え、閉廷しようとした時だった。

 ルオン被告は再び手錠をはめられる前に突然、歩き出すと、右奥にある窓ガラスの前に立ち、ペンのようなものを持って威かく。鋭い目でにらみつけると、2階のガラスをたたき割った。法廷内は瞬時に緊迫し、「オイ!」という怒声、「キャー!」という悲鳴が響き渡った。警察官数人が取り囲み、抑えつけたが、法廷は大混乱となった。

 ENCOUNT記者を含め、5~6人いた傍聴人は退席させられ、すぐに警察車両や救急車が到着した。裁判所の外には、割られたガラス片が広範囲に散乱。多数のメディアが駆けつける異様な雰囲気となった。

 被告は技能実習生として来日後、勤務先を無断で辞め、不法残留の末、生活に行き詰まり自動車窃盗に手を染めた。犯行は組織的に行われ、実行役を担っていた被告は見返りとして、2500万円の報酬を得ていた。

次のページへ (2/2) 【写真】大きく割られた2階の窓、実際の写真
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