今年1月に3人組ユニットとして新たなスタートを切ったClariS（クラリス）。アニメーションと深いつながりを持ち、特にアニメシリーズ『魔法少女まどか☆マギカ』（以下、まどか☆マギカ）とは縁がある。2011年のテレビ（TV）放送開始のオープニング曲『コネクト』を担当して大ヒットし、TVや劇場版の同シリーズの主題歌などは、今もファンに愛されている。そして今年は夢のコラボレーション企画が実現。ClariSが来年15周年を迎え、まどか☆マギカの“応援アンバサダー”「リンクスパートナー」に就任し、12月10日に歴代主題歌のセルフカバーや、まどか☆マギカのシリーズ インスパイアソングを含むコンセプトEP『リンクス』をリリースした。そこでメンバーのクララ、エリー、アンナに、まどか☆マギカへの思いを聞いた。（取材・文＝福嶋剛）

――はじめに、まどか☆マギカとの“リンクスパートナー”について教えてください。

クララ「リンクスパートナーとは、分かりやすく例えると応援アンバサダーとかPR大使のような役割です。今年10月から放送されているTVアニメの『「魔法少女まどか☆マギカ 始まりの物語/永遠の物語」TV Edition』や来年公開予定の『劇場版 魔法少女まどか☆マギカ＜ワルプルギスの廻天＞』を盛り上げるため、来年15周年を迎える、まどマギの作品や歴史をClariSの楽曲でつないで盛り上げていこうという企画になります」

――リンクスパートナーの具体的な活動を教えてください。

クララ「まずは今回リリースしたコンセプトEP『リンクス』です。収録曲の『コネクト』にはつなぐという意味があり、『ルミナス』『カラフル』と4文字のタイトルなので今回も4文字タイトルで同じような意味を持つものを考えて新曲は『リンクス』と名付け、そのままEPのタイトルにしました。今までの物語のつながりを感じていただけるように3人で作詞をさせていただきました」

エリー「そして『魔法少女まどか☆マギカ × ClariS Links Collaboration Cafe』を11月12日から12月14日までand GALLERY有楽町店（東京）、and GALLERYなんば店（大阪）、and GALLERY名古屋2号店（名古屋）の3か所で開催しています」

アンナ「コラボカフェならではの特別メニューもありますし、私たちClariSのアーティストイラストを書き下ろしていただき、まどか☆マギカのキャラクターと一緒に夢のコラボをさせていただきました」

クララ「アニメ作品とアーティストのコラボは、めったにない貴重な機会なのでぜひ足を運んでいただけるとうれしいです」

――改めて、まどか☆マギカの魅力についてお聞きします。

アンナ「私は生きていたら必ずどこかで出会うであろう、いいことばかりじゃない世の中みたいな、そんなリアルな世界を魔法少女もののファンタジーとして見せてくれているのがまどか☆マギカの魅力のひとつだと思います。実際に私たちも大きな希望や目標を叶えるには同じだけの困難を乗り越えないといけないという、世の中はそんなバランスで成り立っているということを物語を通して教えてくれていて、そんな世界観がすごく丁寧に描かれているんです。また、時系列が違うキャラクターも作品に登場するんですけど、もう1回見返すと、『だからこの子はこういう表情をしていたんだ』と、いくつもの伏線回収ができて鳥肌が立ったりする瞬間もあって、見れば見るほどさらに魅力が増してくるようなアニメ作品です」

エリー「魔法少女という、とてもかわいらしいキャラクターとダークな世界観というギャップがあったり、物語には絶望と希望の対比みたいなものもあるんです。作品を見ながらジェットコースターに乗っているような感情の起伏を味わえる、すごく見応えのある作品です。キャラクターの人間模様にも気持ちが揺さぶられて、見終わった後にちょっと自分も成長できたんじゃないかなって思わせてくれます」

クララ「エリーが言ってくれたように、まどか☆マギカには光と影の部分が存在しています。主人公の鹿目まどかちゃんの存在が大きくて、いつも周りの幸せを願う優しさやみんなを温かく包み込むような愛を感じます。今回シリーズのインスパイアソングの『リンクス』の歌詞は、そんなまどかちゃんのキャラクターを描きたいと思い、今回は初めて3人で作詞をさせていただきました」

――どのように進めていったのでしょう。

クララ「最初に、3人で何に焦点を当てて書こうかと話し合いました。そこで主人公のまどかちゃんと魔法少女の暁美ほむらちゃんの関係性を描きながら、3人それぞれの『つなぐ』というキーワードで書いたものを合わせて仕上げました」

アンナ「まどか☆マギカの作品を1曲でまとめたような歌詞になっていて、ファンの方にも伝わるような歌詞になっています」

――そして、まどか☆マギカと共にファンに愛されてきた代表曲『コネクト』『ルミナス』『カラフル』のセルフカバーについてもお聞きします。エリーさんとアンナさんは、今回初めて3曲をレコーディングしましたが、プレッシャーはありましたか。

エリー「もちろんありました。3曲とも大切な曲ですし、特に『コネクト』は、多くのアニメファンに愛されてきた曲なので緊張感はありました。でも3人でこれから新たな歴史を作っていくという覚悟もあったので、『コネクト』はメッセージ性のある歌詞の意味をくみ取って、言葉の一つひとつを大切に歌わせていただきました。サビで3人がぴったりそろうようにアクセントの位置だったり、試行錯誤しながら歌いました」

アンナ「私も未知の世界に対してのプレッシャーはありました。クララちゃんもきっと新たなスタートにたくさんの不安はあったと思います。でもそんな3人が集まったからこそ乗り越えられる強さもこの3人は持っていて、まどか☆マギカの世界観を描きながら、終わってみると私たちの気持ちにもすごくリンクしていたことが分かり、『これから3人で歌っていくぞ』っていうさらなる気持ちが芽生えました」

クララ「『コネクト』は今回で3回目のレコーディングになるのですが、初めて歌入れをした時は、まどか☆マギカのキャラクターと同じくらいの年齢だったので『コネクト』や『ルミナス』は、その歌詞をまだ全部理解できなかったんです。そして今回、3回目のレコーディングでやっと全てを理解した上で表現できました。自分の中で大きく手を広げて、『エリーとアンナをいつでも守るよ』みたいな。そんな大きな心で歌えたと思います。私たちの気持ちが今回のEPを通してファンのみなさんにも伝わってくれたらうれしいなと思います」

――では最後に、15年周年を迎えたClariSを振り返ってみて、クララさんは今どんな心境ですか。

クララ「15年経って、またこうして新体制でこんなにすてきな作品を作れるなんて想像もしていなかったので、『リンクス』は一生忘れることのない作品になりました。まどか☆マギカと一緒に歳を重ねてきた証というか、ひとつの集大成にもなりましたし、この先もまどか☆マギカと一緒にClariSも歩んでいけたらいいなって思います。来年公開される劇場版『魔法少女まどか☆マギカ＜ワルプルギスの廻天＞』もしっかりパートナーとしてリンクしていきたいと思います。これからも楽しみにしていてください」

□ClariS（クラリス）2009年、中学生だった、当時のメンバー・クララとアリスがニコニコ動画で顔を隠して活動をスタートし、翌10年10月20日、ClariSとして『irony』（テレビアニメ『俺の妹がこんなに可愛いわけがない』のオープニングテーマ）でメジャーデビュー。11年にリリースした2ndシングル『コネクト』がテレビアニメ『魔法少女まどか☆マギカ』のオープニングテーマに起用され大ヒット。14年6月にアリスが卒業し、新たにカレンが加入してClariS第2章がスタート。学業優先を理由に素顔を公開せずに活動を行ってきたが2020年10月、メジャーデビュー10周年を機にメディアに素顔を明かし、大きな話題を呼んだ。24年11月にカレンが卒業し、25年1月25日に音楽イベント『リスアニ！LIVE 2025』（日本武道館）で新たにエリー、アンナが加わり3人体制になることを発表。第3章の活動がスタートした。12月10日現体制では初のコンセプトEP『リンクス』をリリース。