俳優の北川景子がヒロイン・松野トキ（高石あかり）の親戚・雨清水タエ役で出演するNHK連続テレビ小説『ばけばけ』（月～土曜午前8時）の第28回が5日に放送され、物乞いという衝撃的な姿を披露した。制作統括の橋爪國臣氏が取材に応じ、撮影時の北川の様子を明かした。また、第27回でも紹介されたラシャメン（外国人のめかけ）について、描く覚悟も語った。

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（※以下、ドラマの内容に関する記述があります）

　タエは夫・傳（堤真一）を亡くし、夫が経営していた工場も倒産。借金を背負い、屋敷を売却して松江を離れていた。だが、第28回では、タエが松江に戻り、物乞いをしているショッキングな姿が描かれた。雨清水家でお姫様のように育ち、きれいな着物を着ていた昔の姿とは大きく異なり、かなり汚れた身なりだった。まずは小泉セツの生みの親・チエさんも実際に物乞いをしていたのか尋ねた。

「チエさんが実際に物乞いをしていた記録が残っており、タエというキャラクターを作る際の参考にしました」

　北川は物乞いを演じるにあたり、どんな反応を示したのだろう。

「タエという高貴な方が、時代が変われば何もできなくなるのはその通りとし、『物乞いとなり働くことを選択しないのは自然な流れだと思います。役である限りタエをちゃんと生きたい』と話していました。物乞いを演じるにあたっては『ちゃんと物乞いになりたいです。美しいまま、きれいな物乞いにはなりたくない。しっかり物乞いになりたいです』と言っていました。長くお風呂に入っていないように見えるようなことに結構こだわっていて、我々がさすがにやり過ぎと言うくらい汚してほしいと話していました。徹底ぶりはさすがだと思いました」

　汚し方についても聞いてみた。

「普通のメイクの範囲での汚しですが、手や顔をきちんと汚しを施し、お風呂に長く入っていないように見えるようにしました。着物もきれいな着物ではなく、一度水洗いをしてヨレヨレにした着物です」

　第28回では、トキが外国人英語教師・ヘブンの女中になった場合、月給20円と出すと言われるシーンがあった。描かれる1890年頃の20円とは今のどのくらい価値なのか。

「おおよそですが1円が今の3、4万円と言われています。20円というと月給70～80万円、年収で言うと1000万円近いと思われます。当時の女性の地位は低かったので破格だと思います」

　また4日に放送された第27回ではラシャメンというワードが登場し、異人のめかけと言われ石を投げられると紹介され、異人の女中はめかけという意味を併せ持っていたと描かれた。描くにあたり意識したこと苦労したことを尋ねた。

「朝ドラですし、子どもたちも見ていますので、言葉遣いには気を付けました。とはいえ、脚本家のふじきみつ彦さんがうまく笑いも交えつつ表現するのが得意な方なので面白く書いていただけていると思います。直接表現しない良さもあると思います」

　トキのモデルの小泉セツさんはどうだったのか。

「セツさんがラシャメンとして八雲の女中になったのかは記録が残っておらず、よく分かっていません。ただ、もしかするとラシャメンだったのかもしれないと読み取れる史料もあります。なので、そこに踏み込んだドラマだと思っています。いろんな苦労がある中でも生きていかなければならないし、その中に恨めしさも素晴らしさもある。なので、この生き様をそのまま描くことは、ドラマのテーマを伝える上で重要と考えました。子孫の小泉凡さんにもご相談し、テーマを理解できるので描いてくださいと言われました。県知事役の佐野史郎さんからは『君たち攻めたね。大丈夫かね。今まで皆が知っていたけど隠していたことだよ』と言われました。逃げずに正面から向き合っていきたいと思っています」

　作品は松江の没落士族の娘で、小泉八雲の妻・小泉セツとラフカディオ・ハーン（小泉八雲）をモデルに、西洋化で急速に時代が移り変わっていく明治日本の中で埋もれていった人々を描くオリジナルストーリー。「怪談」を愛し、外国人の夫と共に、何気ない日常の日々を歩んでいく夫婦の物語をフィクションとして描く。高石がヒロイン・松野トキを、トミー・バストウがレフカダ・ヘブンを演じる。

※高石あかりの「高」の正式表記ははしごだか