アイドルグループ・日向坂46の上村ひなのが、15枚目シングル『お願いバッハ！』（今月17日リリース）で選抜入りを果たした。10枚目シングル『Am I ready？』ではセンターポジションを務めており、グループに欠かせない存在だ。「アイドルという存在に出会って人生が変わった」と話す21歳。オーディション合格から7年、これまでの活動を振り返りつつ、現在の心境を語った。（取材・文＝イシイヒデキ）

　小学生だった上村は、テレビ番組で見た乃木坂46をきっかけに、「坂道グループが大好き」になった。そして、中学生になって2018年に実施された「坂道合同新規メンバー募集オーディション」に応募して合格。日向坂46の前身グループである“けやき坂46”の三期生としてデビューした。だが、今もアイドルへの憧れを持ち続けている。

「実際に加入して、想像していたアイドルといい意味で変わらないと思いました。みんな真面目に努力をしていて、一つひとつの楽曲、ライブに向き合っています。大人になってからもガムシャラになれて、『アイドルは人々に希望を与えてくれる存在なんだ』とあらためて感じました」

　控えめな性格で、学生時代は学校に馴染めない時期があったという。だからこそ、強く思うことがある。

「悶々としてしまっていた時に『アイドルに救われた』と明確に思った経験がありました。そんな中で、『自分もアイドルになれた』という経緯があったので、自分も誰かの心の支えでしたり、悩みを解消できるような存在になれたらという気持ちはずっと持ち続けています」

『お願いバッハ！』は、主人公がバッハの曲に勇気をもらって告白に臨むという前向きな歌詞になっている。上村は願いを込めて言った。

「この曲を聴いて元気になってくださる方がいたら、こんなにうれしいことはありません。日向坂46としてバッハのように勇気を与えられたら」

　アイドル活動は内気だった自分を変え、今では文化放送のレギュラーラジオ番組『日向坂46の「ひ」』で初代MCを担当している。グループには3月に五期生が加入。後輩が増えたことで、あらためて先輩としての自覚が芽生えたという。

「『グループの末っ子』と言われるポジションが長かったのですが、ガラっとキャラクターを変えて、『お姉さんにならないといけない』と思っています（笑）。同期の高橋未来虹ちゃんが2代目キャプテンに就任したので、キャプテンと一緒に四期生、五期生を引っ張って、支えてあげられるような存在になれたらと思っています。ただ、私は控え目すぎるところがあるので、自分のこともしっかりアピールしていきたいです」

　一期生の卒業でグループが新章を迎えたなか、個人活動の面でも意欲を示した。

「素晴らしいドラマや映画を見た時に心が動くじゃないですか。そういったお仕事にも関わっていけたらと思っています。個人的には声優さんのお仕事に興味があり、声の表現も学んでいきたいです。何かグループに持って帰れるものが一つでもできたらいいなと思っています」

　そして、23年7月期のMBS・TBS系連続ドラマ『DIY!! -どぅー・いっと・ゆあせるふ-』で主演した経験を振り返り、胸を張って言った。

「ドラマが『Love yourself!』という楽曲と通ずる部分があり、自分を大切にするというメッセージ性をより伝えられるようになったと感じました。もっともっと外に出て、しっかり日向坂のことを守れるような人になることが目標です」

　アイドルに魅了された少女は、時をへて憧れられる存在になった。その責任とやりがいを感じつつ、上村は今日も誰かのために輝きを放つ。

□上村ひなの（かみむら・ひなの）　2004年4月12日、東京都生まれ。18年8月、『坂道合同新規メンバー募集オーディション』に合格し、同年11月けやき坂46に三期生として加入。日向坂46に改名後、23年7月26日リリースの10枚目『Am I ready？』で初めて表題曲のセンターを担当した。163センチ、血液型AB。

※高橋未来虹の「高」の正式表記ははしごだか