お笑い芸人の藤井隆とタレント井上咲楽が司会を務めるABCテレビ・テレビ朝日系『新婚さんいらっしゃい！』（日曜午後0時55分）の8月10日放送回で登場したのは、沖縄県宜野湾市に住む新婚さん。夫は旅行会社の事務員。妻は手話コメディの劇団「アラマンダ」を主宰する沖縄吉本のお笑い芸人・大屋あゆみだ。

　2人の出会いは思いがけない瞬間だった。5年前、ホテルの夜勤明け、テレビをぼんやり見ていた夫は、地元番組のコーナー「大屋あゆみのハッピービュッフェ」に目を奪われた。「なんだこの明るい人……」と心の中でつぶやき、「この人と会えたらいいな」と思ったという。画面の中、大屋は笑顔で料理を頬張り、「おいしい～！」と無邪気に声を上げていた。実際の食レポを見た藤井も「分かる！　グッと来た」と目を奪われたことに納得顔。

　半年後、妻は番組スタッフに「彼氏が全然できなくて……」とこぼしていた。すると、「じゃあ番組で募集してみる？」という話に。夫は「どうせ選ばれないだろうけど……」と軽い気持ちで応募した。実は応募者は、夫を含めて2通。妻は「こんなに少ないとは私も思ってなかった」とスタジオを笑わせた。

　デートロケをやる寸前、コロナ禍で企画は立ち消えとなった。それでも夫は諦めず、SNSで直接メッセージを送ったという。「テレビで見てから、ずっと会いたいと思っていました」。その一文に妻は「え、私のこと見てくれてたの？」と驚き、やりとりが始まる。

　メッセージを重ねるうち、夫は妻の両親が耳が聞こえないことを知り、「実は、うちの祖母も耳が聞こえないんです」と打ち明けた。「それなら、うちの家族のこともきっと分かってくれるはず」と妻は感じたという。初対面の感想を、夫が「テレビで見るよりちっさくて、さらに好きになりました」と話すと、藤井は「いや、どんだけ大きいと思ってたんや」とツッコミ。夫は「テレビでよく食べていたので」と返し、スタジオを笑わせた。

　だが結婚話が持ち上がると、妻の母は沖縄から娘が離れることを強く反対した。「結婚はダメ。沖縄にいてほしい」。その言葉に、妻は「なんでわかってくれないの……」と泣いた。それを聞いた夫は「じゃあ沖縄で暮らそう。仕事もここで探すから」と即答。ホテル勤務だった夫は転勤の可能性を断ち切るため、沖縄の旅行会社に転職した。

　夫の覚悟が母の心を動かし、昨年9月、2人は結婚。番組では、妻の母が夫に手紙を読んだ。「息子のように思っています。娘を守ってくれてありがとう」。その声に夫は「本当にうれしいです。これからも家族のそばにいたい」と涙ぐんでいだ。