森達也監督「ドキュメンタリーの存在感見せた」日本映画スプラッシュ部門作品賞に「i ―新聞記者ドキュメント―」
第32回東京国際映画祭クロージングセレモニーが5日、東京・有楽町の東京国際フォーラム ホールCで行われ、日本映画スプラッシュ部門作品賞には森達也監督(63)の「i ―新聞記者ドキュメント―」(11月15日、東京・新宿ピカデリーほか公開)が輝いた。
第32回東京国際映画祭クロージングセレモニー
第32回東京国際映画祭クロージングセレモニーが5日、東京・有楽町の東京国際フォーラム ホールCで行われ、日本映画スプラッシュ部門作品賞には森達也監督(63)の「i ―新聞記者ドキュメント―」(11月15日、東京・新宿ピカデリーほか公開)が輝いた。
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同作はシム・ウンギョン&松坂桃李が出演し、今年大ヒットした「新聞記者」(藤井道人監督)のプロデューサー、河村光庸氏が製作。「A」や「FAKE」の森監督が、東京新聞社会部記者・望月衣塑子氏の姿を通して、日本の報道の問題点に迫るドキュメンタリー。
ラフな格好で来場した森監督は「近所のレンタルショップにDVDを返しに行くみたいな格好で来てしまいました」とまず謝罪すると、会場から笑いも。「僕だけの力ではない。望月さん、プロデューサー、みんなの力で取ることができました。今回の東京国際映画祭では、原一男さんの作品(「れいわ一揆」)もあって、ドキュメンタリーが存在感を示したと思う。ドキュメンタリーは面白い。メディアが閉塞している中、新たな力を見せている。この国の空気はいろんなものを停止してしまっている。だから、この作品を選んだプログラム・ディレクターも危ないんじゃないか。でも、自己責任ですね(笑)。僕自身はドラマも撮るつもりです。来年は無理でも、再来年また来たい」とさらなる意欲を見せた。
同部門の監督賞は「叫び声」の渡辺紘文監督に決定。北関東郊外の農村を舞台に、年老いた祖母とふたりで暮らす豚飼いの男が豚舎で黙々と働く姿を、極限まで言葉を排したモノクロ映像の人間ドラマ。渡辺監督は「こんな素晴らしい場所で賞をもらえるとは思ってもいなかった。皆さまに感謝しています。僕たちは栃木県大田原市という小さな町で自主映画を作ってきました。家族で作っていて、父親、母親がスタッフになっている。この映画にも出ている僕のおばあちゃんを8月に亡くしました。おばあちゃんがいたから取れたんだと思います。天国のおばあちゃんに感謝します」と涙を流して喜んだ。
また、今後の活躍が期待される俳優に贈られる「東京ジェムストーン賞」には、「テイクオーバーゾーン」の吉名莉瑠(15)らが選ばれた。東京国際映画祭に初参加した吉名は「レッドカーペット、舞台挨拶はキラキラしていました。このような素晴らしい場所で上映されたことをうれしく思っています。これからも、いろんなことがあると思いますが、毎日に感謝して、いろんな人に吉名莉瑠を知ってもらえるように頑張りたいです」と笑顔で話した。ほかには、「タイトル、拒否」の伊藤沙莉(25)、「”隠れビッチ”やってました。」(12月6日公開)の佐久間由衣(24)、「ディスコ」(ノルウェー)のヨセフィン・フリーダが選ばれた。