ゆかりパッケージの“点字”が話題「こういう企業努力は応援したい」 気になる意味…導入経緯を聞いた
1970年に三島食品株式会社から発売された、人気ふりかけ「ゆかり(R)」。ごはんのお供として、発売から55年を数える今もなお同社の看板商品だ。紫色のデザインがなじみ深いが、そのパッケージに隠されたある秘密がSNS上で話題となっている。「こういう企業努力は応援したい」と称賛の声が上がった取り組みについて、同社に詳しい話を聞いた。

ユニバーサルデザインの流行を受け、2002年11月から導入
1970年に三島食品株式会社から発売された、人気ふりかけ「ゆかり(R)」。ごはんのお供として、発売から55年を数える今もなお同社の看板商品だ。紫色のデザインがなじみ深いが、そのパッケージに隠されたある秘密がSNS上で話題となっている。「こういう企業努力は応援したい」と称賛の声が上がった取り組みについて、同社に詳しい話を聞いた。
「いま封を切って気がついた ゆかり、点字が書いてある。しかも切った後でもわかるよう、袋の横にも 配慮が行き届いてるなぁ」
今月13日、SNS上で話題を呼んだゆかりに関する投稿。アップされた写真には封が開いたゆかりのパッケージに、点字が記されているのが見て取れる。投稿には5万件以上の“いいね”が寄せられており、「知らんかった!」「良いっっ!!」「ほんとだ! 思わず台所行って確認しちゃった!」「この様な心配り出来る会社素晴らしいですね」「こういう企業努力は応援したいよね」「配慮にぬかりがないですね…」など賛辞の声が集まっている。
「ゆかり(R)」を製造・販売する三島食品株式会社の広報担当者は、「話題となっていることは認識しております。我々として点字を営利的な目的で付けたわけではございませんでしたので、今回このように話題にしていただいているのは大変光栄だと感じております」と口にする。
パッケージに点字で記されているのは「ゆかり」の3文字。当初は「ふりかけ」などの案もあったというが、文字数が長くなってしまうことなどもあり、シンプルに商品名を掲示することに決めたという。担当者は「点字をつけたのは、ユニバーサルデザインという言葉がはやり始めた2002年の11月から。弊社で行うのであれば、それなりに販売量がないとコストがかかってしまうため、看板商品であるゆかりで挑戦してみようと社内で提案があり採用しました」と経緯を語る。
消費者が売り場で手に取った瞬間に分かるよう、当初はパッケージの左上部にのみ点字を刻印。しかし、その位置では食べる際に開けて切り離されてしまうため、視覚障がいを持つ人やヘルパーの方から寄せられた「使う時に点字がなくなってしまう」との声を受け、2005年1月からパッケージの右横にも同様の点字をつけることにしたという。
現在、シリーズ内で点字をデザインしているのは「ゆかり」のみ。「昨今の値上がりの影響や、点字を打ち込む金型などの用意がかなりのコストアップとなり、経営的な部分でもだんだん難しくなってきているため、他の商品では展開できておりません。『ゆかり(R)』の中では、お得用サイズなどグラム数が異なるもので点字が付いている商品もございます」と説明する。「かおり」や「あかり」といった同社の別商品でも点字を導入するには、「ゆかり」に匹敵する販売量に届くことが1つの目標になるといい、現状は導入が難しい状況だという。
同社では学校や病院、老人ホームなどに提供する業務用商品において、栄養強化商品や誤嚥(ごえん)を防止する商品を販売するなどの取り組みも行っている。また、以前から点字に関わる団体や自由研究のテーマにしたいという小学生から問い合わせを受けることが多くあったという。
あらためて、一連の反響については「SNSを通じて一般の消費者の方にまで広がったのは初めてだったので、驚いています。ユニバーサルデザインに挑戦させていただく上で、『ゆかり(R)』が弊社で一番津々浦々に届いている商品だったため、これだけでもトライしてみようと取り組んだ形が、このように注目いただけたことはありがたく思っています」と話している。
