「調子に乗りすぎた」国民民主に吹いた逆風 候補者が街頭で感じた異変 他党幹部「支持離れは起こるべくして起こった」
東京都議会議員選挙が22日に投開票され、国民民主党はこれまでの議席0から9議席を獲得。玉木雄一郎代表が「まずは5議席」と目標に掲げていた、単独で会派構成ができる議席数に達した。一方で、「できれば……」と語っていた、条例提出権のある11議席には届かず。公示直前、代表自ら発した備蓄米への「動物の餌」発言や、今夏参院選・山尾志桜里候補の公認取り消し騒動が、昨年秋の衆院選から続く躍進に水を差す形となった。

会派構成ができる5議席数に達するも、条例提出権のある11議席には届かず
東京都議会議員選挙が22日に投開票され、国民民主党はこれまでの議席0から9議席を獲得。玉木雄一郎代表が「まずは5議席」と目標に掲げていた、単独で会派構成ができる議席数に達した。一方で、「できれば……」と語っていた、条例提出権のある11議席には届かず。公示直前、代表自ら発した備蓄米への「動物の餌」発言や、今夏参院選・山尾志桜里候補の公認取り消し騒動が、昨年秋の衆院選から続く躍進に水を差す形となった。
都議会での議席獲得を目指し、18人の公認候補を擁立して臨んだ今回の選挙戦。港区・宮崎大輔氏、江東区・高橋巧氏、葛飾区・鴇崎直行氏、大田区・福井悠太氏、練馬区・山口花氏、江戸川区・天沼浩氏、新宿区・奥本有里氏、杉並区・国崎隆志氏、世田谷区・坂本雅志氏の9人がそれぞれ初当選を果たし、会派構成ができる5議席を上回った。
事前の出口調査で議席獲得は確実視されていたものの、NHKで最初の候補者当確が発表されたのは午後11時過ぎ。長い時間、重苦しい雰囲気が立ち込めていた党の開票センターでは、せきを切ったように拍手喝采が沸いた。その後もなかなか吉報が続かない状況に、詰めかけた党関係者からは「厳しいな……」とため息が漏れた。
日をまたいだ午前0時30分、候補者6人に当確が出た段階で行われた記者会見で、礒﨑哲史副代表は「都議会においても政策実現の基盤を作りたいと戦ってきた。1つの目標値としてきた5議席を確保できた」と胸をなでおろした。
一方、同席した川合孝典選挙本部長は「予算に関わる条例提案条件の11議席を目指してきた。大変残念だが、我々としては前向きな一歩」と総括。11議席に届かなかった要因については「本格的に(都議選を)戦ったのは今回が初めて。やはり国政とは反応が違う」と振り返った上で、玉木代表の「餌」発言や山尾候補の騒動について「当然、何もなかったとは言えない。大きな戦略を描いた数か月前と今とを比較すると、追い風ではない状況になっていた。影響があったというのは事実だと思います」と認めた。
最前線で戦う候補者にも、思わぬ逆風を受けた党の動揺は伝わっていた。街頭に立ったある候補は「有権者の方に握手を求めても、怒鳴られて手を払われたり、『せっかく応援してたのに』『もう絶対に応援しない』とお叱りを受けたりということもありました。参院選や党上層部の問題は私たちにはどうしようもないことですが、(国民民主から)出てしまった以上は仕方ない。頑張るだけです」と本音をポロリ。政党支持率の急落ぶりに、別の候補からは「むしろ衆院選から今までの方が少しバブルみたいなところがあった。これを機に、もとの姿勢に戻ってくれれば」と党執行部へ冷静さを求める声も上がった。
他党幹部は国民民主のブレーキについて「調子に乗りすぎた」と指摘する。「期待が大きかった分、裏切られるとこうなる。山尾志桜里は一つの原因ではありましたけど、支持離れは起こるべくして起こった」。自民党を見限り、受け皿となるはずだった国民民主の票が、都民ファーストの会などへ流れたという認識を示した。
川合選対本部長は、参院選の前哨戦と位置づけられる選挙戦を振り返り、「地域政党の都民ファーストもいる。やはり国政とは反応が違う。そういう意味では学びや気づきがあった。国政選挙とは戦い方が違う」と“別物”の面もあることを強調。来る天王山ではどのような結果となるか。
