東京五輪柔道男子100キロ級金メダリストのウルフ アロン（29）が23日、都内で会見を行い、新日本プロレスに入団し、プロレスラーに転向することを発表した。

　棚橋弘至代表取締役社長は今回の経緯について「本人から入団の強い希望をいただきました。ご本人の本気の熱意と誠実な態度を見て新日本プロレスも『歓迎します』とお答えしました」と説明。

　棚橋社長は「しっかりとプロレスの練習をしていただいたうえで、来年の1.4東京ドームでデビューしてもらおうと思っております」と考えを明かし、日本の五輪金メダリストとして初めてプロレスに転向することに期待感を寄せていた。

　ウルフは紺色のスーツに身を包んで登壇。「私の方から新日本プロレスに入りたいとお話させていただきました」と緊張した面持ちでひと言あいさつ。「大学生のころ録画した『ワールドプロレスリング』を見るのが、毎週日曜の楽しみで選手のみなさんが裸一貫で戦っているカッコよさ、また柔道とは違った見せ方に魅力を感じた」とプロレスへの熱い思いも語った。

　ウルフは今月8日に行われた全日本実業団体対抗大会に「パーク24」のメンバーとして出場。チームは決勝で「旭化成」に敗れたが、個人としては3戦3勝を飾った。10日に行った引退会見では現役生活に「悔いは全くない」と語り、引退後の指導者転身を否定。「自分自身が表に立ちたい気持ちが強い」と明かしていた。

　1996年2月25日、東京都出身のウルフは6歳から講道館・春日柔道クラブで柔道のキャリアをスタート。その後、柔道が盛んな文京一中に進んだ。一時は結果が出なかったが、東海大浦安高に進学し高校3冠（全国高等学校柔道選手権大会、金鷲旗高校柔道大会、インターハイ）を達成した。その後は名門・東海大に進学。全日本ジュニア優勝、世界ジュニア3位の成績を収め、大学4年時には全日本選抜体重別選手権で2連覇を飾り、世界選手権も制していた。2024年のパリ五輪では男子100キロ級の日本代表として出場したが、敗者復活戦で敗れ、メダルには届かなかった。身長181センチ、得意技は内股・大内刈。

　なお、柔道五輪メダリストのプロレス転向は過去に小川直也、石井慧、アントン・ヘーシンクなどがいる。