【スターダム】2か月前まで女子高生…将来有望な18歳王者が「王座を獲れなければやめようかなと」と考えていたワケ
姉・羽南(はなん)、双子の姉・吏南(りな)とともに、スターダムで活躍する現役JDプロレスラー・妃南(ひな)。2018年にデビューし、現在は羽南・吏南も歴代王者に名を連ねるフューチャー・オブ・スターダム王座を保持しているが、大学生活との両立を選んだ妃南に、タイトルのこと、そして将来について聴いた。

高校に入ってからプロレスを続けるかやめるかずっと悩んでいた
姉・羽南(はなん)、双子の姉・吏南(りな)とともに、スターダムで活躍する現役JDプロレスラー・妃南(ひな)。2018年にデビューし、現在は羽南・吏南も歴代王者に名を連ねるフューチャー・オブ・スターダム王座を保持しているが、大学生活との両立を選んだ妃南に、タイトルのこと、そして将来について聴いた。(取材・文=橋場了吾)
フューチャー・オブ・スターダム王座は、20歳以下もしくはキャリア3年以内の選手のみに保持・挑戦が認められている。妃南は今年2月24日に天咲光由を破り第12代王者に輝いたわけだが、同日デビューにしてシングルで戦った双子の姉・吏南より1年9か月も遅い戴冠となった。その数日後、妃南は自身のインスタグラムに高校卒業の写真を添えて「プロレスで中々結果が出なかったけど」という文章をポストした。
「実は高校に入学してから、ずっとプロレスを辞めるかどうか悩んでいたんですよ。高校に入って進路指導でも大学に行くかどうかという話が出て。自分は大学に行こうか、プロレスを続けようか、どうしようかというのはずっと悩んでいて。プロレスで結果を出していなかったので、やっぱり自分には向いていないのかなとも思いましたし。だからここでプロレスを辞めて、新しい人生を送った方が効率はいいんじゃないかとかも考えました(笑)。
実はフューチャーのベルトを獲ったときには大学の合格は発表されていて、もしここで獲れなければやめようかなと……でもちゃんとベルトを獲ることができたので、大学にも行ってプロレスも続けますとお客さんの前でも話しました。試合に勝ったときは、色々な感情が湧きましたね。本当にプロレスを続けてよかったとも思いましたし、これからまたこのベルトを盛り上げていかなきゃいけないとも思いました。ここ最近がフューチャーといえば吏南という時期が長かったので、それを超えるくらいの勢いで……もっともっと頑張らないといけないと思います」
その吏南が“絶対王者”として君臨していた時期(2023年5月~24年10月)は、妃南にとってどのような時間だったのか。
「正直、『ああ、もうこれは無理かも』って思いましたね。例えば、同期や後輩だったら私も頑張んなきゃとなるところを、双子の姉がその状態だと精神的にはきつかったですよ。ファンの方に比較されるのはプロレスラーである以上しょうがないんですけど、家族や親せきに比較されるのはちょっと……多分、プロレスを応援してくれている身近な人たちに比較されるのは嫌って、勝手に自分で思い込んでしまっていたんですよね。だから違う道を選んで成功を目指そうか、でもここで辞めるのはダサいなとも思って……吏南が王者のときはずっと葛藤していました」

キャリア1年で結果を出しているのは凄いけど「フューチャーは眼中にないの?」
妃南は19年4月からQueen’s Questに所属していたが、24年6月に大江戸隊との全面対抗戦に敗れ強制離脱、同8月に朱里率いるGod’s Eyeに所属することになった。朱里は、妃南の成長をこう語っている。
「選手として本当にカッコいいなと、セコンドで見ていてもすごく感じますし、嬉しく思います。これからさらに素敵なレスラーになっていくなと。(God’s Eyeに入ったころと比較すると)成長スピードが凄く早くて……せっかくついて来てくれたからには、ユニットメンバー皆に輝いてほしいですし、良くなってほしいですし。私は思ったことは言いますが、ガチガチにはしていないので、やっぱり本人の努力が大きいと思いますね。私も今年は結果を出すと言って、IWGP女子王座を獲得できたんですが、妃南の頑張りが自分の結果を出すモチベーションにもつながっています」
一方の妃南は朱里やGod’s Eyeのことをどう思っているのか。
「朱里さんはリング上ではめちゃくちゃかっこいいんですけど、控室ではすごく優しくて……厳しさもあるんですけど、自由にやらせてもらえています。最初、朱里さんのことをすごく怖い人だと思っていたんですけど(笑)、悩み事に対してもたくさんアドバイスをくれるので、(鹿島)沙希さんも含めて良い先輩がいるGod’s Eyeに入って本当に良かったなと思います」
最後に、玖麗さやかやHANAKOなど、フューチャー王座を獲得する前にワールド・オブ・スターダム王座やワンダー・オブ・スターダム王座といった団体の顔となるベルトに挑戦する機会も出てきた昨今の状況を、妃南はどう思っているのか聴いてみた。
「私はフューチャー王者としてはキャリアの長い方なので、私が持っているのは面白いのかなと思うこともあるんです。今、新人が増えていますし、キャリア3年行くまでに取りたいみたいな選手たちが激しく争う方を見たいなという気持ちはあるんですけど、やっぱり獲ったからには成し遂げたいものがあるので。今まではまずフューチャーを獲ってほかのベルトへ、みたいな感じでしたけど、今はその時代じゃないんだなと。
私的には『まずはフューチャーでしょ』って思いましたよ。眼中にないのかな……その悔しさはあるんですけど、キャリア1年ちょっとで結果を残しているので、その部分は凄いなと正直に思いますね。でも私はフューチャー王者として羽南(10回)・吏南(12回)の持つ防衛記録を超えたいですし、パワーファイターでありながらスピードもあって飛べる選手を目指しているので、もっと体を作って自分のプロレスラーとしてのイメージを確立させたいのが一番ですね」
