「様子のおかしい美人」と話題のマツヤマイカ、きっかけはコロナ禍 仕事なくなり「1人何役もやれば作れちゃう」【インタビュー】

SNSの総フォロワー数が200万人を超えるデジタルクリエイター・マツヤマイカが、2月19日に1st EP『東京ロマンチック』をリリースした。得意のダンスや変顔などSNSへの投稿動画が話題となる中、2023年にアーティストデビュー。1980年代のアイドルを彷彿とさせる「昭和レトロ」をコンセプトに取り組み、作詞作曲ほか全てをセルフプロデュースするなど、近年、音楽活動が目覚ましい。TikTokなどのSNSでは独自の世界観で魅了し、Z世代(おおむね1990年代半ば~2000年代生まれ)に人気のインフルエンサーでもある。モデルとしても活躍しており、ENCOUNTでは、そんなマルチな活動を続けベールに包まれた26歳の今に迫った。

2月19日に1stEP『東京ロマンチック』をリリースしたマツヤマイカ【写真:ENCOUNT編集部】
2月19日に1stEP『東京ロマンチック』をリリースしたマツヤマイカ【写真:ENCOUNT編集部】

マルチクリエイター・マツヤマイカの素顔に迫る

 SNSの総フォロワー数が200万人を超えるデジタルクリエイター・マツヤマイカが、2月19日に1st EP『東京ロマンチック』をリリースした。得意のダンスや変顔などSNSへの投稿動画が話題となる中、2023年にアーティストデビュー。1980年代のアイドルを彷彿とさせる「昭和レトロ」をコンセプトに取り組み、作詞作曲ほか全てをセルフプロデュースするなど、近年、音楽活動が目覚ましい。TikTokなどのSNSでは独自の世界観で魅了し、Z世代(おおむね1990年代半ば~2000年代生まれ)に人気のインフルエンサーでもある。モデルとしても活躍しており、ENCOUNTでは、そんなマルチな活動を続けベールに包まれた26歳の今に迫った。(取材・文=福嶋剛)

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――動画ではいつも底抜けに明るいキャラクターなのに、実際にお会いしたらすごくまじめな雰囲気なので驚いています。

「音楽アーティストとして活動する時はちゃんと音楽アーティストとしての世界観をみなさまに見ていただきたいと思っていて」

――別人格だと。

「ええ。みなさまにはギャップを楽しんでいただけたらと……。結局(真面目とコミカルを)行ったり来たりなんですけどね(笑)。でも音楽に関してはまじめな話、本当にやりたかったことなのでそこは真剣に取り組みたいと思っています。そもそも私も暗い部分もありますね」

――お笑い芸人さんと間違えるくらい面白いのに。

「もちろん動画のようなハイテンションな面もあるんですが、それは父親ゆずりです。幼い頃から人見知りでした。母はエレクトーンの先生をやっていて、私も小学生の頃にエレクトーンを習ったり、よさこい踊りをしていました。その頃は漫画家になるのが夢でしたね」

――どんな漫画を描いていたんですか。

「戦闘バトル系やジョジョ系とか……。少女漫画も少年漫画も読み漁って本格的なプロ仕様のキットを買ってもらいました。でもネットでマンガを投稿する人たちのレベルの高さを見て『これは無理だ』って諦めました(笑)。ただ趣味としてイラストや絵を描くことは続けようと思い、今につながっています」

――ダンスも本格的だと聞きしました。

「高校2年の時にK-POPと出会い、今度は『私も歌って踊れるアーティストになりたい!』と思って、高校の頃からいろんなオーディションを受けて、卒業して迷わずパフォーマンス系の専門学校に通いました。そこで『関係者の目にとまるにはSNSだ!』と思い、TikTokやYouTubeショートにダンス動画を投稿しました。その後、コロナ禍になる前までは事務所に所属していました」

――変顔など面白動画を投稿しようと思ったきっかけは。

「もともと高校生のクラスのみんなと変顔の動画を撮り合って笑っていたんです。だから変顔を見せるのは全然平気でした。むしろiPodとか動画を撮れるものが出てきてクラスの誰よりも面白い動画を作りたくて、学校の帰り道によく友達と『次の動画のネタどうする?』ってネタ作りをしていました。それでTikTokを始めてみたらバズってしまい、今に至るって感じです。TikTokやYouTubeショートの動画に関しては、ただ笑ってもらえたらいいなっていう感じで作っているので、完全に狙ってやっています」

――1人で全て作ろうと思った理由は。

「コロナ禍がターニングポイントでした。オーディションもストップしてしまい、お仕事がなくなって、『誰かにプロデュースされるより、自分で自分をプロデュースした方がこの先面白いかも』って思うようになりました。ダンスも歌もできるし、絵も描ける。動画も編集できるので『私が監督をやって1人何役もやれば作品が作れちゃうよね』って気がついたんです。その方が私にとっても幸せでいられると思い、『全部自分で発信していこう』って決めました」

――そこでマルチプレーヤーのマツヤマイカが誕生したわけですね。モデルの仕事は今も続けていますね。

「お洋服が大好きでいろんな服を着られるのでモデルの仕事は続けています。コスプレに関しては完全に趣味で『アニメキャラになりたい』と自己満足に浸って楽しんでいます」

――そして2023年に1stシングル『センチメンタル・ムーン』で念願だったアーティストとしてデビューしました。

「漫画家は挫折しましたけど、歌うことは本当に好きでした。周りの子の方が上手くても、やめたくないっていう気持ちでやってきたので、楽曲を出せた時は本当にうれしかったです」

「私の頭の中にあるレトロな世界をどんどん作っていきたい」【写真:ENCOUNT編集部】
「私の頭の中にあるレトロな世界をどんどん作っていきたい」【写真:ENCOUNT編集部】

癒しの時間は「お風呂タイム」

――アーティストとしてのコンセプトは「昭和レトロ」です。

「決して昭和のものまねではありません。私はサカナクションさん、Perfumeさん、中田ヤスタカさんといった方たちを聴いて育った世代なので、私が思い浮かべる『昭和レトロ』の世界観を表現したいと思っています」

――1st EP『東京ロマンチック』に収録している1曲目『センチメンタル・ムーン』(2023年)は、マツヤさんの音楽ルーツを感じることができるエレクトロなサウンドで、3曲目『猫の子』(2024年)はシティポップっぽさも感じます。

「母が車の中で竹内まりやさんを聴いていたり、父はカラオケで山口百恵さんを歌っていたり……そんな両親から感じた昭和が私にとっての『レトロ』なんです。私が創造することで、実際にはない独特な世界が作れるのかなって」

――マツヤさんの歌声は矢野顕子さん、EPOさん、土岐麻子さんのようなソフトでとても温かい声質です。

「そんなすごい方にたとえていただくのは申し訳ないです! でもうれしいです(笑)」

――2曲目に収録された『檸檬』は唯一の新曲になります。

「ちょうどDTM(デスクトップミュージック)を勉強し始めたタイミングで作った曲です。」

――今後もアーティストとしてのマツヤマイカは「昭和レトロ」でやっていきますか。

「はい。基本的なスタンスは崩したくはないなって思います。でもK-POP的なバキバキのダンスを入れてみるのも面白いかなって。『こんなの昭和になかったよ』って突っ込まれてもいいので、いろんな要素をミックスしながら私の頭の中にあるレトロな世界をどんどん作っていきたいと思います」

――マルチクリエイターとしてのマツヤマイカさんの今後は

「新しいことでいうとお芝居とかも興味はありますが、これからも私にしかできないものを作っていきたいです」

――では最後に、マツヤさんの癒やしの時間とは。

「お風呂タイムです(笑)。お風呂で1、2時間ボーっとしている時が一番気持ちいいかも。でもそういう時に限って面白そうなアイデアとか曲が思い浮かぶんですよね」

――そんな時はどうしますか。

「結局、お風呂から上がって携帯にメモします。ぜんぜん癒やしにならないですね(笑)」

□マツヤマイカ 1998年埼玉県出身。都内を中心に活動するデジタルクリエイター。TikTokやYouTube Shorts、Instagram Reelといった縦型プラットフォームで、ダンスや歌、イラスト、コスプレなどの動画を投稿。端正なルックスに反し、動画内で見せるコミカルなキャラクターは「様子のおかしい美人」と人気を集め、200万人超のSNS総フォロワーを持つ。スタイリングやメイク、動画編集、作詞作曲など全てセルフプロデュースで独自の世界観を作り上げている。モデルとしても活動しており、『ELLEgirl』『Zipper』『NYLON JAPAN』などのファッション誌に登場するほか、ブランドイメージ、関西コレクションなどに出演している。

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