プロレスの楽しみ方は無限大 「たら、れば」大いに結構【連載vol.1】

「柴田惣一のプロレスワンダーランド」今週からスタートです。毎週金曜日午後8時にアップされます。プロレスの楽しみ方を皆さんと一緒に考えていきたいと思います。

タイガー・ジェット・シン【撮影:柴田惣一】
タイガー・ジェット・シン【撮影:柴田惣一】

「柴田惣一のプロレスワンダーランド」毎週金曜日午後8時更新

「柴田惣一のプロレスワンダーランド」今週からスタートです。毎週金曜日午後8時にアップされます。プロレスの楽しみ方を皆さんと一緒に考えていきたいと思います。

 昨今の不透明決着に一部のプロレスファンが不満をため込んでいる。セコンドの介入、レフェリーの不在、反則攻撃の横行……カウント5以内の反則は認められるプロレスとはいえ、タイトルマッチを始めとするメインイベントでのバッドエンディングの連続は、確かにストレスになる。

 折しも、コロナ禍での試合である。マスク着用の上、大声を出すことは禁じられている。拍手での応援は、歓声なのかブーイングなのか、どちらか判断しにくい。

 推しレスラーの活躍を楽しみに、やっと手に入れたチケットで、久しぶりの観戦に駆け付けたというのに、セコンドが何度も手を出し、レフェリーが失神している間に、金的や凶器での反則攻めで、試合が終了してしまうのだから、怒りたくなるのもわかる。

 でも気持ちをぶつけることはできない。待っているのは規制退場なのだ。

 ファンの気持ちもわかるが、ここは風車の理論で「たら、れば」を楽しんでしまおうじゃないか。あの介入がなかっ「たら」、あのままレフェリーがカウントを数えてい「れば」……人生を振り返るうえでの「たら、れば」は、できれば避けたいが、プロレスを語る上では「たら、れば」は、有りだ。

 試合はどう転んでいたか、分からない。推しの選手が勝利をつかんでいたはず。となれば、次の組み合わせで、待望のカードが実現していた。この対戦なら、どんなファイトになるだろうか? ベルトをかけたか? 今年のベストバウトが誕生するのは間違いない……。

 空想といえば、そうだが、プロレスは1人ひとりが、語れるスポーツエンターテインメント。「プロレスは大人のファンタジー」とも言われる。百人いれば、百通りの楽しみ方がある。ファン同士で激しく議論するのも、これまた一興だ。

 かつて、夢の対戦カードがいくつもあった。夢のまま終わってしまった対決も多いが、それを今でも語れるのだから、これまたプロレスの楽しみ方の1つ。

 永遠のライバル、ジャイアント馬場VSアントニオ猪木が実現していたら?

 体格で押し、脳天唐竹割り、32文ロケット砲で馬場の勝ちと予想する王道ファン。アリキックで足を攻撃した後、すかさず卍を決めて猪木の勝ちというストロングスタイルのファン。

 答えの出ない議論ではあるが、それがまた興奮する。

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