今年最も急成長した青野未来、グラビアは「得意ではない」 “初代UN王者”が見据える4度目の防衛
師走に入り、今年も残すところあとわずかとなったが、今年も各ジャンルごとに急成長を果たした人物が目立った年だった。令和女子プロレス界においては、間違いなくその筆頭に挙げられる可能性が高いのは、マリーゴールド(MG)の青野未来だろう。現在、青野は初代ユナイテッドナショナル(UN)王者のベルトを腰に巻き、早くも3度目の防衛を果たした。年明けには桜井麻衣の挑戦を受ける。V4に挑む青野を直撃した。
「ドローは体力もいるし精神的にも来る」
師走に入り、今年も残すところあとわずかとなったが、今年も各ジャンルごとに急成長を果たした人物が目立った年だった。令和女子プロレス界においては、間違いなくその筆頭に挙げられる可能性が高いのは、マリーゴールド(MG)の青野未来だろう。現在、青野は初代ユナイテッドナショナル(UN)王者のベルトを腰に巻き、早くも3度目の防衛を果たした。年明けには桜井麻衣の挑戦を受ける。V4に挑む青野を直撃した。(取材・文=“Show”大谷泰顕)
青野に関して、最もド肝を抜かれたのは、初代UN王座を奪取した“大怪獣”ボジラ戦(7月13日、両国国技館)だった。実は青野が初代UN王座のベルトを腰に巻くには、そこに向けて事前に開催されていた決定トーナメントに優勝しなければならなかった。が、青野とMIRAIの準決勝戦がもつれにもつれ、決勝戦前日までに、いち早く決勝進出を決めたボジラの対戦相手が決まらず。青野がUN王者になるためにはMIRAIとボジラに1日2連勝しなければならなかった。
「(MIRAI戦は)15分ドロー、5分延長を繰り返して、結局、3回引き分けたんです。なんなんだって感じでしたけどね。なんで勝てないんだって。(引き分けは)お互いだと思うんですけど、体力もいりますし、精神的にも結構来るんですよ。(観客から)またか、みたいな空気を感じるし。私もそうなんですけど……と思いながら、勝ちたい! しかなかったですね」
実際、青野はMIRAIに勝った直後、そのままリング上に残ってボジラとの優勝決定戦に挑むことになったが、会場からは「休ませてやれよーみたいな声は聞こえてきた」という。確かに相手が2倍以上の体格差のあるボジラだと思えば、しかも青野だけ連戦ともなれば、青野が完全に不利だと思うのが普通だろう。
「冷静に考えたらそうなんですけど、あんまりそこは考えないようにしていて。私としては2試合をどうにかする以上に、まずは目の前のMIRAIを倒さなきゃいけないのが一番でしたね」
この話を聞き続けていくと面白いのは、2試合続けて闘うのは大変だろうと思っている観客の心配とは裏腹に、当の青野が「(MIRAI戦直後に)続けてやれて良かった」と思っていたことだ。
「私はMIRAIに勝ったことでアドレナリン全開でめちゃくちゃたぎってて。1回落ち着いたらまた全然違うテンションになっちゃったし、そこであのまま全然勝てなかったMIRAIに勝てて、そこでやるしかない! って気持ちが一番高まったので、今だ! って」
それでも、相手は“大怪獣”ボジラである。
「まともにパワーで勝負したら負けるので。足を狙うことと、あとはどっかで勝負をかけなきゃと思っていましたね。あんなに背が高くてガッチリしていて、身体能力も高い。規格外ですね。人形みたいに投げられちゃうから精神的に来ますし……」
桜井麻衣とのV4戦は「過去を否定されたくない」
ちなみに、この試合は両国国技館という日本でも屈指の大会場で行われた。普通なら試合や相手を考える前に、その場の雰囲気に飲まれていても不思議ではない。
しかしながら青野は「飲まれた? 飲まれてはなかったですね。いつだったか客席で見ていた時のほうが(会場は)デカく感じました。自分がリングに立った時は思ったよりも普通でしたね。(大きく思えたのは)入場の時くらいじゃないですかね。不思議です」
結果的に青野は、まさかの回転エビ固めでボジラを丸め込むことに成功。大方の予想を覆したことで、この日一番のサプライズと観客の喝采を浴び、見事、初代UN王座のベルトを腰に巻くことに成功した。
しかもそれから順調に防衛を重ね、年が明けた1月3日には、大田区総合体育館で桜井麻衣とのV4戦に挑むことが決まっている。同一戦は関係者の間でも屈指の好カードとされ、とくに業界歴39年を誇るGK金沢克彦氏は「この日のメインは青野vs桜井。この一戦はポストジュリアが誰になるのか、それを見せつけるべき、いま最も期待度の高いマッチアップであり大一番」と期待を膨らませる。やはりそれだけお互いの情念が爆発する関係なのか。
この問いに青野は、「私は少なくともありますね」と話し、「負けたくないですねえ」と続けた。
青野はその理由を以下のように話す。
「やっぱり同じアクトレスガールズ出身でもあるし、デビュー戦の相手は私が務めているので、その相手に超えられるのは悔しいし。で、なんか多分、なんて言われたか忘れたですけど、(桜井は)自分のほうが(MGに移籍する前の)スターダムでいろんな体験をしてきたっていう。それは自信だと思うしいいんですけど、見下されているいうのは違うと思うんですけど、多分、こっちがやってきたほうがすごいっていうのは、なんとなく言葉で伝わってくる時があるので。それは、分からないですよ。私も彼女がどう過ごしてきたのか知らないし。でも、あなたが見てないところも、私にはあるんだからっていう、そこは負けられないですね。私にも過去を否定されたくないっていうのはあるし」
だからこそ青野は、重ねて「負けたくないですねえ」と口にした。
しかし考えてみると、誰もがチャンスをつかみたいと思っているのは当たり前の話だが、なぜこれまで半ばノーマークだった青野がまさかのMGに参戦し、ボジラ超えを果たしたばかりか、3度の防衛を重ねるまでに急成長できたのか。いったいなぜ青野に、そこまでのチャンスが巡ってきたのか。そんな万人が共通して持っている願望成就の方法を青野に訊(たず)ねると、意外というか、これもまさかな答えが返ってきた。
青野は「私、運は結構いいほうだと思うんですよ、多分」と話すと、「手相がますかけって分かります? 両手ともそうなんですけど……」と、自身の両手にますかけ線があることを明かしたのだ。
「オファーが来たらありがたい」という仕事とは
手相に興味のない方にお伝えすると、ますかけ線とは一般的に分かれている感情線と知能線が一緒になって1本の線になっている手相のこと。一説によると徳川家康がそうだったとされたことから、別名「天下取りの相」とも呼ばれている。
青野はこれを「子どもの頃から手に『て』って書いてあると思った。だからなんですかね、根拠のない自信は持ってて」と話しつつ、「なかなかまだ天下を取れていないので。これからだと思ってます」と続けた。
先にも書いてきた通り、今年最も急成長した姿を披露した青野だが、当然ながらこの勢いを2025年にも引き継いでいきたい気持ちを強く持っている。
その思いを「来年はまず(4度目のUN王座を)防衛して、次はワールド王座を狙いたいですね。タッグ王座も狙いたいけど、それは一つずつクリアしていきたい。青野未来とMGをもっと広めていきたい」と目を輝かせる。
ともあれ、ひと口に広めると言ってもさまざまな方法があるが、青野はビジュアル的にも、いわゆる“映える”容姿を持っている。実際、これまで雑誌のグラビアで読者を魅了する機会も多かった経緯を持つ。これに関して青野は、「得意ではないですけど、でも全然、少しでもそれで気になる人が増えるきっかけになるなら。ファンの人が買いたいって言ってくれるならうれしいですね」と話したが、仮の話、将来的にもし、ヘアヌード写真集の話が舞い込んだとしたらどう思うのか。
「へ、ヘアヌードですか? ヘアヌードは今のところはやる予定はないですね……。よっぽど自信があったらいいかもしれないけど、自信はないので……」
もちろん、その方法がどれだけ「広める」につながるのかはともかく、最近は全くそんな話も聞かなくなったが、過去にはキューティー鈴木や井上貴子をはじめ、名だたるビジュアル系の(?)諸先輩がその道を通ってきた“歴史”があるのは事実。そんな話を青野にぶつけると、「オファーが来たら、それはありがたいことですね。名だたる方がやっているなら。そうやってポジティブに……」と答え、ニッコリと笑った。
「両国での2試合はすごいことを達成できたっていう思いはあるけど、2試合まとめてですね。だからまだ、やり切ったと思える試合はないかな。他だと、例えばSareee選手との試合とか。やりきれていないことのほうが多いです」
来年の課題をそう話した青野は、最後に「1月3日、2025年初の防衛戦に勝って、いい始まりをしたいと思ってますし、青野をもっともっと知ってもらいたいし、これからも進化し続けたいと思っています」と語った。
青野は2025年もさらなる進化を遂げるのか。「天下取りの手相」を持つ女・青野未来には、さらなるド肝を抜くサプライズを期待したい。