フリー転身の森香澄が考える“局アナ”とは 会社員経験は「大きな財産。物事を円滑に進められる」

元テレビ東京アナウンサーで、昨春からフリーで活動する森香澄が、充実度を高めている。本業のフリーアナウンサーだけでなく、バラエティー番組を中心としたタレント、モデルに挑戦、さらには俳優業でもオファーが続々舞い込んでいるのだ。フリー転身して“呼ばれる側”になり、訪れた変化、テレビ局時代からより生かされるようになった強み。輝きの増す“今”に迫った。

フリー転身で快進撃が続く森香澄【写真:冨田味我】
フリー転身で快進撃が続く森香澄【写真:冨田味我】

本業のフリーアナウンサー、バラエティー番組、モデル、俳優業にも挑戦「全部、自分次第」

 元テレビ東京アナウンサーで、昨春からフリーで活動する森香澄が、充実度を高めている。本業のフリーアナウンサーだけでなく、バラエティー番組を中心としたタレント、モデルに挑戦、さらには俳優業でもオファーが続々舞い込んでいるのだ。フリー転身して“呼ばれる側”になり、訪れた変化、テレビ局時代からより生かされるようになった強み。輝きの増す“今”に迫った。(取材・文=吉原知也)

 大手テレビ局を退社して約1年3か月がたった。多方面のジャンルで活躍しており、まさに快進撃が続いている。今回、山梨放送の特別ドラマで、“ローカル局アナウンサー役”で主演を務めることが決定。ドラマ出演は4作目で、俳優業でも存在感を発揮している。

「いやもう、この1年は怒涛(どとう)でしたね。辞めちゃえみたいな感じで退職して、何も決まっていませんでした。昨年4月ぐらいの時点では、本当に何の見通しも立っていなかったんです。そこから、こんなにいろいろなお話をいただけるとは思っていませんでした。信じられないなという思いです」。率直な心境を明かした。

 テレビ局のアナウンサーとして番組にゲストや出演者を「迎える」立場から、オファーを受けて番組に「出る」立場に変わった。

「テレビ局時代は、同じ出演者の方々、同じスタッフの方々と一緒に仕事をするのが当たり前でした。フリーになってからは、私は“呼ばれる側”になり、立ち位置が変わりました。一度ご一緒した方々と、二度、三度とまたご一緒できることにありがたみを感じています。その機会が多くなってきているので、本当に感謝の思いでいます」

 4年間勤務したテレビ局時代は会社員。日々のテレビ出演やナレーションの仕事に加えて、各種研修や経済の勉強、後輩の指導も「業務」の大きなものになっていた。会社を辞めてから感じる、フリー活動のメリットがあるという。

「今は、自分がやらなきゃいけないこと、自分のやりたいことにすべての時間を費やすことができています。全部、自分次第です。それはプレッシャーではなく、むしろ心が楽になっている部分があります。これまでは『局に迷惑をかけちゃいけない』『先輩にどう思われるかな』『後輩にもっと背中で見せないといけない』といったことを考えることが多かったです。今は自分の責任で行動しているので、自由度は高いなと感じています」

 フリー転身にもう順応しているどころか、まさにタレント(才能)を押し出すことで、自己プロデュースに磨きをかけている。

「テレビ局時代は社員として番組制作の意図をくみ取ることが大きな仕事の1つでしたが、今は自分の個性を出すことが重要になってきています。『台本通りにやらないのが仕事』といった感覚を持っています。台本通りにやっても、想像の域を出ません。それだと“可もなく不可もなく、だったね”という評価に終わってしまいます。どれだけ、いい意味で期待を裏切れるか。全部できているとは思っていませんが、こういった心がけで仕事に取り組んでいます」。その言葉には、力がみなぎっていた。

森香澄は俳優業など活躍の場を広げている【写真:冨田味我】
森香澄は俳優業など活躍の場を広げている【写真:冨田味我】

「私って、記事の見出しになるようなフレーズを考えるのが得意なんですよ!」

 そんな森にとって、「テレビ局のアナウンサー」の肩書はどんなものなのか。

「私の中では、『唯一表に出ている会社員』です。テレ東に入ったときから、『あなたたちはタレントではない。制作者です』。これはずっと言われ続けてきたことです。番組の意図、番組を放送する理由、話の流れがどういう経緯からそうなっているのか。『ちゃんと理解してから番組に出なさい』。そう言われてきました。それがテレビ局のアナウンサーがアナウンサーたるゆえんなんだ、そう思っています。私は会社員を経験しています。これはすごく大きな財産だと思っています。私はプロデューサーやディレクターの皆さんとコミュニケーションをとるタイプで、よく意見交換をさせていただいていました。制作側がどんなふうにどう考えて番組を作っていくのか。その裏側を見て、勉強してきたつもりです。今は、自分が出る立場として、物事を円滑に進めることができますし、それは経験として生きています」と実感を込める。

 どのジャンルの仕事でも最大限に魅力を発揮。「ここに絞るということを決めない」。そんな自由な未来を描く。そして、最後に印象的な言葉を残した。

「いろいろなことに挑戦していきたいです。『森香澄はタレントなのか、アナウンサーなのか、女優なのか? ってなる』。皆さんに『結局、森香澄って何と表現すればいいんだろう』と、こう不思議に思ってもらうこと。これが目標です。私って、記事の見出しになるようなフレーズを考えるのが得意なんですよ!」。自信にあふれた満面の笑みで締めくくった。

□森香澄(もり・かすみ) 1995年6月16日、東京都生まれ。テレビ東京でアナウンサーを務め、2023年3月末に退社。現在はフリーアナウンサー、タレント、モデルとして多数の番組・CMに出演。最近はドラマ出演も重ねている。SNS総フォロワー数は150万人超。山梨放送開局70周年を記念して制作される今回の主演ドラマ(タイトル未定)は地上波だけでなく、TVerや配信プラットフォームを活用して放送される予定。

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