日本初開催のフォーミュラE、22台のマシンが公道を爆走 最終ラップの攻防に観客も大歓声
日本初開催となる電気自動車(EV)レースの世界選手権「フォーミュラE」の2023-24シーズンの第5戦が、30日に東京・江東区で開催された。2万人(周辺イベント来場者含む)が詰めかける中、マセラティのマクシミリアン・ギュンター(ドイツ)が優勝を果たし、日産自動車のオリバー・ローランド(英国)が2位に。日本から唯一の参加の日産は、悲願の初優勝とはならなかった。
終盤の首位攻防に現地は大興奮
日本初開催となる電気自動車(EV)レースの世界選手権「フォーミュラE」の2023-24シーズンの第5戦が、30日に東京・江東区で開催された。2万人(周辺イベント来場者含む)が詰めかける中、マセラティのマクシミリアン・ギュンター(ドイツ)が優勝を果たし、日産自動車のオリバー・ローランド(英国)が2位に。日本から唯一の参加の日産は、悲願の初優勝とはならなかった。
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11チーム22台のマシンが圧巻のスピードで走った。一般的に抜きにくいと言われる市街地レース。EV特有の「キーン」と高い音が響きわたる会場では、予選から“ホーム”日産の大応援団が「ゴー! ゴー! 日産!」の掛け声やフラッグで、選手たちをアシストしていた。
決勝は予選でポールポジションを獲得したローランドを先頭に、団子状態で展開。前半はクラッシュなどなく静かに進んでいったが、20周目には相次ぐ接触からセーフティーカーが導入され、追い抜きができない状況に。
ギュンターは28周目に2回目のアタックモード(レース中にドライバーが一時的にパワーレベルを上げられるシステム)を使用。直前にトップの座を譲り、2位に下がっていたローランドは、逆転のチャンスを迎えるもアクティベーションゾーン付近で抜き返すことができなかった。ファイナルラップの35周目では、ローランドが猛プッシュで何度もトップの座にチャレンジ。日本のファンのボルテージが一気に上がるが、順位は変わらず2位でゴール。ギュンターが25ポイントを手にした。
チェッカーフラッグの横を通過する2台を見届けると、現地に詰めかけた観客からはため息が漏れた。しかし、健闘をたたえ、すぐさま大きな拍手が送られていた。
岸田文雄首相、小池百合子都知事も登場
試合後、ギュンターは「最終ラップは(2位からの)圧力を感じたが逃げきれた。優勝できたから楽しかったけれど、逆の結果になる可能性もあった。戦略が良かったね」と手ごたえを口に。通算5勝目に「どの優勝もスペシャル、いい気持ちだ。この後のレースも楽しみにしている」と笑顔を見せ、4月13日に行われる次戦ミサノ(イタリア)大会に向け、意気込みを示した。
また、日本ファンからの大きな歓声を受け、表彰台に上がる活躍を見せたローランドは「エネルギーが不足していたから、それを取り戻すためにスリップストリーム(前車の後ろにつき、空気抵抗を減らす方法)が必要だった。だからどこかでギュンターに抜かれる必要があったんだ」と終盤のレースの進め方について説明。「ファンの皆さんと一緒に日本に来れたことをとても誇りに思うし、すべてが素晴らしい。日産にとっても素晴らしいイベントだったと思う。来年また戻ってくるのが待ちきれないよ」と感謝を口にしながら、振り返った。
「EVのF1」と呼ばれるフォーミュラEは2014年にスタートし、今季10シーズン目。国内の公道で国際レースが開催されるのは初めてで、決勝の直前には岸田文雄首相と小池百合子都知事が登場したほか、プロボクサーの那須川天心やモデルの谷まりあなど各界の著名人も姿を見せた。あいさつの中で小池都知事は、「準備にかれこれ5年かかって、ようやくスタートした。これをきっかけにZEV(ゼロエミッション・ビークル)をもっと皆さんに知っていただきたい」とアピールした。