尾上松也や中村隼人ら、今年で最後の新春浅草歌舞伎「次の世代にバトンタッチできる」

歌舞伎俳優の尾上松也らが2日、東京・台東区の浅草公会堂前で『新春浅草歌舞伎』の初日あいさつを行った。当初は毎年恒例の鏡開きが行われる予定だったが、1日に令和6年能登半島地震が発生したことから、自粛となった。あいさつには松也の他、同公演に出演する中村隼人、坂東巳之助、坂東新悟、中村橋之助、中村米吉、中村種之助、中村歌昇、中村莟玉(かんぎょく)が登場した。

初日あいさつに出席した尾上松也(中央)【写真:ENCOUNT編集部】
初日あいさつに出席した尾上松也(中央)【写真:ENCOUNT編集部】

恒例の初日あいさつ、地震の影響で鏡開きは自粛

 歌舞伎俳優の尾上松也らが2日、東京・台東区の浅草公会堂前で『新春浅草歌舞伎』の初日あいさつを行った。当初は毎年恒例の鏡開きが行われる予定だったが、1日に令和6年能登半島地震が発生したことから、自粛となった。あいさつには松也の他、同公演に出演する中村隼人、坂東巳之助、坂東新悟、中村橋之助、中村米吉、中村種之助、中村歌昇、中村莟玉(かんぎょく)が登場した。

 新春浅草歌舞伎は浅草のお正月の風物詩として、40年以上の歴史を誇る公演。江戸時代の浅草では、現在の浅草公会堂がある場所からほど近い猿若町に『江戸三座』が開場し、明治から昭和にかけて浅草のショービジネスの中心地としてにぎわっていた。1980年のお正月に浅草公会堂で『初春花形歌舞伎』として歌舞伎興行が復活。2003年には新春浅草歌舞伎と名称を変え、“若手歌舞伎俳優の登竜門”として続いてきた。

 これまで市川猿之助(当時は亀治郎)や中村勘九郎(当時は勘太郎)、中村七之助、片岡愛之助らが出演していたが、2015年に主要出演者が一新され、松也が座長となり代替わりした。21年と22年は新型コロナウイルスの影響で浅草公会堂での開催が見送られ、その間は歌舞伎座で上演された。23年に再始動し、今年は新メンバーとなって10年目を迎える。松也、歌昇、巳之助、新悟、種之助、米吉、隼人の7人の出演は24年で一区切りとなる。

 松也は「10年前、わたくし共の世代が出させて頂くことになった年のことは忘れません。その時も皆さんの前でお話をさせていただいて、全員が不安もありながら期待もこめて臨んでいました」と振り返った。「たくさんのことがありましたけども、この浅草歌舞伎は地元の皆さんに支えられ、お客様の温かい心意気に支えられて10年間務めることができました」と感謝を伝えた。

 また、「この浅草でいろんな成長をさせていただき、それぞれが歌舞伎以外の舞台やステージ、地方興行に行っても、『浅草でやり遂げた』という自信をもって、務めることができたと思います」と、新春浅草歌舞伎が自信につながったと明かした。「成長させてくれた浅草歌舞伎という1月の公演を、とにかく僕たちは絶やすことなく、『次の世代へつなげないといけない』という思いで10年間やってまいりました。(コロナも落ち着き)通常通りに公演できるようになり、浅草歌舞伎も復活できて、次の世代にバトンタッチできるようになり、一安心しています」と語った。

 巳之助は、「松也のお兄さんから隼人君まで我々、“浅草歌舞伎一区切り”ということで。もちろん、浅草には当然これからも遊びに来ますし、浅草公会堂には別の舞台で出演させていただくこともあると思う」と語り、「初日のあいさつは新春浅草歌舞伎に出ないと見られない景色なので、今、目に焼きつけています」と集まった観客に笑顔を向けた。

送り出す橋之助ら「お兄さん方の素晴らしいところを吸収したい」

 また、今年の干支である辰年に縁があるという米吉は、「今年は一区切り。思い返せば、私が浅草に出せていただいた最初の年が、今年と同じ辰年でございまして。『12年経ったのか』とすごく感慨深いです」としみじみ。「わたくしが初舞台を踏みましたのも辰年でございまして、一区切りも辰年。何かと辰年に縁がある。あ! わたくしは酉年なんですけども!」と語り、「ですので、『立つ(辰)鳥(酉)跡を濁さず』という気持ちで、精一杯努めたいと思います」とまとめ、会場をわかせた。

 米吉と同じく12年前から新春浅草歌舞伎に出演してる隼人は、「その頃はわたくし、高校3年生でしたけど、今は無事に30歳になりました」と語り、「30歳になって初めての1月の舞台ということで、気を引き締めて。12年間出続けた舞台も今年で一区切りということで、悔いのないように、思い出をたくさん作りながら、頑張って初役に挑んでいきたいと思います」と意気込んだ。

 一方、松也たちを見送ることになる橋之助は、「松也お兄さんから隼人お兄さんまで一区切り。僕と莟玉君はおそらく来年以降も残ることになると思います」と語り、「今年の1か月でお兄さん方の素晴らしいところを吸収して、一生懸命に務めて参りたいと思います」と決意。莟玉も「胸を張って見送れるような、いいひと月にしたい」と語った。

 公演は第一部で『本朝廿四孝(ほんちょうにじゅうしこう)』『与話情浮名横櫛(よわなさけうきなのよこぐし)』『神楽諷雲井曲毬(かぐらうたくもいのきょくまり)』を、第二部では『熊谷陣屋(くまがいじんや)』『流星』『魚屋宗五郎(さかなやそうごろう)』を上演。今年は4年ぶりに、新春浅草歌舞伎恒例の年始のあいさつ『お年玉』も行われる。26日まで。

次のページへ (2/2) 【写真】『新春浅草歌舞伎』の初日あいさつの集合ショット
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