俳優の水谷豊が主演を務め、寺脇康文が共演するテレビ朝日系連続ドラマ『相棒SEASON22』（水曜午後9時）の第7話が、29日に放送された。今回は、勘違いが生んだ切なすぎるストーリーが話題になっている。

　同作は、2000年に誕生した刑事ドラマシリーズ。警視庁で“人材の墓場”と呼ばれる『特命係』に配属された警部・右京とその相棒たちが、数々の犯罪事件を解決していく。もともとキャリアとして警察庁に入庁した水谷は、“切れモノ”過ぎるが故に上層部からにらまれ閑職に追いやられたが、卓越した洞察力と名推理で事件の謎を解き明かしていく。

　寺脇演じる特命係巡査部長の亀山薫は、SEASON1からの“初代相棒”。約14年ぶりに“五代目相棒”として右京とのコンビが復活し、今作で再会2年目となる。

（※以下、ドラマの内容に関する記述があります）

　4人組ロックバンド『DEEP CREW』のボーカル・矢崎浩輔（金子昇）が路上で亡くなっているのが発見された。『DEEP CREW』は22年前に活動わずか2年で解散した“伝説のバンド”で、再結成のニュースが報じられたばかりだった。現場を訪れた右京と薫は、矢崎の近くに左耳用の補聴器が落ちていることに気づく。

　右京と薫が所属事務所を訪れると、バンドメンバーからは矢崎に関する悪い話ばかり浮上する。ドラムの佐光隆吾（川野直輝）によると、『DEEP CREW』はもともと佐光とベースの安本早苗（細野今日子）、ギターの林田晃司（江頭勇哉）の3人で高校時代に結成され、後から入った矢崎ばかりに注目が集まったという。矢崎は勝手に解散を決め、ソロ活動では林田が作った楽曲を使用。さらに交際していた安本を捨て、アイドルの白川優実と結婚した。今回の再結成も突然矢崎が決めたものだった。また矢崎は事務所の社長に5000万円の借金があった。

　事件当日もスタジオでリハーサル中に佐光とけんかしており、メンバーはバラバラに帰宅。マネジャーの沢村香音（木村葉月）によると、深夜12時半頃に最後にスタジオを出た矢崎に声をかけたところ、誰かと飲みに行くと言っていたという。

　矢崎をよく思わない人が多い中、右京と薫が捜査を進めると、矢崎の意外な一面が見えてくる。ソロ活動中に林田の楽曲を使用していた矢崎は、林田に印税を支払っていた。また安本との破局の理由も安本の浮気が発覚したためで、実際は二股ではなかった。そして社長はお金に興味がない矢崎を利用し、本来は矢崎に入るはずの莫大な売上をかすめとっていた。

　さらに捜査を続けると、矢崎が聴力を失っていることが明らかに。もともと聞こえづらくなっていた右耳の聴力は完全に失っており、最近は左耳も聞こえづらくなっていた。しかし矢崎は、その事実を社長やメンバーに伝えていなかった。矢崎は耳が完全に聞こえなくなる前に、再結成を実現したかったのだ。

　右京は矢崎の聴力から、沢村がうそをついていることを指摘する。事件前に最後にスタジオを出た矢崎は補聴器をつけておらず、沢村の声かけに答えられるはずがなかった。

　沢村は『DEEP CREW』のファンで事務所に就職した新人マネジャーだった。しかし矢崎の態度はそっけなく、散々無視され続けてきた。また再結成に向けたハードスケジュールが重なり、精神的に限界を迎えていたのだった。

　沢村は事件当日、スタジオを出る矢崎に意を決して話しかける。しかし補聴器をしていない矢崎に沢村の声は届かない。またも無視されたと感じた沢村は矢崎を追いかけ、自分への態度を責め続ける。しかし沢村が何を話しているかわからない矢崎は、補聴器を取り出して話を聞こうとしていた。その時、沢村が勢いあまって矢崎を押し倒してしまい、後頭部を打った矢崎は亡くなってしまった。

　矢崎のこれまでの態度が勘違いだったとわかった沢村はショックを受ける。さらに矢崎は沢村の誕生日のためにケーキを予約しており、「お前は最高のマネージャーだ」とメッセージカードも用意していた。

　SNS上では、「想像以上の切なさに号泣」「悲しすぎる・虚しすぎるお話でした」「嗚呼、悲しい勘違い殺人」「やるせない回だった」と悲しむ声が。また「矢崎さんめっちゃ良い人だった」「みんなに耳の調子が良くないことをちゃんと話せていれば」「最後にカードとケーキが出てきて涙腺崩壊」といった声も挙がっている。