竹内力、契約数全国1位の大手銀行マンだった過去 好青年役に戸惑った若手時代「苦手だった」

オリジナルシリーズ『欲望の街』(U-NEXTにて独占配信中)で主演・製作に当たった俳優の竹内力(59)は元大手銀行マン。この経験は、大ヒットVシネマ『難波金融伝 ミナミの帝王』(1992~2007年)にも活かされている。銀行員時代から若手時代を振り返ってもらった。

若手時代を振り返った竹内力【写真:冨田味我】
若手時代を振り返った竹内力【写真:冨田味我】

チンピラ役に完全シフト「のびのびやりたかった」

 オリジナルシリーズ『欲望の街』(U-NEXTにて独占配信中)で主演・製作に当たった俳優の竹内力(59)は元大手銀行マン。この経験は、大ヒットVシネマ『難波金融伝 ミナミの帝王』(1992~2007年)にも活かされている。銀行員時代から若手時代を振り返ってもらった。(取材・文=平辻哲也)

『ミナミの帝王』の萬田銀次郎を彷彿させる主人公が9年ぶりに刑務所から、ミナミに戻り、世の中の悪に報復する『欲望の街』。劇中では、『ミナミの帝王』同様、ピン札を手際よく数えるシーンが印象的だ。

「銀行員時代、やらされたから、手慣れたものなんだ」

 竹内は大分県佐伯市出身。高校卒業後に三和銀行(現・三菱UFJ銀行)に就職。大阪の淡路支店に配属され、営業成績は全国トップクラスだった。

「定期預金の契約件数は全国1位だった。でも、優秀じゃない。『へい、いらっしゃい』という八百屋さんの営業パターンで、呼び込みをかけるだけ。定期預金に預けたら、何%金利がつくのかは、覚えていない。難しいところは先輩にお願いしていた。お客さんは粗品がもらえることに弱い。ポケットティッシュをあげても喜ばないから、奥からもっと豪華な粗品を出してもらっていた。そういう人たちが、家に帰ったり、バイト先で広めてくれるわけ。違うおばちゃん、おっちゃんが来てくれた」

 しかし、銀行員の暮らしは性分に合わず、2年で退職。上京してアルバイトしているところを芸能事務所にスカウトされた。1986年に、片岡義男の青春小説を、大林宣彦監督が映画化した『彼のオートバイ、彼女の島』で原田貴和子の相手役を務めて、俳優デビュー。バイク乗りの二枚目役だった。

「銀行員のときと違って自由にできるから、役者で成功できたらいいなと思ったり、夜中に、こんな撮影をしているんだ、すげえなと舞台裏を見て、楽しかった」

 フジテレビ系ドラマ『101回目プロポーズ』(91年)では、主演の浅野温子に思いを寄せるバイオリニストの青年役が評判になった。

「最初の頃は、なんでこんな立て続けに上品な役をやんなきゃいけないのかと思っていた。でも、出ないと、俳優として生きていけない。ヒットしたから、やってよかったけど、オレはもっとヤンチャな役をのびのびやりたかった。オレの周りには、あんな金持ちのお坊ちゃんはいなかったから、どうやっていいのか分からない。台本通りしかできないから、発想力もない。テレビドラマでの上品な役はめちゃめちゃ苦手だったんです」

 その後はデビュー当時から得意にしていたチンピラ役に完全にシフトして、『難波金融伝 ミナミの帝王』が代表作になっていく。その後は、チンピラ、ヤクザ役で一世を風靡(ふうび)した。

 ところで、銀行マンでの経験は会社社長、プロデューサーには役立ったのではないか。

「会社経営は簡単ではなかったですが、今となっては大きな映像作品を手掛けるようになれた。それもこれもしっかりした社員たちのおかげですよ。今考えたら、『ミナミの帝王』の頃はもっと予算があった。今回の『欲望の街』は少ない予算で撮っていますから。ひいひい言っています。(黒幕役の)山本譲二さんを始め、みんな協力して出てくれてます。でも、ヒットしたらもっと予算を増やしていきたいですね」。新シリーズの息の長いヒットを願った。

□竹内力(たけうち・りき)1964年1月4日、大分県出身。86年に映画デビューし、以降『難波金融伝 ミナミの帝王』シリーズなど多くのヒット作品に出演。97年には映像製作会社RIKIプロジェクトを設立。2015年に『桜のように』で演歌歌手としてデビュー。近年では『ぼくたちの家族』『オケ老人!』『聖の青春』など映画の製作も精力的に行っている。主な出演作に映画『DEAD ORALIVE犯罪者』『TOKYOTRIBE』など。

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