『キングダム 運命の炎』光る大沢たかおの怪演、六大将軍・王騎の笑いに戦慄 シリーズ最高の存在感
映画『キングダム 運命の炎』が28日に公開された。実写版の第3弾となり「馬陽(ばよう)の戦い」「紫夏(しか)編」が描かれる。原作は『週刊ヤングジャンプ』で連載の同名人気コミック。単行本の累計発行部数は6000万部を突破する驚異的な人気を誇っている。紀元前の中国春秋戦国時代を舞台に、天下の大将軍になる野望を抱く戦災孤児の信(山崎賢人)と、戦乱を終わらせて中華統一を目指す秦の若き王・えい政(後の始皇帝、吉沢亮)の壮絶な生き方と友情がベースにある。
敵軍10万人が動く大スペクタクル
映画『キングダム 運命の炎』が28日に公開された。実写版の第3弾となり「馬陽(ばよう)の戦い」「紫夏(しか)編」が描かれる。原作は『週刊ヤングジャンプ』で連載の同名人気コミック。単行本の累計発行部数は6000万部を突破する驚異的な人気を誇っている。紀元前の中国春秋戦国時代を舞台に、天下の大将軍になる野望を抱く戦災孤児の信(山崎賢人)と、戦乱を終わらせて中華統一を目指す秦の若き王・えい政(後の始皇帝、吉沢亮)の壮絶な生き方と友情がベースにある。
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2019年公開の第1弾は信とえい政の出会いと「中華統一」への覚悟、22年公開の第2弾『キングダム2 遥かなる大地へ』は王都・咸陽奪還から半年後に勃発した魏の大軍との戦いを迫力のスケールでそれぞれ描いた。最新作となる第3弾『運命の炎』は、北方で大きな力を誇る隣国・趙の突然の侵略と反撃に出る信の気迫を前面に押し出しながら、個性豊かなキャラクターたちが脇を固め重厚なストーリーが展開されていく。
山崎演じる信の不屈の魂と強靭な肉体、吉沢演じるえい政のクールな表情とその裏に秘めた中華統一への熱い思い。この2つが重なり合いながらさまざまな困難を突破していく波瀾(はらん)万丈のストーリーは第3弾でも存分に受け継がれている。中でも大きな見どころとなっているのがファンの間でカリスマ的な人気を誇る六大将軍・王騎(大沢たかお)のいでたち。あらゆる戦場にこつ然と姿を現し周囲を威圧する一方で、敬語ながら無礼な態度で「コ、コ、コ、コ」と笑う異例のヒーローだ。鍛え抜かれた肉体と戦場全体を俯瞰する知略の持ち主を大沢が縦横無尽に怪演しており、甲高い声を伴ってスクリーンに登場するだけで戦慄(せんりつ)が走る。
信と王騎が初めて同じ戦場に臨む「馬陽の戦い」では10万人を擁する趙の大軍勢を相手に、王騎は信に無理難題を押し付ける。その態度は実に憎らしいが、戦況を左右する決死の戦いに挑む信を見つめる王騎の親心を大沢は繊細に演じており、シリーズ最高の存在感を示した。しかも、信にムチャ振りをしているように見えて実は冷静な計算のもとでの作戦だったことが分かる場面は鳥肌ものだ。
もう1つの見どころは、第3弾のヒロインとなる闇商人・紫夏(しか)を演じた杏のアクション。吉沢が演じるえい政との深い因縁を持つ紫夏は、孤児だった自分を拾って育ててくれた行商人への恩に報いるため、趙国で迫害を受けていたえい政を助け、秦国へと脱出させる決死の計画を立て実行に移す。えい政のために命を張って戦う紫夏。弓と剣のダイナミックな動きとあふれ出る正義感がやがて切なさを誘い、見る者の胸に刺さる。草原を疾走する馬車の大チェイス劇は興奮必至だ。卓越した戦闘能力の持ち主ながら深い慈悲の心を持つ美しき紫夏を演じられるのは杏を置いて他にいないだろう。
第1弾、第2弾からさらにたくましく成長した信の雄姿、王騎に本心を打ち明けるえい政の決意、涙なしでは見られない紫夏のアクションシーン、信の手腕が試される「馬陽の戦い」、王騎の前に現れる謎の最強戦士、そして10万人単位の戦士が激突する空前のスペクタクル。手に汗握るシーンが次から次へと現れ最後まで飽きさせない。久々日本映画のパワーに驚嘆した。
※山崎賢人の「崎」の正式表記はたつさき