資産35億円の元サラリーマン富豪、実は賃貸住まい 「孤児院に寄付」続けるワケ

一介のサラリーマンから、投資運用とスタートアップ企業への出資・投資を成功させ、FIRE(経済的自立と早期リタイア)を実現した、約35億円の財産を持つ資産家がいる。40代男性で、「無職のインデックス投資家」としてツイート発信を展開するMasa@資産30億円ニート(@alljon12)さんだ。物欲に走った過去があるが、現在は「モノよりも、経験に使う」の人生哲学で、心豊かな生き方を実践。家でもやし炒めを作って質素に食事を済ませることも。そんなMasaさんは、生みの親を知らず、児童養護施設で育った経験を持つ。自身の境遇から寄付活動にも心を寄せている。

40代で35億円の財産を築いたMasaさんがインタビューに応じた【写真:ENCOUNT編集部】
40代で35億円の財産を築いたMasaさんがインタビューに応じた【写真:ENCOUNT編集部】

「何が一番つらいかと言うと、暇なことです」 オルカンは21億円保有

 一介のサラリーマンから、投資運用とスタートアップ企業への出資・投資を成功させ、FIRE(経済的自立と早期リタイア)を実現した、約35億円の財産を持つ資産家がいる。40代男性で、「無職のインデックス投資家」としてツイート発信を展開するMasa@資産30億円ニート(@alljon12)さんだ。物欲に走った過去があるが、現在は「モノよりも、経験に使う」の人生哲学で、心豊かな生き方を実践。家でもやし炒めを作って質素に食事を済ませることも。そんなMasaさんは、生みの親を知らず、児童養護施設で育った経験を持つ。自身の境遇から寄付活動にも心を寄せている。

 現在の純金融資産の内訳は、オール・カントリー(通称オルカン)と呼ばれる全世界株式の投資信託が約21億円、社債は約10億円(企業から受け取る利息は1年で計約2000万円)、残りは現預金など。莫大(ばくだい)な金額に驚くばかりだ。

「ニートをやっていて何が一番つらいかと言うと、暇なことです。もうサラリーマンで働く気はないのですが、仕事に時間を使わないので、暇なんです。それに、クレジットカードの審査に落ちたといったこともあります。勤め先の会社名を記入できませんし、定期的な労働収入がないからのようです。“投資家あるある”と言われています」。あっけらかんと話すMasaさん。時に笑顔を浮かべ、柔和な雰囲気を醸し出している。

 大学卒業後にサラリーマン勤務。若い頃からFIRE志向が強く、1か月の食費が1万円を切るような節約生活を徹底。2015年に30代で、給料の貯金とインデックス投信の積立の運用だけで資産5000万円を達成した。同年に「若いからこそ挑戦してみよう」と、知人のスタートアップ企業に出資したことが、億万長者への道を切り開いた。“スタートアップ投資”が大成功。15年~22年にかけて約40億円となる株式の売却益をたたき出した。数年前に勤め先を退職。昨年2022年の1年間で売却益約20億円を記録し、住民税9273万、所得税約3億円の税額に。現在もスタートアップ企業への出資を続けている。

 そんなMasaさんの資産を見ていると、気になることが。不動産の項目が見当たらない。まさか。

「不動産は持っていません。住まいは賃貸です。彼女はいますが、バツイチで独り身なので、タワマンとか広い家に住んでいても……と思っています」

 資産を持つようになった人が熱心にやるような、不動産投資や家賃収入目的の不動産保有に手を付けていないというのだ。「不動産には興味がないんです。不動産には不動産のプロ投資家の方がいます。私の場合は、現状のスタートアップ投資と、投信、社債が最もバランスがとれてるかなと」。現状はホテル住まいをしてもいいと考えているという。

 人生の目標に掲げるのは、「100歳までに資産を全て使い切る」ということ。そこには、“普通の人”から資産家に駆け上がる中での、人生哲学の大きな変化があった。

「最初はモノをたくさん買いました。150万円のコートなど1着数百万円の服、フェラーリといった数千万円の高級車。買った時はハッピーなのですが、モノの価値は時間とともに下がります。満足度もどんどんなくなっていくんです。じゃあ何が、心をずっと豊かにしてくれるのかと考えたときに、経験だということに気付きました。楽しかった思い出など、経験によって得る記憶です。人生経験やいろいろな体験、人との出会いを積み重ねることが大事。100万円のコートより、100万円の旅行。一周回って、そう思うようになりました。今は着る服は、ユニクロやZARAです。とにかく、世界中を旅行したい。世界のおいしいものも食べたいですね」。まだ見ぬ世界を知ることに、無上の喜びを感じている。

ライフワークは「日本中の、そして世界中の孤児院を巡りたい」

 銀座や赤坂で1人10万円を超えるような高級ずしをたしなみ、リッチなグルメ生活を送っている。一方で、家で1人でもやし炒めを作ったり、大好きな赤ウインナーを食べることも。若い頃に徹底した節約生活を送ったことを含めて、自身のある原体験が大きく関係しているという。

「特に隠すつもりはないのですが、私はいわゆる孤児院育ちなんです。私を産んだ両親については、顔も名前も知りません。私を育ててくれた両親は本当によくしてくれました。育ての親は子どもができないと思い、私を預かったそうなんですが、弟ができました。それでも、私にたっぷりと愛情を注いでくれました。貧困家庭で子どもの頃のごちそうだったのは、U.F.O.焼きそばと赤ウインナー。今でも思い出の味として食べています」と明かす。

 ありったけの感謝の思いを行動に表しており、「両親と弟にはプレゼントを贈ったり、親孝行をずっと続けています」と語る。

 資産家として一生をどう過ごしていくのか。個人の楽しみを追求するだけでなく、慈善活動にも目を向けている。世界中を旅するという夢。それだけでなく、「日本中の、そして世界中の孤児院を巡りたい」というライフワークを思い描いているという。匿名で、児童養護施設に寄付したり、ランドセルを届ける活動に取り組んでいる。「子どもたちのために少しでも何かできれば。寄付などを通して、自分なりにサポート・支援を続けていきたいです」と実感を込めた。

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