森田剛、アナウンサー役に挑戦 戦争の知られざる関わりを描く「とても誇らしかった」
NHKは29日、NHKスペシャル『アナウンサーたちの戦争(仮)』を8月14日午後10時から放送すると発表した。森田剛や高良健吾らがアナウンサー役で出演する。
橋本愛、高良健吾、安田顕ら豪華キャストが共演
NHKは29日、NHKスペシャル『アナウンサーたちの戦争(仮)』を8月14日午後10時から放送すると発表した。森田剛や高良健吾らがアナウンサー役で出演する。
太平洋戦争では、日本軍の戦いをもう一つの戦いが支えていた。ラジオ放送による「電波戦」。ナチスのプロパガンダ戦に倣い「声の力」で戦意高揚・国威発揚を図り、偽情報で敵を混乱させた。行ったのは日本放送協会とそのアナウンサーたち。戦時中の彼らの活動を、事実を元にドラマ化して放送と戦争の知られざる関わりを描く。
国民にとって太平洋戦争はラジオの開戦ニュースで始まり玉音放送で終わった。くしくも両方に関わったのが天才と呼ばれた和田信賢アナ(森田)と新進気鋭の館野守男アナ(高良)。1941年12月8日、大本営からの開戦の第一報を和田が受け、それを館野が力強く読み、国民を熱狂させた。以後、和田も館野も緒戦の勝利を力強く伝え続け国民の戦意を高揚させた。
同僚アナたちは南方占領地に開設した放送局に次々と赴任し、現地の日本化を進めた。和田の恩人・米良忠麿(安田顕)も“電波戦士”として前線のマニラ放送局に派遣される。一方、新人女性アナウンサーの和田実枝子(橋本愛)は、雄々しい放送を求める軍や情報局の圧力で活躍の場を奪われる。
やがて戦況悪化のなか、大本営発表を疑問視し始めた和田信賢と「国家の宣伝者」を自認する館野は伝え方をめぐって激しく衝突する。出陣学徒を勇ましく送り出す実況を任され、ただ苦悩する和田を、妻となった実枝子が叱咤(しった)し目覚めさせる。
そして館野もインパール作戦の最前線に派遣され戦争の現実を自ら知ることになる。戦争末期、マニラでは最後の放送を終えた米良に米軍機が迫る。そして戦争終結に向け動きだした和田たちにも銃口が迫る。
以下、出演者のコメント。
○森田剛
「言葉には力がある。だからこそ、人間は難しい。撮影中そんな事を考えていました。和田信賢さんのセリフで、『信用のない言葉ほど惨めなものはない』という言葉に惹かれました。純粋で、繊細で、まっすぐで、優しくて、弱い、そんな人物を演じていた期間は、とても誇らしかったです」
○橋本愛
「とにかく、森田さん演じる和田信賢さんの凄まじい気迫に圧倒される日々でした。嘘や虚言が臆面もなく流布され、人々を惑わし、”大きな意志”の思いのままに人々は操作される。その先にあったのは、言葉にし難い悲劇でした。本当に苦しかった。でも、知ってほしい。この作品が描いているのは、きっと真実です」
○高良健吾
「言葉の力を信じていたアナウンサーの方々が戦争に巻き込まれ、信じていたものが徐々に崩れていく時に、それぞれの人物が言葉にどう向き合うのか。向き合い続けるのか。とても考えさせられる話です。今は結果が分かっているからこそ、戦時中の事を多方面から話す事はできますが、当時生きていた人達は今をとにかく必死に生きるしかなかったはずです。なにが正しくて、なにが間違いかはその時には分からなかったはずです。今より選択肢も情報も少なかった時代に自分ならどう生きていたのでしょう。もし自分が役のようにアナウンサーだったら自分から発せられる言葉の重みをどう感じていたのでしょう。戦争に巻き込まれる人々の苦しみを題材にしていますが、現場は充実していて、とてもやり甲斐のある役でした」
○安田顕
「言葉とは、ささやかな幸せを守ったり、ありふれた日常を豊かにしてくれたり、一方で地獄を生み出すこともできる。すごい力を持っているものであることが感じられました。その言葉で、自分が正しいと信じることが伝えられなくなった時、そういった組織・社会は、我々の命・生活を守ってくれるのか。80年前の戦争を舞台にしていますが、現代においても、十分に考えさせられる内容です」