Z世代に人気の歌手、竹内唯人が4月24日に移籍第2弾シングル『絆』をリリースする。ABEMAの恋愛リアリティーショー『オオカミちゃんには騙されない』で注目され、2019年にアーティストデビュー。自分自身が思うよりも早く広がった認知には戸惑いもあった。「支えてくれるファンや家族に恩返ししたい」と語る竹内が等身大の思いを込めた新曲について、多忙な日々を癒やしてくれる存在について聞いた。（取材・文＝西村綾乃）

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　ABEMAの恋愛リアリティーショー『オオカミちゃんには騙されない』に出演したのは18歳のとき。真っすぐな純愛がZ世代の心をつかみ、好きなインフルエンサーとして支持されるなど、一気に知名度が上昇した。

「『オオカミ～』に出たのと同じ年に、アーティストとしてもデビューしました。アップルミュージックなど、あちこちで『竹内唯人』という名前を目にするようになって、最初は『すごいな』って。単純にうれしかった」

　20年には、3枚目のシングル『ニビイロ』がテレビ朝日系ドラマ『鈍色の箱の中で』に起用された。21年には北島三郎らが所属する音楽会社・クラウンからデビュー。しかし順風満帆にはいかなかった。

「リリースしたらプロだと思っていたんです。主題歌も決まったし、ここからバズるな！　って思っていました。『ニビイロ』はSpotify（のバイラルチャート）で3週連続5位になるなどしていましたが、そこから先につながらなくて」

「オオカミで注目された」という冠は、次第に重荷になった。

「自分が思う自分と、テレビに映ってる自分との間にギャップがあったんですよね。何者にもなれてないのに、調子に乗っている自分に腹が立って。そんな僕に対してアンチの人も出てきて……。向けられた批判については、素直に受け入れることができたんです。そうやって、自分のことを客観的に見られるようになったのかも」

　大好きな音楽もコロナ禍で、思うような活動ができず悩んだという。

「リスナーに届かないのは、求められてるものが違うんだと思い詰めていました。自分の音楽を見つめ直す時期なのかなって思ったタイミングで、新しいお誘いをいただいたんです」

　竹内は今春、120年以上の歴史を持つ世界的な音楽会社・ユニバーサルミュージック合同会社（東京・渋谷）と契約。喜怒哀楽を共有してい来たファンには、昨年の12月に東京・渋谷で行った初のワンマンライブで報告した。

「竹内唯人のために時間を割いてきてくれた人たちに、初ワンマンという特別な空間で、伝えることができてよかったと思っています。涙を流しているファンの子もいたし、いつもライブに来てくれる小学生の子もいて。（コロナ禍で）声を出せなかったけれど、大きな拍手をして、全身で伝えてくれました。家族にも内緒にしていたので、客席でガッツポーズをしているが見えたときは、恥ずかしいのとうれしい気持ちがありました。うちは家族のグループLINEがあるんですけど、後から見たら僕の話で盛り上がっていました」

　移籍後初のシングル『Fly』には、新天地で飛躍する自らの姿を歌詞に重ねた。

「新しいことを始めるときは怖いけど、始めることは悩んで出した結果で、それはスタートをする瞬間でもあると思うんです。だから怖さより、自分がそれを選んだという自信を持って前を向いてほしいという思いを込めました」

　第2弾シングル『絆』には、『♪先が見えなくても　一緒に歩こう』と背伸びをしない、ありのままの言葉をつづった。

「キレイなことを言ってもすぐばれるので、素直に感じたことを歌詞にしています。モデルをしている姉に、『言葉を書き留めておいたら』とアドバイスを受けたこともあって、スマホのメモ機能とかに、残しておくようになって。メモを見て書くというよりは、メモを書いたときのことを思い出しながら、考えています」

　両親と兄、姉も見守った初のワンマン。ひとつだけ、気がかりなことがあった。

「小学1年生とき、（音楽番組）『ミュージックステーション』に出ているコブクロさんを見て、近くにいた祖父に『僕も（テレビで）歌いたい』と言ったら、バカにされてスゴイ悔しくて。でも祖母は『やるんだもんね』って励ましてくれて。これまでも僕がテレビに出ると『観たよ』と連絡をくれたのですが、渋谷の会場には来ることができなかった。だからもっとレベルアップして、大きな会場でライブができるように。そこに祖母を招待したいと思っています」

　多忙な日々の癒やしは、愛犬の「もこ」ちゃん。3歳になる女の子で、もこちゃんのことを話し始めると「早く帰って会いたい」とそわそわ。「顔も性格も、もこもこ具合も日本一。早く帰ってもこに会いたい」と目じりを下げていた。

□竹内唯人（たけうち・ゆいと）2001年1月9日、東京都生まれ。19年にABEMAの恋愛リアリティショー『オオカミちゃんには騙されない』に出演。スタイリッシュな見た目と、気さくなキャラクターとのギャップが同世代を中心に注目を集めた。同年10月にデジタルシングル『Only Me』でアーティストデビュー。21年4月にリリースした『MIRAI（feat. $HOR1 WINBOY）』はTikTokで話題となった。モデルとしても活動するなど、幅広い分野で才能を開花している。趣味は音楽鑑賞、カラオケ、サッカー。特技はドラム。