「学童落ちた」3児の母の悲痛、このままいけば“退職”の危機 多子育児の不条理な現実

今年も保育園や学童保育の申し込みの“合否”が発表され、ネット上には悲喜こもごもの声が寄せられている。そんな中、「学童落ちた。いい加減にしろよ。このクソがぁぁぁあ!!!」と、感情を爆発させたのが埼玉県在住の30代女性りなさん(@zfDMDXbEd9VPjOJ)だ。3児を育てながら働き、4月からも仕事を継続する計画を立てていたものの、暗礁に乗り上げた。所得制限世帯でもあるりなさんに、多子育児の現実を聞いた。

子どもの預け先がなければ親は働きに出ることはできない(写真はイメージ)【写真:写真AC】
子どもの預け先がなければ親は働きに出ることはできない(写真はイメージ)【写真:写真AC】

「仕事辞めろってか」投稿に反響 「所得制限世帯の多子地獄」

 今年も保育園や学童保育の申し込みの“合否”が発表され、ネット上には悲喜こもごもの声が寄せられている。そんな中、「学童落ちた。いい加減にしろよ。このクソがぁぁぁあ!!!」と、感情を爆発させたのが埼玉県在住の30代女性りなさん(@zfDMDXbEd9VPjOJ)だ。3児を育てながら働き、4月からも仕事を継続する計画を立てていたものの、暗礁に乗り上げた。所得制限世帯でもあるりなさんに、多子育児の現実を聞いた。

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「学童落ちた。いい加減にしろよ。このクソがぁぁぁあ!!!
何が働けだよ バーカ。
仕事辞めろってか」

 りなさんの怒りのこもった投稿には多くの反響が寄せられた。

 2歳の双子を合わせた未就学児3人を育て、長男が4月から小学校に入学する。それに合わせて学童に申し込んだものの、希望はかなわなかった。小学校は下校時間が早く、学童に入れないと、親は退職せざるを得ない。保育園に比べ、学童は整備が進んでおらず、いわゆる“小1の壁”と言われている。

 りなさんはENCOUNTの取材に、現在の状況をこう明かした。

「2年前に夫の転勤で埼玉県に転居し、3人の子どもを2か所の保育園に預けて働いています。現在、公設の学童は落ち、民設の学童の結果待ちですが、申し込み時点で今年の希望者は例年にないほど多く、入れる保証はないと言われています。もし、学童が2つとも落ちた場合、身近に親族は誰もいないため、仕事の継続は難しく、退職するしかないと思っています。近隣ではないですが、月7万の学童があるらしいです。しかし、保育園の保育料も7万以上なので、14万以上は現実的ではありません」

 現在も日ごろの子育てはワンオペ状態。家事もやりながら仕事を懸命に両立しているのも、生活のためだ。

「現状、保育料は次男は半額なのですが、子どもの人数は変わらないのに、4月からは保育園に通っている子どもしかカウントされないため、次男が満額の7万超えになります。長男が民設の学童に入れたとしても2万以上かかるため、保育園と合わせて10万です。これも、おかしいシステム」

 所得制限世帯とはいえ、現状は余裕がないと訴える。りなさんは「所得制限世帯の多子地獄」と表現した。

「自治体には、保育園と学童を増やしてほしい。多胎児(双子以上)のいる家庭は、子育てだけでも大変です。多胎児加点を導入し、多胎児の希望がかなうような制度にしてほしいです。保育園が兄弟でバラバラなので2年間転園希望を出していますが、双子は2枠必要だからという理由で転園もできません。長男の時は、フルタイム育休明けという条件でも保育園に入園できず、退職しか選択肢はありませんでした。保育園の入園、転園の優先順位は同じ点数の場合、所得の低い人から優先されるため、所得の高い世帯は後回し。希望順位の低い保育園に入園できたとしても、保育料は最高額です。その上、所得制限され、児童手当も消滅されました。今後、子どもが成長すれば、所得制限で高校無償化は対象外ですし、大学の奨学金も借りられません。所得制限世帯は負担だけ強いられ、ないがしろにされすぎです」

 配偶者控除や子どもの扶養控除もない。累進課税で多額の税金を納める一方で、「国から見捨てられ、全て自助で頑張れと言われているようなものです」と、続けた。

「預け先さえあれば働きたいと思っているのに…」 不条理な現実

 現在、国会では児童手当の所得制限撤廃が議論されている。岸田首相は、「異次元の少子化対策」を掲げるが、その実態はまだ見えていない。子どもを増やすなら、親も働きやすいような環境整備が必要だと、りなさんは主張する。「異次元の少子化対策なんか誰も求めていません。子育てに必要な制度を、希望する人が利用できるようにしてほしいだけです。環境が整わなければ、子どもは増えないし、1人産んだ人が、もう1人産みたいとは思わないですね。苦労するだけです」。

 女性のみならず、男性も積極的な育児参加が叫ばれている。そのためには小手先ではない、長期的な対策が求められる。

「労働意欲のある人から仕事を奪わないでほしいです。預け先さえあれば働きたいと思っているのに、学童が落ちてしまえば、専業主婦にならざるを得ないです。保育園や学童の問題、子どもの病気や障がい、親の介護、夫の労働環境などさまざまな事情によって、働きたくても働けない専業主婦が多く存在しています」

 経済的に恵まれていても、何不自由なく学校に通わせることの難しさ。親がとたんに“無職”になりかねない現実は、先進国のそれとは思えない。住んでいる自治体によって、支援に差があることも課題だ。

「子育て支援、少子化対策と言われていますが、多子になればなるほど、精神的にも経済的にも負担が増え、支援されない日本の状況下では、少子化が加速する一方です。我が子たちには、正直、子どもを持つことをお勧めできないし、産んでも1人までと伝えるつもりです。もしくは、子育て支援の手厚い海外で生活できるように教育する予定です」とりなさんは結んだ。

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