【特別インタビュー】NHK朝ドラ挿入歌「さいなら」が好評の「TKO」木本武宏が語る人生で一番悲しかった別れ

3月で終了したNHK連続テレビ小説「スカーレット」で、ヒロインの友人・田中雄太郎役を演じたお笑いコンビ「TKO」の木本武宏さん(48)。コミカルな役柄だったが、劇中で歌った昭和歌謡「さいなら」には多くの人が涙を流し、「CD化してほしい!」と熱い声が上がっているほどだ。切ない別れを歌ったこの「さいなら」にちなみ、木本さんに“人生で一番悲しかった別れ”について聞いてみた。

人生で一番悲しかった「さいなら」を語る木本武弘さん【写真:山田隆】
人生で一番悲しかった「さいなら」を語る木本武弘さん【写真:山田隆】

30歳で経験した最愛の母の死

 3月で終了したNHK連続テレビ小説「スカーレット」で、ヒロインの友人・田中雄太郎役を演じたお笑いコンビ「TKO」の木本武宏さん(48)。コミカルな役柄だったが、劇中で歌った昭和歌謡「さいなら」には多くの人が涙を流し、「CD化してほしい!」と熱い声が上がっているほどだ。切ない別れを歌ったこの「さいなら」にちなみ、木本さんに“人生で一番悲しかった別れ”について聞いてみた。

 “人生で一番悲しかった別れ”は亡くなった母親との別れですね。まさか自分の人生でこんなに悲しい日がやって来るとは、って思いましたから。でも、母親が亡くなって20年近くたって、今だったら落ち着いて振り返ることができます。

 母親が亡くなったのは、僕が30歳のとき。母親はまだ58歳、血液のがんでした。がんが発覚したのは亡くなる2年前。僕のマッサージがきっかけでした。当時、僕は大阪で活動してたんですけど、仕事は週1、2回。デビューして2、3年で忙しくなったんですけど、20代後半になったら仕事が減っていって。お金がないから実家へちょこちょこ寄って、ごはんを食べさせてもらってたんです。

必死で看病した2年間だったが…

 あるとき、ごはん食べさせてもらうかわりに足を揉んであげたら、翌朝、父親から「おまえが変なマッサージしたから、お母さんの足がおかしなったんちゃうか」って電話がきたんです。慌てて実家へ戻ったら、母親の左脛にコブができてたんです。急いで病院に連れて行ったら血液のがんや、と。それから看病の日々。2日おきに病院へ連れて行って抗がん剤治療や放射線治療を受け、その合間にマッサージに連れて行って。家族で時間が一番あるのが僕だったので。ところが、転移した背中へ放射線を照射したら両手足がきかなくなって車イスに。トイレからお風呂から介助して、効くか効かんかわからんサプリとか○○キノコとか取り寄せて……。でも、こういうのって高いでしょ。借金地獄の始まりでした。

 治ってほしい一心でやってたのに、1年したらお医者さんが「あ、言い忘れてたか」みたいな軽い感じで、「この病気の予後は良くありません。余命はもって5年です」と言わはったんです。それ聞いて、ドーンと真っ暗になりました。治ると信じて疑っていませんでしたから。心の整理がつかない。それで、もっと必死で看病しました。なのに、それから半年で母親は肺に水がたまって寝るのがつらくなって、僕が一緒に寝て30分おきに体位変換して……。もー僕も身体ボロボロ。そんな状態で、ライブのためにお笑いのネタを考えてもうまくいかないし、もともとお笑いに反対やった父親には、「お笑いなんて辞めろ」と言われて。母親のいないところで、ケンカばっかりしていましたね。

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