工場跡地を舞台に据えたカスタムカー好きが集まるイベント「RAID（レイド）カスタムカーショー」が22日、栃木市のF2PLANTで行われた。世界的映画「ワイルド・スピード」シリーズに登場するタイプの“ワイスピ車両”や、自慢のドレスアップ／チューニングカーに加えて、東京オートサロンの展示車など、約60台が集結。まるで別世界の独特な雰囲気が漂う会場で、熱心に写真撮影する来場者からは「おお、すごい」と驚きの声が上がった。

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　初開催となった同イベント。“ワイスピ車両”として知られる「VeilSide RX-7 Fortune」は、オレンジ×黒とグレー×黒が出展。レオン仕様R33や、主人公ブライアン仕様に“完全カスタム”したスカイラインER34など、ファン垂涎の車が並んだ。

　有名カスタムメーカーも参加。KUHLレーシングの激アツ車には熱視線が。GR SUPRA 90R-GTW WIDE、BRZ 03R-GTWのデモカー2台に加えて、オーナー車はGT-R計6台を筆頭にレクサス2台、ヴェルファイア2台、ハリアー1台が集まった。関係者によると、KUHLレーシングのユーザーカーが1つのイベントで10台以上集まるのは珍しいという。株式会社クールホールディングスの片岡孝裕社長も参加し、記念撮影を求めるファンらと交流した。

　また、ボルトオン式のエアサスキットを販売する「エアフォースジャパン」の早川仁代表取締役も駆けつけた。

　個性派カーのオーナーに話を聞いた。女性オーナーのフェアレディZ Z32型は、「インシュランス　ダイアナ」の外装キットをカスタムするなどしてボリューム感をアップ。そして、有名海外メーカーへの憧れから、ランボルギーニのようなクールなドア仕様に。ブレーキキャリパーは「ムルシエラゴグリーン」だ。ボディーカラーは、フェラーリのレッドで塗装している。カスタムでやれるところは自ら手を施したといい、「Z32は乗りやすく気に入っていますし、愛着が沸いています」と笑顔で話した。

　また、雨宮英俊さんはトヨタ MR-Sを原型として自らデザインを手がけたコンプリートカー「MR-X」で来場した。黄色のカラーが鮮烈で、10年以上前に製作。純正品はフレームとドアの一部、フロントガラスぐらいだという。ノーマルの140～160馬力から、220馬力にまでレベルアップ。ヘッドライトも車体と一体感を出し、「ザ・スポーツカーの王道」に仕上げた。

　以前はコンプリートカーのデザインを手がけ、現在はスープラオーナーズクラブにも携わっている雨宮さん。「ホイールやライト、内装まで1つ1つにセンスやこだわりが入っている。コンプリートカーというジャンルは、その世界観を楽しめるものだと思っています」と教えてくれた。

　有志スタッフで作り上げた手作りのカーイベントとなった。主催者の林貴嗣さんは、今年の東京オートサロン・ドレスアップカー部門最優秀賞のVeilSide Fortune Supra（VFS90R）の持ち主で、オーナーズクラブ「VeilSide JAPAN」の会員でもある。

　林さんはコンプリートカーについて、「改造車とひとくくりにされてしまいがちですが、そうではなく、デザイナーがしっかりとデザインしてプロが作り上げるのがコンプリートカー。プロのこだわりが原点となり、洗練された仕上がりになる。そんなコンプリートカーの魅力をもっと広めたいです」と熱く語った。工場跡地というクールな雰囲気の開催場所は、「映画の世界観に寄せるロケーションを探しました」。今後の展開にも注力するといい、「今回、きれいでかっこいい写真をたくさん撮影できたので、今後はショートムービー制作も含めて、見せ方を工夫してコンプリートカーのよさを発信していきたいです」と力を込めた。