「家庭教師のトラコ」で秘書役を熱演 中村蒼が“勇気を貰った”大先輩からの言葉

女優の橋本愛が主演するドラマ「家庭教師のトラコ」(日本テレビ系、毎週水曜午後10時~)が佳境を迎えている。橋本が演じる謎の家庭教師・根津寅子ことトラコを支える秘書役を務める俳優の中村蒼(31)に、トラコに重大な告白をした第8話について、目前に迫る最終回に向けた見どころなどを聞いた。

ドラマ「家庭教師のトラコ」でトラコの秘書役を演じる中村蒼【写真:(C)日本テレビ】
ドラマ「家庭教師のトラコ」でトラコの秘書役を演じる中村蒼【写真:(C)日本テレビ】

信頼する福多の告白で揺らいだ関係、最終話へ「2人の人生を見守って」

 女優の橋本愛が主演するドラマ「家庭教師のトラコ」(日本テレビ系、毎週水曜午後10時~)が佳境を迎えている。橋本が演じる謎の家庭教師・根津寅子ことトラコを支える秘書役を務める俳優の中村蒼(31)に、トラコに重大な告白をした第8話について、目前に迫る最終回に向けた見どころなどを聞いた。(取材・文:西村綾乃)

 ドラマは人気作「家政婦のミタ」などで知られる遊川和彦のオリジナル脚本。「我が子を志望校に入学させたい!」と願う母親と、その子どもたちが、伝説の家庭教師のトラコとのやり取りを通じて成長していく。中村はトラコの幼なじみで秘書の福田福多を演じている。

「遊川さんの作品に出演するのは、2008年に出演した『学校じゃ教えられない!』以来、14年ぶりのこと。撮影に入る前は、成長をした姿を見せられるのかなと思ったのと共に、大丈夫かなと緊張がありました。撮影現場にいらっしゃることもあるので、ビートたけしさんのものまねをしたシーンの時などに、『良かったよ』とほめていただきました。14年前は17歳だったので、現場で雑談をすることはありませんでしたが、歳を重ねて、何気ない話をすることが出来ていることがうれしいですね」

 久々の遊川作品への出演。「手応えを感じているような余裕はなく、夢中になってやっている」と吐露した。演じている福多との共通点はあるのだろうか。

「福多は東大卒のエリート。そういう部分は全く似ていないですが、誰かのために何かをすることが幸せと感じるところは、僕と共通しているなと思います。自分がうれしいと思うことよりも、僕がしたことで誰かが喜んでくれることがうれしい。その喜びは僕が動く力になっています」

「トラコの夢を応援する」と決めた福多は財務省を退職。秘書としてトラコを献身的に支えてきた。唯一の味方だったが、第8話では、過去に同じ児童養護施設で育ったトラコが里親に選ばれないようにと、怪我をさせた事実があったことを明かす。

「12歳の時に犯した罪について、トラコに告白する場面がありました。10年以上、抱えていた秘密。トラコと離れてからも、ずっと悔いて生きていたと思います。福多は東京大学を卒業して財務省に入省しましたが、5年前にトラコと再会をして。トラコからこれまでどんな風に人生を送って来たのかを聞いた福多は、改めて自分が犯した罪の重さを痛感する。トラコと向き合っている時は、その場所から消えたい思いだったと感じます。トラコに秘密を明かしたことで、福多は解放されたのかもしれないけれど、一生言わないと決めてトラコを支え続けるのも優しさだったのではないかな…。撮影では色々な感情が入り混じっていました」

難しい役どころを演じる中村蒼、「撮影では色々な感情が入り混じっていた」と吐露した【写真:(C)日本テレビ】
難しい役どころを演じる中村蒼、「撮影では色々な感情が入り混じっていた」と吐露した【写真:(C)日本テレビ】

 混乱するトラコは「世界に1人味方が出来たと思って勇気が湧いた」と当時を振り返り、福多を責める。中村自身が「勇気が湧いた」と感じた言葉はあっただろうか。

「昨年30歳になって、『この世界で生きていくしかない』という思いを強くしました。でも一方で、この先どうなるのかなと不安に思うことも増えました。楽しいと感じるよりも、自分はどうなっていくのだろうと。考えれば考える程、負の連鎖が続いて苦しくなっていた時、60代の先輩から『30歳なんて、まだ若い。30代の10年間のうちに何かひとつ、これだと思えるものを見つけられればいい。そして迎えた40歳はまた新しいスタート。40代の10年間も、同じようにひとつ自信を持てるものを見つけて、50歳になる。50代もその繰り返しをして。60代になってからは、その惰性で生きることが出来るようになるから』という言葉をいただいて。まだ30代に足を踏み入れたばかりの僕が、不安に思ったり悩むことは当たり前なんだなと。30代のうちにこうなりたいと具体的な目標を持つよりも、目の前のことをコツコツやり、10年単位で考えて行きたいです」

 小学校受験、大学受験など境遇は違うが、トラコと出会った親子が成長していくところもドラマの見所だ。中村自身はトラコのように恩師との出会いはあっただろうか。

「ないので、うらやましいと思っています。『迷っていた時に、先生が背中を押してくれた』などのエピソードを聞くたびに、自分も出会っていたら人生が変わっていたのかなと思って。31歳になって、気が付けば後輩が出来て、先輩と呼ばれる立場になったので、後輩たちを支えることが出来る存在になりたいです」

 主演舞台「田園に死す」で15歳の時に俳優としてデビュー。映画やドラマなどで活躍している。

「どの作品も、とても思い入れがあるのですが、昨年やらせていただいた舞台『君子無朋~中国史上最も孤独な「暴君」雍正帝~』でご一緒した佐々木蔵之介さんからは、役者としての在り方を教わりました。蔵之介さんが主宰している(Team申)の舞台で、蔵之介さんは中国の皇帝(第5皇帝の雍正帝)という難しい役どころでしたが、毎公演『こうしたらもっと良くなる』とみんなにアドバイスをされていた。東京から京都、福岡など地方を巡っていく中では、初心に帰ってと言うことを、忘れてしまいがちですが、蔵之介さんは最後まで『進化させよう』と周りを見て動かれていた。僕も蔵之介さんと同じ50代になった時には、同じことができる役者になりたいと思いました」

 謎に包まれていたトラコと福多の関係が明らかになって、迎える9話。見どころは。

「重大な告白をした福多が、トラコとどう向き合っていくのか。過去の過ちを受け入れることができるのかに注目して欲しいです。最終回の台本をいただいていないので、どのような結末になるのか僕も分からないのですが、ふたりの人生がどんな風に進んでいくのか、見守っていただきたいです」

■中村蒼(なかむら・あおい) 1991年3月4日、福岡県生まれ。2006年に主演した舞台「田園に死す」で俳優デビュー。近年では、NHK連続テレビ小説「エール」(20年)、「赤ひげ」シリーズなどのドラマ、映画、舞台と幅広く活躍している。ゴルフ、サッカーが趣味。特技は乗馬。175センチ、A型。

次のページへ (2/2) 【写真】「家庭教師のトラコ」第8話の場面カット
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