公道に出れば“走るお宝” 希少スカイラインGT-Rオーナーの徹底的な盗難対策を聞いた
旧車を中心に自動車の盗難が相次ぐ中、狙われるリスクのあるオーナーはさまざまな対策を講じている。希少なスカイラインGT-Rのオーナー2人に、日ごろの取り組みを聞いた。
「数千万が一瞬のうちに消えちゃう」と危機感
旧車を中心に自動車の盗難が相次ぐ中、狙われるリスクのあるオーナーはさまざまな対策を講じている。希少なスカイラインGT-Rのオーナー2人に、日ごろの取り組みを聞いた。
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約50年前のケンメリGT-Rを所有する男性は、「俺はガレージの前に車を置いておく。シャッターの前に乗用車。取られないようにいつも置いておく」と、厳重なガードを明かした。
ケンメリは中古相場で1億円の値がつくほど高騰。生産台数は197台とされ、日本の中古車ブームの中でも特別な存在だ。公道に出れば“走るお宝”で、車好きであれば、誰もが振り向く1台だ。
シャッターの前に、別の乗用車を置くのは、理由がある。
「シャッターを開けて持っていかれちゃう。そういう人が何人かいて。みんなガレージの前に車を置いてますね。俺は6~7年前から。値段が上がってからだね。気をつけています」
住宅街にあるガレージ周辺で怪しい動きを見かけたこともある。「見てたらガレージの前で黒い車が止まったりして。GT-Rを乗ってるっていうのは(知っている人は)知っているから。普段は誰にも場所とか言わない。変な人が来たら警察に電話する。今は5分ぐらいで持っていかれちゃう」と警戒感を強める。
自身の知り合いで、盗難被害に遭った人もいる。「GT-Rのハコスカ。朝5時くらいに持っていかれた。(犯人は)2人組。見えるところに置いておいた。結構お金かけた車だった。見えるところじゃダメ。気をつけないと、と思っています」と、繰り返した。
一方、複数のGT-Rを所有する別の男性は、「もう本当にやばいですよね。やっぱり車の保管は完全にしとかないと」と、危機感をあらわにした。
怖いのは犯罪者に置き場所を知られることだという。
「住まいとは別のところの駐車場に置いてある。車を乗っていて車庫に戻るときは、例えば後ろからついてくる車がないかなとか注意して、誰も来てなければそのまま車庫のほうに行っちゃう。もし万が一、つけられたら車庫の場所を教えないでウロウロして、後ろの車がいなくなればラッキー。そうすれば、車庫に入れます」
ケンメリなど貴重なGT-R数台に加え、「バイクも今は30台ぐらいあるかな」とその総額は軽く億を超える。
「かなり注意してます。だから車庫までは家から2キロちょっと離れてるんだけど、週3回ぐらいは顔出して、大丈夫かなと確認しているんです」
「家の近所で32のGT-Rを盗まれたのがいる」
屋根付き、シャッター付きは最低限。その上での対策だ。「シャッターって意外と簡単に開けられちゃう。簡単に開けられないようにアンカーで固定しています。要するに真ん中の柱があって、そのところにロックをつけている」。防犯カメラも必須アイテムで、「常時録画。1か月間ずっと通しで録画している」と続けた。
念には念を入れてセキュリティー会社のステッカーも貼り付けている。「知り合いに頼んで、でかいステッカーをわざと貼ってある」と抑止力にしている。
車のキーは抜いて、別の場所に保管してある。「盗まれたら大変だもんね。数千万が一瞬のうちに消えちゃう。やばいです」
盗難犯罪が横行していることについて、「悪いのがいるんだね。外国人もいると思う。おそらく盗んだとしても、どっかのヤードに入っちゃう。その日のうちにガードの中に入っちゃって周りを囲っちゃってるから、車はどこにあるか分かんないよね。ばらして部品で出しちゃう。たぶんアメリカとかに部品の需要ありますよね。そういうルートがやっぱりあるんじゃないのかな。コンテナに載せてアメリカにパーツを出しちゃうとか、例えば東南アジアのお金持ちで、どうしてもパーツが欲しがるからそういう人に流しちゃうとかやっているんじゃないか」
気が休まるひまはないが、取り返しのつかない事態を防ぐための防衛手段だ。「家の近所で32のGT-Rを盗まれたのがいる。見つからないね。見つからない。だから車がどこに行ってるか行方不明で全く分からない。それは普通の民家で自分ちの駐車場の脇に止めておいたとかそういう感じだから簡単に盗まれた」。知人の悲劇を教訓に、一層気を引き締める。
「盗難だけは要注意だね。だからコンビニでもエンジンかけっぱなしでってことは絶対やらないよね。最低でも鍵だけは抜くとかしています」と険しい表情で語った。